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夜10時を少し過ぎたころ。通知が鳴った瞬間、ファンたちは一斉にスマホを開く。
「みんなの恋愛話聞きます💕質問もちょーだい!」
久しぶりの配信に、コメント欄はすでにお祭り状態だった。
画面がつながると、天羽そながふわっと笑って手を振る。
「やっほ〜、元気してた?なんかね、急にみんなと話したくなってさ」
部屋は少し暗めで、間接照明だけが柔らかく灯っている。
いつもより素の雰囲気に、ファンはすぐに気づく。
「今日ね、恋バナ回にしようと思って。みんなの話、いっぱい聞きたい」
コメントが一気に流れる。
「そなちゃんの恋愛観は?」
「最近幸せそうだよね」
「岩瀬くんとの話も聞きたい!」
そなは一瞬だけ目を細めて、くすっと笑う。
「逃げられない感じ?笑」
少しだけ考えてから、ちゃんとカメラを見る。
「うーん…でもね、隠すよりちゃんと話したほうが、みんなとも楽だなって思ってる」
その言葉は軽く聞こえるのに、不思議と芯があった。
「元気だよ。普通に会ってるし、普通に話してるし」
少し間を置いてから、
「“特別なことしてる”っていうより、“当たり前に一緒にいる”って感じかな」
コメント欄が一気に「尊い」で埋まる。
そなは照れたように笑って、
「はいはい、もうその話は終わり!今日はみんなの!」
と、少し強引に戻す。
「じゃあいくよ〜。“片思いしてて、自信が持てません”」
そなは一度、深く息を吸う。
「自信ってね、“あるから好きになる”んじゃなくて、“好きだから欲しくなるもの”だと思う」
コメント欄が一瞬止まる。
「だから、今ないのは普通だよ。むしろちゃんと好きってことじゃん」
少し柔らかく笑う。
「無理に強くならなくていいよ。弱いままでも、ちゃんと誰かに届くときは届くから」
「次。“好きな人に振り回されてつらいです”」
「…それね、ちょっとだけ厳しいこと言うね?」
空気が少し変わる。
「振り回されてるって思ってる時点で、もうその恋は対等じゃないの」
コメント欄が静かになる。
「好きって、本当はどっちかが我慢し続けるものじゃないよ」
ゆっくりと言葉を選びながら続ける。
「ちゃんと大事にしてくれる人を好きになれるのも、“恋愛の才能”だと思う」
「次いこ。“長く続く恋のコツって?”」
そなは少し考えて、ふっと笑う。
「これね、最近ちょっと分かってきたかも」
カメラに近づいて、少し小さな声で。
「“好き”を頑張りすぎないこと」
「ドキドキし続けなきゃって思うと、しんどくなるでしょ?」
「でもね、“落ち着く”って、退屈じゃなくて“信頼してる証拠”なんだよ」
コメント欄に「深い」が流れる。
「一緒にいて静かでも平気な人って、たぶんすごく大事」
少しだけ遠くを見る。
「…そういう時間、好きなんだよね、最近」
またコメントがざわつく。
そなは気づいて笑う。
「はいはい、察しない!笑」
22
#妄想
「“告白する勇気が出ません”」
「いいね〜青春だね」
「でもね、これだけは言わせて」
少しだけ真剣な顔になる。
「言わない後悔って、ずっと残るけど、言った後悔って意外とちゃんと終わるんだよ」
「だから、迷ってるなら…私は言う方すすめるかな」
「ダメでも、自分のことちょっと好きになれるしね」
配信はどんどん深夜に近づいていく。
笑ったり、少し真面目になったり、時々照れたり。
ふと、コメントにまた名前が流れる。
そなはそれを見て、少しだけ黙る。
そして、小さく笑う。
「なんかさ」
「恋愛って、“特別な人を探すこと”じゃなくて、“その人を特別にしていくこと”だと思うんだよね」
静かに、でもはっきりと。
「最初から完璧な人なんていないし」
「一緒にいる時間で、“この人がいい”になっていく」
少しだけ照れたように目をそらす。
「…まぁ、そう思える人に出会えたら、それで十分じゃない?」
コメント欄はもう、言葉にならない空気で満たされる。
気づけば、配信は1時間を超えていた。
「そろそろ終わろっかな」
少し名残惜しそうに笑う。
「今日さ、みんなの話いっぱい聞けてよかった」
「恋してる人も、してない人も、なんかちょっとでも楽になってたらいいな」
最後に、少しだけ優しい声で。
「恋ってね、うまくいくかどうかより、“ちゃんと誰かを想えたか”のほうが大事だと思う」
「その気持ちは、絶対無駄にならないから」
手を振りながら、
「じゃあね、おやすみ」
一瞬止まって、少しだけいたずらっぽく笑う。
「…いい恋してね」
画面が暗くなる。
でも、その言葉だけが、しばらく胸に残り続けた。
配信が終わって、画面が暗くなったあとも、しばらく誰もアプリを閉じられなかった。
コメント欄は止まったままなのに、さっきまでの空気がまだ残っているみたいで――
静かな余韻だけが、じわっと広がっていく。
そして数分後。
「アーカイブを残しました📹💭」
そなのストーリーが更新される。
その一言だけで、また一気に世界が動き出す。
「え、アーカイブあるの神」
「助かる、途中からだった」
「もう一回ちゃんと聞く」
「名言多すぎてメモしたい」
タイムラインやコメント欄、ファンの間のチャットは一瞬で“そな一色”になる。
アーカイブを見返す人たち。
最初の「やっほ〜」で笑って、
恋愛の話でうなずいて、
名言のところで巻き戻して、また止める。
「“好きだから自信が欲しくなる”ってやばくない?」
「“言わない後悔は残る”刺さった」
「“特別な人を探すんじゃなくて特別にしていく”って何…天才?」
切り抜きみたいに、言葉だけがどんどん広がっていく。
あるファンの投稿。
「今日のそなちゃんの配信、なんか普通の恋愛相談じゃなかった」
「ちゃんと自分の言葉で話してる感じがして、リアルだった」
その投稿に、いいねが増えていく。
一方で、あの話題もやっぱり少しだけ。
「岩瀬くんとの話、さらっとしてるの逆にリアル」
「幸せそうなの伝わるのいい」
「変に隠さないのが好感しかない」
でも、それ以上に広がっていくのは――
“恋愛観そのもの”だった。
深夜。
もう日付が変わる頃。
それでもまだアーカイブの再生数は伸び続けている。
コメント欄にも、新しい書き込みが増えていく。
「今見終わった。なんか泣いた」
「恋したくなった」
「ちょっと勇気出してみる」
「この配信、保存版だわ」
そして、その流れの中で。
そながぽつりと投稿する。
今日ありがとね🌙
みんなの恋バナ、あったかかった
うまくいってもいかなくても、
誰かをちゃんと好きになれたことって
それだけでちょっとすごいことだと思う
また話そっか
おやすみ🕊
その投稿のコメント欄も、すぐに埋まっていく。
「こちらこそありがとう」
「救われた」
「また絶対やってほしい」
あの夜の配信は、ただの“恋愛相談”じゃなかった。
誰かの背中を、少しだけ押した夜。
誰かの気持ちを、少しだけ軽くした夜。
そして何より――
“好きになること”を、少しだけ肯定してくれた夜だった。
アーカイブの再生ボタンは、きっとこれからも何度も押される。
@sona.nano
いんらいありがとう。
アーガイブ残したら1時間で1000万回生だってよ
びっくりだ