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「変なの。」


変。やっぱり変。

つい昨日までは部屋にも普通に入ってたのに。

類から告げられた、突然の入室禁止命令。

なんでって聞いても、困ったように笑うだけで返事なんて返ってこなかった。


「……ほんと、なんなの」


もういい。考えたって仕方ないのだ。

だったらさっさと忘れて、好きな事をやってしまった方がいい。

そう考えた私は、小型のゲーム機を立ち上げ、敵の待つ戦場へキャラを走らせた。



「……あ、」


自分のキャラがその場にへたり込み、消える。

どうやら裏取りされ、一気に攻め立てられたらしい。


「最っ悪。」


電源を落とし、ベッドにそのまま放り投げた。

ぼふ、とクッションに埋まってぼうっと考えをめぐらせる。

なんで、部屋に入ってはダメなんだろうか。

私たちは幼なじみで、それ以上でも以下でもない。

今までも普通に部屋の行き来くらいはしていたし、本当に意図が読めない。

なんで、どうして。

そんなことを考えているうちに、気が付いたら瞼が落ちていた。



_____________________


なんとか、誤魔化せただろうか。

分からない。けれど、このまま部屋を行き来させる訳には行かない。

いずれ僕にも限界が来るだろうし……

第一、年頃の男女が部屋をひょいひょいと行き来するものでは無いのだ。


「僕は、間違っていないはずだ。全部全部、寧々の為なんだから。」


手元が狂う。

手の甲が山積みの書類に当たって、雪崩て行った。


「….ああ、拾わなくては。……っ」


ぴりっと指先に痛みが襲う。

その痛みを起こした犯人は、刃の出たままのカッター。

どうやら置きっぱなしにしていたらしい。

ぷくりと膨らみ、弾けて流れていく赤を、僕はぼうっと眺めていた。

君のことなんだよ、寧々。

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