六葉の温もりが隷の全身を包み込んだ瞬間、彼の心の防御壁が崩れた。
隷は、六葉の手に縋るように、震える声で話し始めた。
「…昔、私には妹がいた。魔力は私より弱かったが、誰よりも優しかった…」
隷の瞳は遠い過去を見つめていた。
「私の魔力は、生まれた時から強大すぎた。制御できず、暴走するたびに、周囲の全てを凍らせた。ある日、妹は、暴走した私の魔力から、私を守ろうとして…」
隷は言葉に詰まり、唇を強く噛んだ。
彼の背中には、幼い頃の魔力暴走によってできた、広範囲の「*冷傷*」の跡が残っていた。
「…妹は、私の魔力に触れ、完全に凍結した。私を守るために。私は…私はその時、絶対に二度と誰にも触れないと誓った。そして、一族の長老に**感情凍結の誓約**を求めた」
「この冷たさは、私の妹を殺した魔力だ。そして、私に、お前まで凍らせる恐怖を与えている…。だから…だから私は、冷酷でいなければならないんだ…」
彼の冷酷さの根源は、誰かを守りたいという、あまりにも強すぎる愛と、過去の自責の念だった。
彼の「*拒絶*」は、**これ以上、大切な人を失いたくない**という、幼い日の悲劇から生まれた誓いだったのだ。
コメント
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すご〜読みやすい!