テラーノベル
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「お疲れ〜!皆で久しぶりだし、ご飯行こう!」
仕事が終わった俺は4人に声をかける。
「この前ライブの打ち上げしたばっかりなのに、また〜?」
そんなこといいながらも綾華はすでに乗り気で行く準備をしている。
「あ〜···ごめん、今日は無理···!」
そんな中でまさかのごめん、と顔の前で手を合わせるのは涼ちゃんだった。
「え〜涼ちゃんなんで?」
若井が不満そうな声を上げる。
こんな風に涼ちゃんが仕事が入ってない時に断るのは珍しい。
「だって···デートだから···前から約束してたんだよね、ごめんっ!」
「そりゃ仕方ないね、彼氏によろしく言っといて」
「いいねぇ、もう結構長いのに本当に仲良くて」
俺だけ話についていけず、ぽかんとしているうちに涼ちゃんは帰っていき、若井が早く元貴いこ、って俺を揺すった。
「今のってなに?涼ちゃんの彼氏って···誰の話してたの?」
綾華がきょとんとしてから笑う。
「なにいまさら〜?今日の元貴なんか変だよ?ほらー、早くいこっ」
若井と高野にも笑われて俺たちは4人で食事をした。
家に帰ってソファに座って今日の出来事を思い返した。
俺が知ってる現実と違うところは2つ。
ひとつは高野と綾華が脱退せずに今も5人で活動しているということ。
もうひとつは涼ちゃんの付き合っている人が俺じゃないってこと。
休止期間が終わる頃、付き合い始めたらしい。俺が涼ちゃんと付き合い始めた頃と同じだ。
「夢にしては覚めないしリアルなんだよな···どうしたらいいっていうの···」
5人で活動出来ているということは本当嬉しい。あの2人がいなくなるなら解散しようと言ったあの日の気持ちが救われたような気がして。
でも···。
今頃涼ちゃんは他の男と一緒に眠っているかもしれない。そしてキスして、抱き合って···考えるだけで奪い去ってやりたい、壊してやりたいドス黒い感情が俺を支配する。
でも今の涼ちゃんにとって俺はただのメンバーで、友達で仕事仲間。
そんな俺には口出す権利なんかない。
「涼ちゃん···俺が言った言葉はそれくらい悪いことだったのかな···涼ちゃんを傷つけた罰なのかな」
それとも神様がくれた俺が望んだ未来で、これはご褒美とでもでもいうのか。
答えが出ないまま、俺は夢のような世界を現実として明日も生きることになる。
コメント
6件
1話から読ませていただいてます!すごく引き込まれるお話✨ 5人バンドの世界線、私も幸せを感じさせてもらってます😊 だけど、涼ちゃんの彼氏が別の人…それがすごく心にグサッときました、元貴くんぐらい笑 これから先も、気になりすぎます🥺
涼ちゃん誰と付き合ってるの?気になるゥ
パラレルな世界線、面白いです❣️ しかも、💛ちゃんには別の彼氏が🤭 お相手が気になりすぎます、、、笑 ♥️くん、頑張って❣️