六葉は扉の冷酷な警告札を無視し、扉に触れた。
全身に突き刺さるような冷たさを感じながらも、彼女は渾身の癒やしの魔力を扉に流し込む。
「大公隷様!開けてください!今、貴方は本当に危険です!」
隷は六葉の必死な声を聞き、一瞬の躊躇の後、扉にかけた強力な施錠を、魔力で解除した。
彼はこの六葉の優しさが、自分の命綱だと無意識に理解していた。
六葉が中に入ると、あまりの冷気に息が詰まる。
隷は苦しげに顔を歪めながら、辛うじて声を絞り出した。
「…来るな。私に…関わると、お前の温かさまで凍らせてしまうぞ」
六葉は、彼の「*拒絶*」が、**彼女の安全を心から願う「*本心*」**であることを知っている。
彼女は一歩も引かず、隷の隣に膝をついた。
「大丈夫です。私の温かさは、簡単に凍ったりしません!」
六葉は自分の手のひらから温かい癒やしの魔力を流し込みながら、彼の顔をそっと撫でた。
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