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#BLなし
かきごおり。
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⚠注意⚠
・ キャプションを見てから読んでください!
・「」の吹き出しは、独以外の全ての国に使っています。同一人物では ありません
・ざっと4500文字あります。とにかく長いです!!
それでもよい方はどうぞ↓
_____
「お前らは手伝いができて偉いな!流石父さんの子だ」
「ハンバーグぐらい誰だって作れるよ…」
『褒めてもらえるってことはすごいことなんじゃないか?』
「それは…まぁ、兄だから僕の方がすごい」
『そこまで年離れて無いだろ、大体競い合うものでも無いぞ!』
「全く…、西も東も自慢の子だ。…さて、まずは玉ねぎを切ろうか 」
時計は午後12時を指している。次の会議がどうだとか、来週の資料の制作だとか。到底昼飯を食える状況ではないのだけは確かだった。
「HEYジャーマンポテト!!」
『俺は芋じゃ無いんだが…』
「ところで昼飯は食ったか?」
ふらっと現れては絡まれる、俺や日本の宿敵。と言っても、アメリカ無しでは世界が回らない…つまり超大国だ。
『食ってないが、端からそのつもりはない』
「Why?」
『昼ぐらい食わなくても生きていけるから』
実際、国は頑丈なつくりをしている。昼はコーヒーさえ飲めば何とかなるので、俺は栄養なんてものを一度も気にしたことがない。
「そんなことしてたら倒れるぞー、」
いきなり、手首を掴まれる。せめて机上を整頓しようと足掻く左手すら、デスクから離れていく。
ぼーっとしていると、少し視界が揺らいだ。
「おぉ、大丈夫か?」
『…ただの、立ちくらみだ』
何も言われないまま、手を引かれる。後ろ姿からは表情がうかがえない、 アメリカは前を向いているから。
そうして、何処かに連れてかれるのだった。
「どんな形がいいかな?」
『…車とか』
「難しくない?それ」
「あんまり細かくすると焼いた時バラバラになるからなー?」
「『はーい!』」
「…あと何回作れるだろうな、お前らと」
『ここはどこだ…?』
「最近出来たハンバークの店だぜ」
オフィス街に凛とする、控えめな看板の店。こじんまりとした店内が見えるガラスには、寂れた空席が並んでいる。
『出来たばかりなのに空いてるな』
「忙しいと人は安心を求めたくなる。…冒険をしなくなるんだよ」
『…そうなのか』
「分かるだろ、同じ社畜として」
俺の中で分かりたくない何か。思えば、現国になってから感情が薄れつつあるかもしれない。“そういうもの“で片付けていたような気がして。
『…申し訳ないが、ハンバークは苦手だ』
「Why!?」
『あー…昔から食べてきたから飽きてきたんだ。それに、今の俺には重すぎる』
正直とても食べたくない、重いなんて話以前に。
「ここ、ハンバークは以外もあるから、なっ?」
「はぁ…?」
**
ドアを開けると、飲食店特有の暑さに包まれる。されるがままに手を引かれながら周りを見渡すと、大半の人が食べているハンバーク。
「空いているところにどうぞ」という声に軽く会釈し、半ば連れて行かれるような形で奥の席に座る。
『…いい加減手を引くのをやめてくれないか』
「恥ずかしいか?」
『当たり前だろ』
楽しそうにメニュー表を眺める、キラキラとした瞳に改めて腹が立つ。それに何も言えない俺も俺だが…
何とかそれを抑えるべく、ぼーっとガラス越しに先程言い合いになった道を眺める。
「お前は選ばないのか?」
そう声をかけられてハッとする。メニュー表を見て長考していたアメリカも、流石に選び終えたらしい。
『俺は…これにする』
