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この場所は一部のモンスターをのぞいて、立ち寄るモンスターがいない。
ぼくは暇つぶしに地面に咲いている小さな黄色い花をプチッと千切っては空へ投げてみた。
楽しくない。
つまらない。
ーーお前もつまらない存在だろうにーー
そんな声が聞こえた気がした。分かっている、これはぼくが自分に対して思っていることだ。
ぼくはモンスターとしては、【なり損ない】だって言われている。
ぼくの力は何でも化けるすることだが、みんな驚かないし、なんなら他のモンスターからケラケラと笑われるような存在だ。
毎日、毎日、他のモンスター達は歌って踊って……、
何が楽しいんだよ?!
ぼくは何でここに居るんだろう?
ぼくは何のために存在しているのだろう?
ぼくは石の近くでまどろんでいる年老いた犬に近づいて、化けるをしてみる、大きな声で威嚇してみて、少しでも怖く見えないか試してみた。
しかし犬は一瞬目を開くが、すぐに目を閉じて眠り始めた。
ぴくりとも動かない様子を見るに、ぼくは本当に怖くないのだろう。
ぼくは心底自分という存在に落胆した。
ぼくは化けるを解いて、石にもたれかかる。
するとポキポキと音を鳴らして、一体のモンスターがこちらにやってきた。
「やあ、ユニ。その墓石にもたれかかるのは止めなさい」
ぼくのもとへやってきたのは、パーティーを主催しているモンスターのスケルトンだ。
「スケルトン」
「せっかくのパーティーはお気に召さなかったかい?」
彼は心配そうにぼくをみる。モンスター達の中で珍しく、彼はぼくを見下さないし、ぼくのことをちゃんと見てくれているモンスターだ。
「別に、ちょっと気が乗らなかっただけ。スケルトンは今日も骨をポキポキと鳴らして楽しそうだね」
すると彼は分かりやすいように肩の骨を落として、こう言った。
「君にはそう見えるのかい? 私は少し飽きているんだけどね。昔は人間を驚かして楽しめたんだけど……」
「人間って月に旅立った生き物たちのこと?」
なんだか面白そうな話題がふってきたぞ。少しは退屈をしのげるかもしれない。
「ねえ、人間について教えてよ。スケルトン」
「ふふっ、そうだね。暇つぶしがてらに、人間のことを教えてあげよう」
スケルトンはポキポキと手の骨を鳴らして、昔話を語り始めた。