テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

悪役令嬢は良い人でした

一覧ページ

「悪役令嬢は良い人でした」のメインビジュアル

悪役令嬢は良い人でした

58 - 第58話 カリーヌの探し物(カリーヌ視点)

♥

7

2025年07月26日

シェアするシェアする
報告する

カリーヌは、沙織が王の命令を無事に終わらせて、このアーレンハイム邸に帰って来てくれた事が、嬉しくて仕方なかった。


(サオリ様が無事にお戻りになって、本当に良かったわ!)


そんな、ある日。


カリーヌがお茶会から公爵邸へ帰ると、沙織が神妙な面持ちでやって来た。


「カリーヌ様、申し訳ありません。宮殿に連れて行ったリュカが……行方不明になってしまったのです」

「そ、そんなっ……」


悲しそうに伝えてくる沙織に、カリーヌはそれ以上何も言えなかった。


(リュカが居なくなってしまうなんて……。私も悲しいけれど、サオリ様はもっと悲しんでいらっしゃるわ。どうしたら、サオリ様を元気付けられるかしら?)


オロオロするしか出来ない自分に、不甲斐なさを感じたカリーヌは落ち込んだ。



◇◇◇



――数日後。


カリーヌは、宮殿で開かれるダンスパーティーに行くことになった。


公爵家の者として、絶対に参加しなければならないパーティーだ。正直なところ、ダンスパーティーには辛い思い出があり、未だに宮殿に行くのが怖い。


ただ、今回は沙織もミシェルも一緒なので、それだけでカリーヌは心を強く持てた。


出来上がったばかりのドレスが、ようやく届いたので、今日はそれを着て行く。


カリーヌと沙織は、新しいデザインの素敵なドレスを新調していたのだ。雰囲気や体型の違う二人は、髪飾りだけ色違いでお揃いの物を作ってもらった。

それぞれの髪色に合わせた髪飾りで、動くと揺れるストーンがあしらわれて、とても可愛らしい。

何より、沙織とお揃いということで、カリーヌの一番のお気に入りになった。


自分も身支度を整えてもらいながら、カリーヌはキラキラとした瞳で、沙織を見つめる。


(サオリ様は、スラッとスタイルが良くてっ。何て素敵にドレスを着こなすのでしょう!)


うっとりとしている間に、カリーヌも仕上がった。



支度を終えた、カリーヌ、沙織、ミシェルは、馬車で宮殿へと向かう。


婚約者のいないカリーヌのエスコートは、弟であるミシェルがする。

沙織のエスコートはガブリエルがする予定なのだが――忙しいガブリエルは、先に宮殿へ行っていると連絡があった。


馬車が宮殿へと到着すると、沙織は先にガブリエルに用事があると言う。直接ホールで落ち合う約束をして、時間まで別行動をする事になった。


(サオリ様と離れてしまうのは、不安だけれど……。いいえ! 私もしっかりしなくては)


そんな思いを胸に抱き、ミシェルにエスコートされ、背筋を伸ばして歩く。

すると、突然――。ミシェルはハッとした様に、キョロキョロとしだした。


「ミシェル? どうかしたの?」


「カリーヌ姉様、申し訳ありません! 馬車に落とし物をした様です。取りに戻っても良いでしょうか?」


「まあ! それは大変だわ。私は、ここで待っていますから、取りに行ってらっしゃい」


「姉様、ありがとうございます! 直ぐに戻ります!」


ミシェルを見送ったカリーヌは、豪華な宮殿の廊下の端で暫く待つことにした。あのダンスホールに一人で入る勇気は、まだ無い。


そして、何気なく目をやった廊下の片隅に――。


見覚えのある、青いモフモフの尻尾がパタパタと動いていた。まさかと思い、それをじっと凝視していると……クルッと振り向いた。

クリクリの可愛い目をしたリバーツェが、ぱちぱち瞬きしてカリーヌを見る。


(あっ! あれはリュカ? そうだわ、サオリ様は宮廷で居なくなってしまっと……あ、だめよ、行ってしまうっ。追いかけなくてはっ)


カリーヌは、動き出したリュカを追いかけた。洗練された歩き方を崩さずに。

ドレスの中で足を必死に動かして歩くが、小動物の速さに合わせるのは流石に辛かった。

けれど――。

途中で止まっては、まるでカリーヌが追いつくのを待っているかの様に、リュカらしきリバーツェは進んで行く。


あと少しで捕まえられると思ったら、開いていた扉の中にシュッと入ってしまった。


(リュカ、待って……)


慌ててカリーヌも中に入ると……そこは、一度だけ来た事がある、見覚えのある部屋だった。

カリーヌは辺りを見回し、リュカを呼んだ。


「リュカっ、お願いです! 出てきてくださいませ!」


「……カリーヌ嬢?」


背後から、急に声をかけられてビクッと肩が跳ねる。

カリーヌのリュカを呼ぶ声を聞いて出てきたのは――リュカではなく、カリーヌの知らない男性だった。

慌てて、カリーヌは勝手に部屋に入ってしまったことを謝り、その男性の顔を見た。


「……アレクサンドル殿下? えっ、違う……? あっ、失礼いたしました! 人違いをしてしまったようです」


アレクサンドルによく似た男性は、同年代には見えず少し年上のようだ。

漆黒の髪に瑠璃色の瞳の、落ち着いた優しい雰囲気で、どことなく聞き覚えのある声でカリーヌに話しかけてくる。


「今日はダンスパーティーの筈ですが、どうしてこちらに?」

「え、あっ! こちらに、リバーツェは来なかったでしょうか?」

「……リバーツェ?」


男性は怪訝そうな顔をし、周りを見渡した。


(どうしましょう。不快にさせてしまったかしら……でも)


「申し訳ありませんが……少しだけ。ほんの少しだけ、探させていただいてもよろしいですか?」


カリーヌは勇気を振り絞りお願いすると、男性は優しく微笑み頷いた。


「では、僕も一緒に探しましょう」


――ドキッ!


カリーヌはそのアレクサンドルに良く似た男性に、胸が高鳴るのを感じた。


(……初めて会った方に、どうしてドキドキしてしまうのかしら?)


自分の感情が理解できないまま、部屋の中を二人で隈無く探した。初対面の男性と一緒にいるとは思えない程、自然に振る舞えていることに――カリーヌ自身が驚いている。


「……見つかりませんね」


残念そうに言う男性に、お礼を言おうとすると。

「カリーヌ様?」と、背後から名前を呼ばれた。


「まあ、ステファン様!」


今まで何度も会いたいと願っていた――リュカと同じ髪色をした、ステファンが立っていた。


悪役令嬢は良い人でした

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

7

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