メニューを見て、人が少ない理由が分かった気がする。俺含む社畜は、そもそも昼にこんな重そうなものを食べたいと思わない。…色々考えて、比較的に野菜が多そうな鶏肉の小さめのプレートを指差す。
「成人男性が食う量じゃないぜ」
『仕方ない、食欲がないんだ』
何か言いたそうな顔をされたが、聞きたくないので店の人に声を掛ける。
アメリカが注文している間、ふと視界を外にやるといつの間にか雲が多くなっていた。
この頭痛も、低気圧のせいだ。…多分。
「うまいか?、お前ら 」
『うまいぞ』
「うん、おいしい」
「…なぁ、何故切り分けるだけでそんなにボロボロになるんだ…!」
『まぁ兄さんよりかは俺の方がマシだな』
「それは無い!」
「どっちもどっちだ。…ったく、仕方ないから切り分けてやるよ、子どもだなぁ!」
「さっきからずーっと上の空だぞ?」
急に話しかけられて肩が跳ねる。
『…すまない』
「…別に心配だっただけだぜ、それに…」
聞きたくない。そういう類の話は好きではない。どうしようもなく不甲斐ない自分を自覚してしまうこの時間が嫌いなのだ。
『そういえば、何故今日は俺なんだ?…いつもは日本辺りと行くだろ』
「日本は中国に連れられてどっか行ったし、ハンバーグと言えばお前かなって」
『そうなのか』
「それに、食わせないとヤバいなって個人的に思った」
『ちゃんと食ってるぞ、別に…』
「じゃあ朝は何食べたんだ?」
『…ロールパン2個』
隣から声がかかる。良いのか悪いのか、このタイミングで料理が来たらしい。辺りを見渡すと、いつの間にか客は俺らだけになっていた。
「ありがとうございます!!」
『…ありがとうございます』
おぉ、と感嘆の声を上げるアメリカを横目に、ナイフとフォークを手に取る。
とりあえず、レタスらしきものを胃に入れる。噛むたびに感じる水気が、なんとなく気持ち悪くて仕方ない。
「野菜は嫌いか?」
『…別に、嫌いではない』
沈黙が気まずくなって、それを誤魔化すように鶏肉を口にする。
思えば、ちゃんとした肉を食べるのは久しぶりかもしれない。いつもは加工肉で済ませていたから。
「うまいか?」
『ああ』
実際のところ、「おいしい」という感情を何処かに置いてきてしまった。かと言ってそんなん事を口にするだけ無駄なので、適当に相槌を打つ。
知らぬ間に、少しずつ俺の中で何かが欠陥していくのを感じる。
「そんなに急いで食うなよ、逃げないから」
『そんなつもりはないが…』
**
数分の沈黙の末、プレートを全て完食した。感想として、案外呆気なかったなと思う。所詮、食べ物なんて胃に入れてしまえば消えるのだ。
食べ終わってしまうと、手持ち無沙汰に襲われる。だからか、彷徨う視線が不思議と目の前のハンバーグに行く。
別に食べたい訳ではない。寧ろ見たくもない。ずっと避けて生きてきた意味が、ほんの数秒で崩れる感覚なんて味わいたくない。
「…食うか?一口」
『、遠慮する』
元の2分の1くらいの大きさになって、プレートの真ん中に佇むそれ。何らかのソースがたっぷりとかかっていて、もはや元の焼き色が見えない。
「そんなに見つめられたら食いづらいぜ…」
『すまない。ただ…』
「ただ?」
『…そういえば、俺の兄は何もかけない派だったなー、と』
余計なことを言ってしまった。聞いてほしくない事を何故口走ってしまうのか、最早不思議に感じつつある。
何とこの話を終わらせればいいのか、痛む頭では考えられない。
「そういうお前は何派なんだ?」
『…ケチャップ、とか』
「ふーん?」
いたずらみたいに笑うアメリカに、何故か焦ってしまう。あくまで自然に目線を逸らすと、向かいから愉快そうな声が掛かる。
「食え」
『いい、要らないぞ、俺は』
「ハンバーグを嫌いな割には、ケチャップ派なんて随分細かいな?」
