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「変なの。」
変。やっぱり変。
つい昨日までは部屋にも普通に入ってたのに。
類から告げられた、突然の入室禁止命令。
なんでって聞いても、困ったように笑うだけで返事なんて返ってこなかった。
「……ほんと、なんなの」
もういい。考えたって仕方ないのだ。
だったらさっさと忘れて、好きな事をやってしまった方がいい。
そう考えた私は、小型のゲーム機を立ち上げ、敵の待つ戦場へキャラを走らせた。
「……あ、」
自分のキャラがその場にへたり込み、消える。
どうやら裏取りされ、一気に攻め立てられたらしい。
「最っ悪。」
電源を落とし、ベッドにそのまま放り投げた。
ぼふ、とクッションに埋まってぼうっと考えをめぐらせる。
なんで、部屋に入ってはダメなんだろうか。
私たちは幼なじみで、それ以上でも以下でもない。
今までも普通に部屋の行き来くらいはしていたし、本当に意図が読めない。
なんで、どうして。
そんなことを考えているうちに、気が付いたら瞼が落ちていた。
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なんとか、誤魔化せただろうか。
分からない。けれど、このまま部屋を行き来させる訳には行かない。
いずれ僕にも限界が来るだろうし……
第一、年頃の男女が部屋をひょいひょいと行き来するものでは無いのだ。
「僕は、間違っていないはずだ。全部全部、寧々の為なんだから。」
手元が狂う。
手の甲が山積みの書類に当たって、雪崩て行った。
「….ああ、拾わなくては。……っ」
ぴりっと指先に痛みが襲う。
その痛みを起こした犯人は、刃の出たままのカッター。
どうやら置きっぱなしにしていたらしい。
ぷくりと膨らみ、弾けて流れていく赤を、僕はぼうっと眺めていた。