ワンクッション
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人間と出会った。
それは、透き通った瞳を持ち、俺の前に立っていた。
まだ幼かった俺と、同じ背丈の人間だ。
だがどう足掻こうが、人間の方が寿命は短い。
俺は、ただそれと友達になりたいだけだ。
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「……ッ、いたい、いたいよぉ、」
羽がじゅわりじゅわりと溶けるような感覚に襲われる。
飛ぶために動かしていた翼を止めて、草むらの中へと落ちる。
背中の痛みに負けず、翼は痛み続ける。
白が、黒に呑まれていくようだ。
カビるように。
腐るように。
無くなるように。
純白の翼は、次第に漆黒へと変わりゆく。
それに気づくこともできないまま、天使は1人、草むらの中で蹲る。
小さく、小さく。
天界から落ちてしまった時と同じ背丈に見えるほど、天使は丸まった。
声を上げて泣き喚き、今無き友達の名を叫び続ける。
いや。
元々、友達なんていなかったのだ。
そんな事実に、押し潰された。
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戦争が始まるらしい。
そんな知らせを聞いた彼らは、胸を震わせながら休憩を取っていた。
zmとshoは未だに走り続けているが。
「…遂に行くんやな、俺ら。」
「そうっすね、絶対に帰りましょ。」
utとshpは、拳をこつん、とぶつける。
隣に座るtnはまだ怒っているようだ。
そんな彼の隣に、emが座り、水の入ったペットボトルを渡す。
「疲れたなあ。毎日訓練は辛いわな。」
「…おつ。明日行けるか。」
「正直不安。爆弾とか見るの初めてやしさー。」
「……。」
「ciくんが心配??」
「…ッ、当たり前やん、くそ、」
くしゃり、と前髪を掴み俯くtnから目を離し、走り回るzmとshoを見る。
ciは、天使だ。
有り得ないと思うだろうが、空から落っこちてきた天使なのだ。
彼の背中には大きな翼がある。
純白で、つやつやの綺麗な翼がある。
その重さでまともに走れず、今年になってようやく歩くことができたくらいだ。
tnが彼をここに連れて来なかったのは、彼を傷付けたくないからだ。
素直じゃないから、少し空回りしているようだが。
「大丈夫やろか、あいつ、ちゃんとやってるかな?em、上のやつにまた休暇もらって見に行かんか、??化け物言われてあいつ傷ついとるって、」
「信じるしかないな、あと少しの辛抱や。」
「……せやな。」
口下手な彼にとって、友達になりたい。は、どうにも返事に困る願いであったのだ。
うん、と言うべきだっただろうか。
いいよ、と言うべきだっただろうか。
当たり前だ、と言うべきだっただろうか。
どれも、上から目線な気がして、言いずらかった。
いつか、いつか言うんだ。
自分は友達だと思っていると、言うつもりだ。
友達になるかならないか、それは時間が解決してくれるであろうと考えていた。
お互いで決めるものじゃない。
そう、感じるものだと。
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「…大丈夫や、rp。怖くない。」
ザッザッ、と足音を立てながら戦場へ向かう。
震えているrpの背中をmrは元気よく叩き、元気づけた。
他の皆も緊張しているようだが、どこか興味を持っているように足を進めている。
それから。
「死ぬなよ。絶対皆で帰ろうな。」
ザザッ。
国の幹部の合図で、皆は別れ走り出す。
tnとzm、shpは近距離部隊である。
3人で、岩陰に隠れながら銃を構えた。
相手の隙を見て走り出す。
元々身体能力、対応力が高いので、次々に敵を倒し、前へと進めていた。
ut、mrは報告隊にいた。
敵がどんな行動をしてくるのか、味方の配置状況、などをその場に適応して報告をする。
2人のコンビネーションは凄まじい。
rp、shoは遠距離部隊だ。
少し離れた場所で、銃を構えている。
緊張で震えていたrpも、今は切り替えをして真剣な目付きでスコープを覗いていた。
心配はいらないだろう。
そして、emは医療部隊。
テントの中で医療具を持ちながら待機している。
知識があるので、慌てずに行動ができるのが、emの素晴らしさであろう。
運ばれて来たのが、誰だとしても。
「shp!!危ない!!」
「ッ、!すんませんッ!」
「一旦下がろう!」
肩に銃弾を掠めたshpを引き、岩陰へと戻る。
他のシティから来た仲間達が、変わって出ていく。
tnはまだ前線を行っている。
もう既に姿は見えない。
血がたら、と垂れるのに、shpは冷や汗をかく。
体の体温が一気に下がったようだ。
「血が止まらんな。すまん、縛るわ。」
zmは服を破り、傷口に巻き付ける。
ぐ、と力をつけて巻き、圧迫止血を試みた。
ザワザワ。
「…なんや、?」
いきなり、辺りがざわつき出す。
ふと、辺りが日陰になり、暗くなった。
「うえ、?」
ああ。天使が舞い降りてきたのだろうか。
銃声が一発。
慌てて銃声が聞こえた、前線の方を向き直す。
その方向には、確かに赤色のニットが見える。
まさか、まさか。
zmは立ち上がり、shpを抱えて走り出す。
tnが、倒れていくのが、スローモーションのように移り出される。
映画のように。
手本のバットエンドのように。
いやそれは。
自分が想像したバットエンドではないのか。
黒色、白色が混ざった羽がいくつもいくつも、空中を跳ねてふわふわと飛んでいる。
それとは真逆の、濃い赤色が地面を侵略している。
その赤色は、tnのものではなかった。
倒れ込んだtnの膝に、1人の天使が。
否、友達がいた。
敵軍は突然のことに驚き、その隙に仲間が敵軍を倒し、前へと進んでいく。
囲んでいた敵軍が全員倒れた時くらいだろうか。
tnの悲痛な呟きが、ひとつ。ふたつ。
現実に戻されたzmとshpも、みっつ。よっつ。
状況を見ていたut、mrの、いつつ。むっつ。
スコープ越しに見てしまったrp、shoの、ななつ。やっつ。
shpのために医療具を持ってきたemが、ここのつ。
それから。
「…ともだち、なり、た…」
黒く染った天使の悲痛な、
いや。
満悦な願いが、ひとつ。
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「…こう、ならんために、してたはずやのに。」
素直になれていたら、と思うとどうしても自分を殴りたくなる。
でも、それでも拳を上げてみたら、
白色の翼をしたciが脳内に浮かび上がって。
「tn、また友達になれるから。」
と、俺を慰める。
その度、拳を下げざるを得なかった。
それにね。
「tn、俺天使なんやってば。」
「…っ!!そうやったなあ。」
黒色の翼になってしまっても、天使に変わりは無いらしい。
彼は、また天使として、俺の前へと現れた。
大切な、俺の友達。ひとつ。
短くなってしまった申し訳ない
質問なのですけれども
ひとつの物語を、今回みたいに分けて、連載形式にするか、ひとつの長編にするか、どちらが良いとかありますかね??
連載形式なら、投稿頻度はまあ、悪くないけど、一々見るのめんどい
長編なら、一気に見れるけど、投稿頻度ごみ
ってとこですかね
希望があればぜひコメントください