『…何故そこまでして俺に食べさせたいんだ』
全く意図が見えない。嫌がっているのだから、食べさせる意味なんてないだろうに。…楽しんでいるとしたら悪趣味極まりない。
「昔、イタ王がこっち側に寝返った時に、尋問したら“お前の父さんのハンバーグがおいしい“とか言い出してな 」
ナイフとフォークで端のほうを小さく切り分け、「ほら」とフォークをこちらに向けられる。
小さく切り分けているのに、崩れていないことに行儀の良さを感じる。
何だか知りたくなかった。
半ば無理やりフォークを口元に持ってきて、“それ“を口に運ぶ。
「うまいか?」
冷たい。ボロボロと崩れ行く肉は、十分に咀嚼したはずなのに喉が締まって飲み込めない。
喜怒哀楽のどれでもない感情が抑えられなくなりそうで、繕えなくなりそうで。怖い。
『…好きじゃない』
冷静になろうと、アメリカに聞かれるであろう食べてみた感想を考える。…なるべく深掘りされないようなものを。
どこか肉々しい…ひき肉の割合が多い。昔食べたものは、もっと玉ねぎが多かったはずだ。
子どもが食べやすいようにしてくれていたのだろうか。
父なりに、栄養なんてものを気にしてくれていたとしたら。
『もういいだろ、思い出したくないっ、!』
もう会わないであろう父も、壁の向こうにいる兄もきっと今の俺を望んでいない。分かりきっていたのに不甲斐なくて仕方ない。
「…あ、は、ハンカチとか、いるか?」
『いらない。…帰るか。帰ろう、な?』
「待った、今急いで食べるから…!」
『…早く。…すまない』
このままでは、多分昼休憩の時間を過ぎてしまう。…今日は本当についていない。
唯一の救いは、この空間に店の人さえ誰もいないことだろうか
「…その状態で働かせたくないし、一回帰るか?」
このまま帰っても一人部屋で横になるだけ。かと言って働きたいわけでも無いが、帰りたくもない。
「寂しいか」
回らない頭でぐるぐる考えていると、ハンカチを投げられる。
『悪かったなっ、』
少し赤みがかった白を基調とした、小さく赤い花の刺繍がされているハンカチ。普段のアメリカとのギャップを感じる、なんて失礼だよな。貸してもらっているのに。
ギュッ、と握りしめると、柔らかくてどこか優しさを感じる。
何だが懐かしくなって。
気を遣わせてしまったのか、アメリカは何処かに行ってしまった。
**
「落ち着いたか?」
『…まあ』
気恥ずかしくて目は合わせられないが、アメリカがニヤニヤしていることだけは分かる。少しの沈黙の末、アメリカが閃いたように話し出す。
「…このまま二人で会社バックレようぜ、今日だけ」
『明日日本に怒られるぞ…』
アメリカはまだしも、俺は長々と説教されるだろう。「心配したんですよ」と。簡単に想像がつく。
「いいじゃないか、一緒にお説教されれば」
『良くない』
俺としては本気で嫌だが、どうやら伝わらないみたいだった。
「じゃあ、まずはその隈をどうにかすることだな!」
『手引くなって言っただろ!大体何処に連れてくつもりなんだ』
「俺ん家。安心しろ、会計はしたから…なっ、いいだろ?」
ハンカチの角を合わせて、綺麗に畳む。
『奢って貰った恩もあるし仕方ないか…きょっ、今日だけだぞ?』
…今日くらい甘やかされてもいいだろうか。
「…ハンバーグを見て、父さんを思い出してくれたら嬉しいな」
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こんばんは、寺島あおいです🤍 第1話、読ませていただきました。 "好きじゃない"と言いながら、ハンカチをぎゅっと握る仕草や、子どもの頃のハンバーグを思い出す描写に、胸がぎゅっとなりました。過去と今が交錯する感じがとても繊細で、アメリカのちょっと強引だけど優しい距離感も素敵です。続きが気になります…!