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朝の冷たい空気に包まれながら人が少ない平日の駅で深く息を吸った。深茶色のローファーを見つめリュックから単語帳を取り出すのと同時に電車が来てリュックから顔を出した単語帳を押し込むように仕舞った。



靴箱で靴を履き替えていると後ろから担任の植森が野太い声で


「おはよー早いなー」

っと、声を掛けてきた。

驚いて少しよろけてしまったのを誤魔化すように


「おはようございます。

今日はちょっと用事があって、」

と、返事をすると偉いな。と

笑顔で頭を撫でられた。


偉い、、か。



被服室に入るとそこに

まだ及川の姿は無かった。

及川と出会った時もこんな寂しい朝だった。義妹の誕生日で朝からお祝いムードな両親に耐えられなくていつもより4駅も早く学校に向かったのだ。

学校には誰もいなくて、

なんだか寂しくて、

校内を歩いて回っていたらイチゴ柄のカーテンが着いている教室をみつけて興味本位で入ってみたらタバコを吸っている及川が居た。お互い驚いて顔を見合った。


「すみません」

と言ってすぐに出ようとしたけど

まってと、呼び止められた。


「ごめん、これ、

誰にも言わないで。」

と、手首を掴まれて言われた。


「なんで、こんなところでこんなことしてるんですか」

自分でもなんでこんなことを訊いたのかは分からない。焦りと動揺が大きかったのかな。

すると及川も一瞬、驚いた表情を見せてその後、にこっとして


「ここ、今はもう使わないから誰も来ないんだよね。カーテンも着いてるし。何してもバレない。」

バカみたいな口調でバカみたいなことを言うのでなんだかおかしくて笑ってしまった。

この日から頻繁に及川と会うようになったんだ。



なんて事を思い出していたら

ドアが開いた。乱れた制服の中の首に赤いマークが見える。

私の手を引き寄せる及川の匂いはいつもの柑橘系の香りと打って変わって酒の匂いがした。



そっか。





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