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小説:青の林間学校 第1話プロローグ :
2025年8月25日
それは、ある夏の夜の出来事だった。
「……なあ、すごく怖いんだけど」
少年Aが震える声で呟く。彼らが足を踏み入れたのは、街外れにある不気味な廃病院だった。 「大丈夫だ! 俺に任せとけって」
少年Bが頼もしく胸を叩くが、その手も微かに震えている。
「おい、カメラちゃんと回ってるか?」 「……多分」 少年Cの問いに、Bが適当に答える。
「多分ってなんだよ!」 とCが突っ込んだその時。
――ガタンッ!!
静寂を切り裂く謎の物音が響いた。
「今、なんか聞こえなかったか?」 「風だろ、風」
自分たちを納得させるように頷き、彼らは奥へと進んでいく。そこには無数のドアが並ぶ異様な廊下があった。
「……あれ? 少年Aは?」
振り返ると、さっきまで怯えていたはずの仲間の姿がない。
「おい、どこ行ったんだよ……。おい、C! お前まで……嘘だろ!?」
一人残された少年Bは、背後に「何か」の気配を感じて振り返る。 そこには、見てはいけないモノがいた。
**「グチャッ、ボリッ……」**という、何かを貪る咀嚼音。
その後、彼らの姿を見た者は誰もいない。ネットでは「神隠し」として騒がれたが、5年の歳月がその記憶を風化させていった。
5年後:2030年6月14日
「林間学校だああああ! おーいみんな、準備はいいか!?」
梅雨の気配を感じる6月。黒咲広(くろさき ひろし)の叫び声が校庭に響いた。
「元気だなあ、広。朝からテンション高すぎ」 呆れたように笑うのは、幼馴染の小大日向(こおだい ひなた)。広のボケを的確に捌く、この物語の「新八的ツッコミ役」である。
「当たり前だろ! 楽しみすぎて羊を13,877匹数えたんだぞ」
「数えすぎだよ。一睡もできてないだろ」 「隣のクラスの妹分なんて68,742匹だぞ」 「それはもう別の競技だよ」
そんな二人の頭に、強烈な拳骨が落ちた。 「お前ら、いつまで油を売っている!」
「あだっ! なにすんだよ梅雨美ちゃん!」 「『ちゃん』を付けるな! 私は生徒会長だ!」
小林梅雨美(こばやし つゆみ)。作者の好みの女性キャラを3人融合させたという、どこかで見たような設定を持つ最強の生徒会長だ。 「梅雨ちゃん、そのくらいにしてあげなよー」 なだめるように現れたのは、美少女の天空寺千春。彼女は梅雨美にとって数少ない敬語を使わなくていい親友(?)である。
「千春さぁぁぁぁぁん!! 愛してますぅぅぅ!」 突然、猛スピードで突進してきたのは、通称「ゴリ山」。本名は誰も覚えていない、千春への愛が重すぎるストーカーである。
――ドゴォッ!! 千春の鮮やかな回し蹴りがゴリ山の顔面にクリーンヒットした。
「近寄るな、クソゴリラ」
「ぶふぉっ……! さ、流石です千春さん……」
「……お前ら、早くバスに乗れ」
重苦しい声の主は、担任の小曽根先生だ。強面で生徒から「人生終わった」と恐れられているが、実は一番の生徒思いである。 こうして、賑やかすぎる一行を乗せたバスは、目的地へと出発した。
昼食:ポトフライスと暗黒物質(ダークマター)
現地に到着し、始まったのは昼食のカレー作り。しかし、ここで問題が発生する。
「カレーのルーが……ない」
絶望するゴリ山。どうやら予備の班に回されたらしい。
「仕方ない、ポトフを作るか。俺には弟妹がいるから料理は得意なんだ」
ゴリ山はカバンから「非常食」だと言い張り、ブロックベーコンとチューブニンニクを取り出した。どんな非常食だ。 紆余曲折を経て、完成したのは「ポトフとバターライス」。意外にも美味しそうな香りが漂う。
「みんなー、サラダができたよ!」
笑顔の千春が持ってきた皿を見て、広と梅雨美は絶句した。
「……なあ日向。サラダって、全体にモザイクがかかる食べ物だったか?」
「僕に聞かないでよ……。止められなかったんだ……」
皿の上には、色彩を失った何か(通称:ダークマター)が鎮座していた。
「千春さんが作ったなら、美味いに決まってる! いただきます!」
勇者ゴリ山が一口食べた。
「……お母さん、産んでくれてありがとう……」
ゴリ山はそのまま白目を剥いて倒れたが、数時間寝たら驚異の回復力で復活した。やはりゴリラは強い。
翌日:オリエンテーリングの怪
翌日、校長先生からの説明が始まった。
「いいか、北西にある『廃墟の病院』には絶対に行くなよ。フリじゃないぞ」
「なんでですか?」
というモブ生徒の問いを 「モブは黙ってろ」と切り捨てた校長。 一行はAからJまでのマークを探すオリエンテーリングを開始した。
道中、梅雨美がゾロ並みの方向音痴を発揮したり、ゴリ山が千春に吹っ飛ばされたり、どこかで見たような「大きな蜘蛛」や「変なおばさん」や「羽の生えた猿」に遭遇したりと(名作くん第107話のような)トラブル続きだったが、ついに最後の地点「J」に辿り着く。
「……なあ。あれ、校長が言ってた病院じゃないか?」
広の指差す先、木々の合間に古い病院の影が見えた。
「行っちゃダメですよ、怪物が出るって……」 怯える日向を余所に、広の好奇心が燃え上がる。
「んなわけねーだろ、脅かしだよ。ちょっと探検しようぜ!」
「もし何か出ても、俺が守ってやるからよ!」 ゴリ山の言葉に背中を押され、一行は禁断の地へと足を踏み入れる。
彼らを見つめる、何者かの視線に気づかぬまま。
「……ふーん。あいつらも、良い『材料』になりそうだ」
暗闇の中で、不気味な声が低く響いた。
(つづく)
今回の執筆ポイント
* メタ発言の整理: 「作者の好み」「モブ」「名作くん」などのメタ的なセリフを、あえて強調することでシュールな面白さを出しました。
* キャラクターの対比: 広の無鉄砲さと日向の苦労人っぷりを際立たせています。
* ホラーへの伏線: 冒頭と最後に不穏なシーンを入れることで、ギャグとのギャップを作りました。
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