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ひとつ。

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ひとつ。

2 - 2.

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2024年10月21日

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ワンクッション











































─────────────

人間と出会った。

それは、透き通った瞳を持ち、俺の前に立っていた。

まだ幼かった俺と、同じ背丈の人間だ。

だがどう足掻こうが、人間の方が寿命は短い。

俺は、ただそれと友達になりたいだけだ。






























─────────────

「……ッ、いたい、いたいよぉ、」

羽がじゅわりじゅわりと溶けるような感覚に襲われる。

飛ぶために動かしていた翼を止めて、草むらの中へと落ちる。

背中の痛みに負けず、翼は痛み続ける。

白が、黒に呑まれていくようだ。

カビるように。

腐るように。

無くなるように。

純白の翼は、次第に漆黒へと変わりゆく。

それに気づくこともできないまま、天使は1人、草むらの中で蹲る。

小さく、小さく。

天界から落ちてしまった時と同じ背丈に見えるほど、天使は丸まった。

声を上げて泣き喚き、今無き友達の名を叫び続ける。

いや。

元々、友達なんていなかったのだ。

そんな事実に、押し潰された。

























───────────

戦争が始まるらしい。

そんな知らせを聞いた彼らは、胸を震わせながら休憩を取っていた。

zmとshoは未だに走り続けているが。

「…遂に行くんやな、俺ら。」

「そうっすね、絶対に帰りましょ。」

utとshpは、拳をこつん、とぶつける。

隣に座るtnはまだ怒っているようだ。

そんな彼の隣に、emが座り、水の入ったペットボトルを渡す。

「疲れたなあ。毎日訓練は辛いわな。」

「…おつ。明日行けるか。」

「正直不安。爆弾とか見るの初めてやしさー。」

「……。」

「ciくんが心配??」

「…ッ、当たり前やん、くそ、」

くしゃり、と前髪を掴み俯くtnから目を離し、走り回るzmとshoを見る。

ciは、天使だ。

有り得ないと思うだろうが、空から落っこちてきた天使なのだ。

彼の背中には大きな翼がある。

純白で、つやつやの綺麗な翼がある。

その重さでまともに走れず、今年になってようやく歩くことができたくらいだ。

tnが彼をここに連れて来なかったのは、彼を傷付けたくないからだ。

素直じゃないから、少し空回りしているようだが。

「大丈夫やろか、あいつ、ちゃんとやってるかな?em、上のやつにまた休暇もらって見に行かんか、??化け物言われてあいつ傷ついとるって、」

「信じるしかないな、あと少しの辛抱や。」

「……せやな。」

口下手な彼にとって、友達になりたい。は、どうにも返事に困る願いであったのだ。

うん、と言うべきだっただろうか。

いいよ、と言うべきだっただろうか。

当たり前だ、と言うべきだっただろうか。

どれも、上から目線な気がして、言いずらかった。

いつか、いつか言うんだ。

自分は友達だと思っていると、言うつもりだ。

友達になるかならないか、それは時間が解決してくれるであろうと考えていた。

お互いで決めるものじゃない。

そう、感じるものだと。





























────────────

「…大丈夫や、rp。怖くない。」

ザッザッ、と足音を立てながら戦場へ向かう。

震えているrpの背中をmrは元気よく叩き、元気づけた。

他の皆も緊張しているようだが、どこか興味を持っているように足を進めている。

それから。

「死ぬなよ。絶対皆で帰ろうな。」

ザザッ。

国の幹部の合図で、皆は別れ走り出す。


tnとzm、shpは近距離部隊である。

3人で、岩陰に隠れながら銃を構えた。

相手の隙を見て走り出す。

元々身体能力、対応力が高いので、次々に敵を倒し、前へと進めていた。

ut、mrは報告隊にいた。

敵がどんな行動をしてくるのか、味方の配置状況、などをその場に適応して報告をする。

2人のコンビネーションは凄まじい。

rp、shoは遠距離部隊だ。

少し離れた場所で、銃を構えている。

緊張で震えていたrpも、今は切り替えをして真剣な目付きでスコープを覗いていた。

心配はいらないだろう。

そして、emは医療部隊。

テントの中で医療具を持ちながら待機している。

知識があるので、慌てずに行動ができるのが、emの素晴らしさであろう。

運ばれて来たのが、誰だとしても。






「shp!!危ない!!」

「ッ、!すんませんッ!」

「一旦下がろう!」

肩に銃弾を掠めたshpを引き、岩陰へと戻る。

他のシティから来た仲間達が、変わって出ていく。

tnはまだ前線を行っている。

もう既に姿は見えない。

血がたら、と垂れるのに、shpは冷や汗をかく。

体の体温が一気に下がったようだ。

「血が止まらんな。すまん、縛るわ。」

zmは服を破り、傷口に巻き付ける。

ぐ、と力をつけて巻き、圧迫止血を試みた。

ザワザワ。

「…なんや、?」

いきなり、辺りがざわつき出す。

ふと、辺りが日陰になり、暗くなった。

「うえ、?」

ああ。天使が舞い降りてきたのだろうか。


銃声が一発。

慌てて銃声が聞こえた、前線の方を向き直す。

その方向には、確かに赤色のニットが見える。

まさか、まさか。

zmは立ち上がり、shpを抱えて走り出す。

tnが、倒れていくのが、スローモーションのように移り出される。

映画のように。

手本のバットエンドのように。


いやそれは。

自分が想像したバットエンドではないのか。


黒色、白色が混ざった羽がいくつもいくつも、空中を跳ねてふわふわと飛んでいる。

それとは真逆の、濃い赤色が地面を侵略している。

その赤色は、tnのものではなかった。

倒れ込んだtnの膝に、1人の天使が。

否、友達がいた。


敵軍は突然のことに驚き、その隙に仲間が敵軍を倒し、前へと進んでいく。

囲んでいた敵軍が全員倒れた時くらいだろうか。

tnの悲痛な呟きが、ひとつ。ふたつ。

現実に戻されたzmとshpも、みっつ。よっつ。

状況を見ていたut、mrの、いつつ。むっつ。

スコープ越しに見てしまったrp、shoの、ななつ。やっつ。

shpのために医療具を持ってきたemが、ここのつ。

それから。

「…ともだち、なり、た…」

黒く染った天使の悲痛な、

いや。


満悦な願いが、ひとつ。


























─────────────

「…こう、ならんために、してたはずやのに。」

素直になれていたら、と思うとどうしても自分を殴りたくなる。

でも、それでも拳を上げてみたら、

白色の翼をしたciが脳内に浮かび上がって。

「tn、また友達になれるから。」

と、俺を慰める。

その度、拳を下げざるを得なかった。


それにね。

「tn、俺天使なんやってば。」

「…っ!!そうやったなあ。」

黒色の翼になってしまっても、天使に変わりは無いらしい。

彼は、また天使として、俺の前へと現れた。

大切な、俺の友達。ひとつ。












短くなってしまった申し訳ない


質問なのですけれども

ひとつの物語を、今回みたいに分けて、連載形式にするか、ひとつの長編にするか、どちらが良いとかありますかね??

連載形式なら、投稿頻度はまあ、悪くないけど、一々見るのめんどい

長編なら、一気に見れるけど、投稿頻度ごみ

ってとこですかね


希望があればぜひコメントください

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