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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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アミリア「行っちゃったね、ディサイア様」

ソフィア「そうだね…」

アミリア「僕の部屋。戻ろうか」

ソフィア「うん」


アミリア「ごめん、紅茶冷めたね」

ソフィア「いえいえ!全然お茶美味しい美味しいです」

アミリア「なら良かった」

ソフィア「ごちそうさまでした!食器…自分で片付けますね。では、おやすみなさい」

アミリア「あっありがとう」

ソフィア「素敵な音楽ありがとうございました!」

ガチャッ

素敵な音楽…か……

「昨日新作出たの、もう聴いた?」

「えぇ、聴いたわ!大変素晴らしい曲だったわ!!」

「そうよね〜〜」

アミリア「はぁ…」

思い出してしまった。やだな、忘れようって思ってたのにさ。

寝よう、寝たら忘れるって言うし。

寝たら……ね。


クゥーズ・ウタタス「おぉ、やっぱりお前が作る曲良いな〜今日も録音していいか?家帰ってゆっくり聴きたいからな〜作業bgmってやつ」

アミリア「そうか」

俺は初めはすんなり受け入れた。だが、ある事をきっかけに悩むようになった。

SNS で話題が出ていた曲。それが俺の作った曲なのだ。俺は配信サービスにあげた記憶なんてない。真っ先に疑ったのはクゥーズだ。アイツに違いない。

俺は翌日の朝、いつものように曲目当てでくるクゥーズに問いをかける。

クゥーズ「おはよう、アミリア!いや〜昨日作業しながら聴いてたぜ〜お前の曲」

アミリア「それって本当か?」

クゥーズ「あぁ…そうだけど、どうかしたか?」

アミリア「最近、ある曲が話題になっててな、知ってるか?」

クゥーズ「……あーあのさざ波っていう曲名?」

アミリア「そうだな。実際聴いてみたんだけど、昨日俺がお前に聴かせた曲そっくりなんだけど。気のせいか?なぁ」

クゥーズ「気のせいじゃね??」

アミリア「後、楽譜が欲しいって一時期貸しては、返してくれたけど。楽譜配布もしてるみたいだな。犯罪だぞ」

クゥーズ「………っ!俺って言い切れる証拠とかあんのかよッ!」

アミリア「こうやって曲を実際に音にして披露したのはお前だけなんだって」

クゥーズ「ただの言いがかりだろ?」

アミリア「…っ」

クゥーズ「いやー作曲のしすぎで疲れてるんじゃないか?」

アミリア「俺は疑い続けるぞ。暫く距離を置かせてもらうからな」

クゥーズ「えっ…っとだからやってないってさ!曲聴けなくなると、寂しいな〜って」

クゥーズはそれを聞いて少し困ったような顔で言う。

録音出来ないからか?図星か?

アミリア「取り敢えず、距離は取る」

クゥーズ「なぁ。ちょっ…」

そして俺はクゥーズの言葉を遮るように言う。

アミリア「それって録音出来ないからか?」

クゥーズ「っ…録音?何それ。俺スマホ持ってないし」

前録音していたじゃないか。それに、自分の思い通りにいっていない所為か焦って動揺している。そして、苛立ちを隠せていないその口ぶり、哀れだな。せめて潔く認めてくれたって…それで許されるわけでもないけど。

アミリア「出ていけ、そんな奴だったなんて思いもしなかった」

クゥーズ「おい!考え直せって!」

ガチャ

俺は無理やり追い出しドアに鍵をかけた。後ろからドンドンドン!と強くドアを叩く音がする。

俺はその場に座るように崩れ落ち、頭を抱えた。おい!おい!って聞こえる。

作曲は好きだ。だが、あれ以来しなくなった。どこかで弾いたりしたら盗み聞きされるのではないか、書いた楽譜を盗まれないかが怖かった。自己防衛というやつだ。楽譜なんて見たら…跡形もなく燃やしてしまおう。

俺はマッチを持って丁度夜だったから誰にも分からないような場所。近い場所が森の奥だった。あそこならと思い、走った。そして、比較的広い場所を見つけた俺は木の枝を集めて、積み、火を起こそうというその時。

ミカン「お?おい!お主、そこで何をやっておるんじゃ!」

アミリア「えっ!?」

誰かいたのか、気づかなかった。面倒だな…、こんな真夜中に楽譜を燃やしてます。なんて言っちゃ変だ。

ミカン「お?何じゃそれは」

アミリア「が、楽譜…ですけど」

ミカン「何をしようとしたんじゃ?」

ここまで突かれたならもう言うしかないよな…。

アミリア「燃やそうと…思いまして…変ですよね。すみません、ではこれで…」

ミカン「おい!待て!待つんじゃ!」

早々に立ち去ろうとする俺。が、仕方なく待つ事にした。

アミリア「は、はい?」

ミカン「何で楽譜なんか燃やそうなんて」

アミリア「だ、駄作で…」

言える訳ないだろ。あんな事…。

ミカン「そんなに作ったのか!作曲家か、凄いなぁ」

俺なんて。

ミカン「あ、そうじゃ、ピアノは弾けるか?」

アミリア「弾けます…けど」

ミカン「なら来い!聴かせてくれ!お前の曲を」

アミリア「な、なんで見知らぬ人に…」

そうやって誘って、襲われるかもしれない…。だけど俺の手を引っ張って縋ってくるもんだからさ、、、、仕方ないな。

アミリア「襲ったり…しないですよね」

ミカン「何言っとるんじゃ!そんな事せんわ!」

アミリア「はぁ、ちょっとだけですからね」

ミカン「やった〜ぞ!着いてこい!安心せい!ヴァンパイアじゃが、殺したりはせん!」

え?今なんて…噂にしか聞いた事ない。ヴァンパイア?化け物と一緒にいるのか?俺は。やっぱ、このまま行ったら……。今なら引き返せるかもしれない!

アミリア「ヴァンパイア?化け物となんてっ!」

ミカン「ん?確かに化け物じゃが…」

アミリア「噂になってる人攫いってお前のことか!」

ミカン「わ、わしか!?!?」

何言ってるんだ、この化け物。殺される前に逃げなきゃ。

ディサイア「おい、紙を落としたぞ」

アミリア「え?」

見知らぬ女性が紙を拾ってくれた。よく見ると耳が尖っている。こいつも同じ…。

ディサイア「ふむ、君にしよう」

え?なに、君にしようって…。

ディサイア「すまないが、君は一度寝てもらおう」

すると急に視界が遠のいた。

気がつくと、横の窓から差す月の光が眩しい仄暗い部屋、そこに俺と、楽譜を拾って貰った女性の2人だけ。

俺は縛られていた。なんで、こんな…

そっか、俺死ぬのか?急だな。でも、もう良いんだ。どうでも良くなってきた。

あぁ、こんなこと考えちゃダメだ…ダメ、なのに…、逃げなきゃって思うけど…でも。

アミリア「殺すなら早く殺せよ」

ディサイア「いいや、君は殺さない。その代わり従者になってもらおう」

そして俺はディサイアという方の従者になった。最初は慣れなかったけど日を追うごとに慣れていく毎日。そこから段々人数が増えてきて今では賑やかだ。

何で、夢にまで出てくるのかな…。ここに来て逆に救われたと思っている。辛い時もあるけど、これといって苦ではない、多分。出会った時は反発的な態度をとってしまったことを今でも後悔しているぐらいに…。

さて、今日もまた大変だけど頑張ろう。

続く

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