テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
月城 蓮桜音
34
羽海汐遠
14,514
#オリジナル
ゆいらーめん
512
魚人の王。生まれた時から、私はこれに縛られていた。
不満? 言い出したらキリがない。
何故私は他の人々のように自由を楽しめないのだ? 短い生をもっともっと謳歌したい。
だけれど、王としての責任もある程度はわかっているつもりだ。
だから、俺は産まれた。
最初は簡単な変装程度だったが、髪の色がまずい。すぐに王だとばれてしまう。
よし、染めてしまおう。私は髪を金色に染めた。
おぉ、コレが俺か!
嬉しくなってあちこち出掛けたが、誰も私だと気がつかない。
皆、髪の色で判別していたのか……。顔をあまり覚えられていなかったのか、と少しダメージを受けたが逆にチャンスだとも思った。
金髪になったその日から、王は隠された。
表には妻のフィルムーナと二人の息子が立ちだした。
俺、もう自由じゃん?
ヒャッホーと遊び歩くが、心の何処かで三人への罪悪感も増えていく。俺が自由になることで彼女らが今度は縛られるのかと。
フィーは、子供の頃から決まっていた、私の婚約者だ。
私のことなど、好きでも何でもなくただ、義務で結婚したのだろうと思っていた。あの日まで。
「私、ニュウム様のことお慕いしておりますわよ?」
「マジ?」
「えぇ、大マジですわ。でないと、見限られていると思いませんこと?」
見限られているとばかり思っていました。
「フィーちゃん」
感動の涙で目の前が歪んで見える。
「愛しております。きちんと口にだして言わなければ伝わらないこともありますのね」
ごめんよ、俺のことをまってる彼女ーーーー!
フィーちゃんも実は可愛い子だったーーー!
「ですから、もう逃がしませんよ」
にこりと笑って、染料を何処からか取り出した。そ、その色は!
「さすがに、他の方への恋心が芽生えるのを黙って見ているなんて、私できませんもの」
ニコニコ笑いながら、彼女は話し続ける。
「お帰りなさいませ。ニュウム陛下」
「あーーーーーーーっ!」
その日、俺は私に戻った……。
コメント
1件
金髪になって自由を謳歌する王様の喜びと、その裏で罪悪感を抱える繊細な心情がすごく良かったです! 特に「フィーちゃん」って呼び方が変わったところで、彼の中で何かが動いたんだなと感じました。最後の「お帰りなさいませ」の台詞、優しいのに絶対逃がさない覚悟が滲んでてぞくっとしました…。妻の愛情の深さと強かさ、最高です🤍