前話との繋がりありません
青の過去①
──────────────────────
「………っなんで、なんであの時1人にしたんだよ!」
お前が消えてからずっと…
ずっと____地獄のままだった
幸せだったんだ
兄ちゃんが出来てから、凄く幸せだった
父さんに愛されることがなかった僕に、初めて愛情をくれたのは兄ちゃんだった
「今日からお前の兄になる子だ。挨拶しなさい」
冷たい目で見られるのは慣れていたけど
「初めまして!」
優しく暖かい目で見つめられるのは初めてで、凄くくすぐったかった
父や新しく出来た母に愛される兄を羨ましいとは思わなかった
見た事のなかった幸せそうな顔が、うれしかったから
「……ころんはさ……義父さんや母さんの事、嫌いにならへんの…?」
両親が仕事で家に二人で遊んでいる時、兄は呟いた
義母も、僕の事が嫌いの様だった
「………………」
「………ぼくの母さんは、父さんがすごく、すっごく大好きだったの。本当にものすごく」
「でもね、父さんはそれが、とってもいやだったみたいで、ぼくを産んですぐ死んじゃった母さんの死に目にさえ会いたくないって、きょぜつするくらい大っきらいなの」
「…………ぼくね、お兄ちゃん達が来るちょっと前に聞いちゃったことがあるんだ」
その日は珍しく父が泥酔して、ソファで横たわっている時に漏らした言葉
『ずっと…地獄だった。お前が生まれてからもうずっと…地獄のままだ』
『…俺は、こんな父親になりたかった訳じゃない。自分がこんな人間だなんて知りたくなかった』
『…でも、それでも
どうしても……お前を愛せない』
『日に日にあの女に似ていくお前を見ると、吐き気がして』
『殺したくなる程、罪のないお前を………』
「……そこで父さん寝落ちちゃったから、続きはきけないんだけど…ぼくは、生まれちゃいけなかったの」
「でもね、父さんの幸せそうな顔見た時すごく、すごくうれしかったんだ」
父さんの笑顔を初めて見た時、本当に嬉しかった
僕のせいでずっと苦しんでいた父さんがやっと救われたんだって
「……ぼくのせいで、父さんはずっとくるしんでたから、義母さんがきてくれて、おにぃちゃんがきてくれて、ほんとおに……よかったぁ」
満面の笑みで涙を流す僕に、兄ちゃんも涙を流して僕を強く抱きしめた
「へへ、へ…ぼくね、おにぃちゃん達がだいすきなの。父さんを幸せにしてくれてありがとおって……でもね、なんでかな…思い出すとなみだが止まらないの」
よく部屋に閉じ篭ってばかりだった僕に
「………っ俺には、ころんが必要だよ」
いつも、隣にいてくれたお兄ちゃんが
大好きだった____
ある日の出来事だった
その日は、雨の日だった
傘を忘れた為、濡れて家に帰っていた
「________…へ、」
地獄を、見た
家につき、目の前に広がるリビングには、其処ら中に血が飛び散っていて、ソファには天を仰いで口と目をあけっぱにして血を流す義母と、壁に凭れかかって座り込み俯いて血を流している父の姿
何も考えられなくなって、咄嗟に父に近づいた
カヒュー…と浅い呼吸をしている父に必死に呼びかける
「父さん、父さん!」
「…………ど………して…………」
「………なんで……………ぉれ、は……………」
父はゆっくりと僕を見ると、涙を流した
「…………や、……り、おま…えが…………てからずっ、と……………地獄だ」
ドクン
『ずっと…地獄だった。お前が生まれてからもうずっと…地獄のままだ』
ドクン…
『………ごめん、なさい』
トクン……
『ごめんなさい、父さん』
トク………
「『生まれてきて、ごめんなさい』」
動く事も、喋る事も、息をする事もしなくなった父に僕は、ただ涙を流す事しか出来なかった
コメント
2件
好きです! 大好きです!!やはり天才だなぁ、..😇😇
お久しぶりです メモの奥底に沈められていた作品 今更多分誰も見ないけど…置いておきます! 好評でしたらまた設定を練り直して1から少しずつ書いていこうかな…