『 隣 に い て く れ た 君 へ 』
#2
息がつまり、はっと目が覚める。
周りは見慣れへん白いカーテンで囲まれとる。
悪夢でも見とったんかも。
息があがり、心臓が素早く動く。
『 な ん の 夢 や っ た っ け … 』
怖かったような…
でも、まだ〃夢の中にいたかったような…
よく思い出せずに、悩んどると
先生が此方にきて、学校だということを思い出す。
教 ⌒ ん 、 れ る 桾 、 起 き た ?
瑞 ⌒ ぁ … は い 、 ?
養護教諭らしき人が、カーテンを直し乍此方をみる。
保健室にくる機会がないから、あまり関わりがない先生。
『 な ん て 名 前 や け … 』
先生の名前を思い出そうとしていると
ふと、 頭にハテナがうかぶ。
『 そ う い え ば 、 な ん で 保 健 室 に … … ? 』
何も分からず困惑しとると、
察した先生が、状況を教えてくれた。
教 ⌒ れ る 桾 は 、 倒 れ た ん だ よ
教 ⌒ 如 月 桾 が 保 健 室 へ 連 れ て き て く れ た の
倒れた…?
れるが…?
何も覚えてへんくて、頭がこんがらがる。
教 ⌒ … 如 月 桾 か ら 色 々 聞 い た け ど 、
教 ⌒ 本 当 に 何 も 覚 え て な い の 、 ?
瑞 ⌒ … な に か 、 あ っ た ん で す か … ?
教 ⌒ … な ん で も な い よ
先生がなにか言いたげに、れるを優しく見つめる。
微笑み乍も、その瞳は何処か怯えているように見えた。
教 ⌒ … 昨 日 の 事 は 覚 え て る 、 ?
瑞 ⌒ ぇ 、 は い 、 … ?
教 ⌒ ど こ で 、 何 し て た の ?
瑞 ⌒ 普 通 に 学 校 で す け ど 、 ?
教 ⌒ … う ん 、 そ か …
…ゆうくんも、先生も、何処か噛み合わへん。
れるがなんか忘れとるんやないかと、ぼんやり考える。
瑞 ⌒ れ る な ん か 忘 れ て ま す 、 ?
先 ⌒ … … こ の 話 は 今 は 辞 め よ う か
先 ⌒ ま た … 今 度 ね 、
先生の声が微かに震え、目を逸らす。
もやっとしつつ、適当に挨拶を済まし廊下へでる。
『 教 室 … 行 き た な い な … 』
ずっと頭に靄がかかっとるようで、
気晴らしに屋上へむかう。
瑞 ⌒ … あ れ … ?
誰でも屋上へ行けるはずなんに、
ドアには鍵がかかり、立ち入り禁止の張り紙が。
瑞 ⌒ 工 事 で も し て ん や ろ な …
いつも通りなはずの学校。
少し、たった少しのズレが、れるの中でぐにゃりと混乱させる。
瑞 ⌒ … … な ん や ろ こ の … 違 和 感
丁度チャイムが鳴り、仕方なく教室へ戻ろうとした時、
廊下で養護教諭の先生に呼ばれる。
教 ⌒ れ る 桾 、 ち ょ っ と 来 て く れ る ?
廊下の静かな一角で、先生が小さな箱を差し出す。
瑞 ⌒ ぇ と … こ れ は … ?
教 ⌒ 受 け 取 っ て
教 ⌒ 誰 か の … 大 事 な も の な ん だ け ど … …
教 ⌒ れ る 桾 に 預 け て お き た い の
目を伏せ、優しく微笑む先生。
箱の中には、桜の髪留めと、三角の髪留め、そして小さな鍵が入っていた。
瑞 ⌒ … え 、 こ れ 、 誰 の ?
教 ⌒ そ れ は … … 今 は 言 え な い
教 ⌒ で も 、 れ る 桾 に 必 要 な の
瑞 ⌒ … は 、 は ぁ … …
受け取ったものの、
誰の髪留めか、鍵の用途も分からず、戸惑うばかりやった。
瑞 ⌒ … … ど う す ん ね ん こ れ … …
でも、手の中にある小さな箱の重みが、
なにか大切なことの始まりを告げているように思えた。
その瞬間、心の奥の違和感が、さらに大きく膨らんでいくのを感じた。
手のひらの中で、鍵がかすかに鳴る。
微かになった音が、やけに鮮明に響いた。
その音が、胸の奥のざわつきをさらに強くした。
誰かの声が、遠くで呼んでいる気がした。
けど、思い出せへん。
顔も、名前も。
廊下の窓から差し込む光が、
箱の中の髪留めをきらりと照らす。
その一瞬、
“隣にいたはずの君”の影が、ふっと脳裏をかすめた。
コメント
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物語構成うま…🫶
え 、、すき 、((急な告白(