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この日のミンミンボウは忙しかった。

昼の開店直後から来店も出前のどちらも警官からの注文が多かった。おそらく前日の件が警察内で周知されたのだろう。

さぶ郎と仲の良い椎名は来店したあとずっと居座っていたが、長居しすぎて「仕事をしろ」と迎えが来てしまった。


昼時の賑わいが落ち着き、夕方以降のラッシュに間に合うよう仕込みをしていると、団体での来店があった。


「やっほ〜。ぺんちゃん」

入り口を見ると、サングラスをかけTシャツにオーバーオールというラフな格好で彼はやってきた。

「え?ふわっち?どうしたの?」

予想外の人物の来店にぺいんが大声を上げた。

「来ちゃった。うちのファミリーも連れてきたよ」

不破がそう言うと後ろから2〜3人の男女も現れた。おそらく彼の「家族」だろう。その中の一人がぺいんに向けて挨拶をする。

「先日はお世話になりました!」

「あ、銀行の!」

「置いて行っちゃいましたけど、あの後大丈夫でしたか?」

「まぁなんとか帰れました。そっちは?」

「逃げ切れちゃいました」

あの時も犯罪者ながら人が良さそうと思ったが、今話してみてもその印象は変わらない。

挨拶や会話をしていると、ミンドリーもやって来た。

「ぺいん君のお客さん?」

「そう。この前話したふわっち」

「どうも。ミンミンボウ店主のミンドリーです」

「不破湊でーす。ドリさんですよね?前にどこかで会った記憶あるんすけど」

「そうかもしれませんね。俺も見覚えあるので」


うん───一人で納得したのか、不破は「じゃぁ、ちょうど良いか」とぺいんとミンドリーに相談を持ちかけた。

「ぺんちゃん。ちょっと相談あるんだけど良い?ドリさんも一緒に」

「じゃぁ、奥の部屋使います?防音ですし」

「お願いしよっかな」


ぺいんの親友とは言えギャングボスからの「相談」である。一緒に来た客の対応をさぶ郎に任せ、ミンドリーとぺいんは不破を防音の事務室に案内した。

「雰囲気あるっすね」部屋を見渡しながらそんなことを言う不破に椅子をすすめ、ミンドリーとぺいんも席に着くと話を始めた。


「ふわっち、相談って何?」

「この間言ったでっかい事、やらない?」

「え?」

「JTS側、守って欲しいんだよね」

「ふわっち、それって」

「そ、ユニオンヘイスト」


先日も持ちかけられ、家族に相談するとしていた話である。今回は具体的な名前まで出てきた。

ぺいんが驚いているのをよそに不破は話を続ける。

「今日やる予定だったんだけど、うちのメンバーが体調不良になって人数に穴開いちゃったんだよね。元々ギリギリの人数だったら、正直きついのよ。この日のために準備もしてきたし、楽しみにしていた子もいるからさ、やりたいんだよね」


「この通り」一通り事情を話した不破は助けを求めるように頭下げる。

ぺいんは無言で考え込んでいるようだった。その様子を見たミンドリーが口を開いた。

「別にいいんじゃない?」

思いがけない言葉にぺいんが顔を上げる。

「いいの!?」

「手伝いたいって顔に書いてあるもん」

ミンドリーの言葉にぺいんは嬉しそうにする。その様子を見ながらミンドリーは続けた。

「なんなら、俺も行こっかな?」

「は?」

「でも俺が行くっていうとさぶ郎も行くって言うな。ちょっと聞いてくるね」

そう言い残すとミンドリーが席を外した。その早さに思わず不破が感想を言う。

「ドリさん、ノリ良いね」

「ああなったらもう止まんないよ。ウッキウキだもん」

ミンドリーはそう時間を置かず戻ってきた。想像通りさぶ郎も傭兵に参加したいと言ったようだ。

「ふわっち、こっち3人。傭兵として参加するよ」

「さんきゅー。じゃあ、うちのNo.2紹介しよっかな」


不破に呼ばれ事務室にギャングのNo.2もやってきた。「カナト」と名乗ったその青年は不破に同じく軽いノリだった。


そして、簡単な作成会議が始まった。

ミンドリーもぺいんもユニオンヘイストはSWATとして何度も対応したことがある。参加が少人数という事もあり、その配置を過去の経験からアドバイスした。

受注者・ブラックマネーの回収・金持ちはボスの不破。サーマイトによる爆破に気をつけなければならないが、金庫前まで突入されない限り安全な場所から指示が出せる。

金持ちを守る金庫付近にミンドリー、金庫周辺から外を警戒、報告できるチューブ側にさぶ郎、高速道路から金庫前の大穴につながる道にギャングの2名。別の入り口からチューブにつながる木材置き場に大型犯罪が初めてのギャング1名とぺいん、一番外側のラークがカナトともう一人のギャング計2名となった。


次に武器や移動手段の話になった。

「不破さん、俺たちの武器と足はあるので気にしなくていいです」

「それは助かります。まぁうちも余剰はあるので足りなそうなら言ってください」

「ふわっち。服、合わせたほうがいい?」

「そうしてもらった方が良いけど、ぺんちゃんたちに任せるよ」

「ボス。傭兵さんがうちのファミリーと思われるのも申し訳ないから、色は同じにして他はちょっと変えましょう」

「任せたわー」

ギャングの服装は店の更衣室を使って見せてもらい、紫色で近しい服装であれば良いとなった。

後は現地で集まった時に最終打ち合わせとなり、この場はいったん解散となった。


そして、決行はこの日の深夜。日付が変わる頃となった。

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