宮舘にとって、阿部の不信任(本当は違うのだが)は、ショックだった。自分の中にどうしても自信のない部分があって、そこを刺激されてしまい、黙っていられなくなってしまったのだ。
宮舘は阿部に一目も二目も置いていた。
阿部はSnow Manの頭脳派で、社会の常識についても精通している。今の自分たちの関係が、世間にとってあまり一般的でないことを宮舘は忘れたことがなかった。
気心の知れた仲間たちやスタッフであれば受け入れは比較的容易だろう。
しかし、この輪を広げていくには、もっと多くの信頼を勝ち取らなければならない。
阿部はそれを言っていたのではないか。
❤️それでも一緒に戦うと言ってほしかったけど
宮舘の思いは、阿部の思惑と全くズレてしまっていた。
家に帰ると、何も知らない渡辺がソファで寝ていた。
宮舘の帰りが予想外に遅くなり、待ちくたびれて眠ってしまったのだろう。
風邪を引かないよう、そっとブランケットを掛けてやる。
目を覚まさなかったら後でベッドまで運ぼう。
とりあえず今は波立つ心を落ち着けたい。
宮舘は久しぶりに、家で強めの酒を飲んだ。
💛舘さん、ちょっと今日時間くれないか
❤️なんで
宮舘は、岩本に隠れるようにして立っている阿部に冷たい視線を送った。
💛誤解があるようだから、俺が間に入る
❤️………
💚涼太、ごめんなさい。でも、ちゃんと話をさせてほしい
❤️わかった
宮舘はしぶしぶ了承した。
様子を見ていたのか、宮舘が渡辺の元へ戻ると、頭をはたかれた。
❤️いたっ
💙阿部ちゃんをいじめるんじゃない
❤️……
つくづく損な役回りだと、宮舘は思った。
みんなが休憩に散った後のレッスン室で、三人が集まっている。
💚昨日の話だけど
❤️言い訳は聞きたくない
💛舘さん、阿部に話をさせてやって
❤️……
💚俺、二人のこと反対してるとかそんなんじゃなくて
宮舘が阿部を睨みつける。
しかし、阿部は急に宮舘に抱きついた。
❤️は?何すんだよ
振り解こうとした宮舘の胸の中で阿部が言った。
💚俺、涼太のこと、好きだったんだ
❤️……
目のやり場に困って、岩本は目を逸らす。
💛まあ、そういうこと
❤️照、知ってたの?
💛うん、まあ
💚紛らわしくて、ごめん
宮舘は全身から力が抜けて、阿部と密着してることを忘れていた。
腕の中で、阿部が泣いている。
ガチャ。
折悪く、そこへ渡辺が帰って来た。
💙何してんの
❤️え?あ?これは
💚翔太…
渡辺は、手に持っていた二人分の水をいきなり宮舘に投げ付けると、そのまま飛び出して行ってしまった。
岩本は渡辺を追いかけた。
なんだよ、 あれ…。
渡辺は会社の外まで出ると、近くにある小さな公園のブランコに座った。
阿部の涙が気になる。
状況的に宮舘が泣かせたのだろう。
💙なんで?
そういえば朝から二人とも様子が変だったなと思い当たる。
普通の喧嘩じゃないのだろう、きっと。
むしゃくしゃして、足元にあった小石を蹴り飛ばした。
💛翔太
💙照
岩本が駆け寄ってくる。
渡辺はあの場に岩本がいたことを思い出した。また怒りが湧いた。
💙なんなの?お前ら
💛何でもない
💙はあ?何でもないわけないだろ。阿部、泣いてたじゃん
岩本は口ごもった。
さすがに阿部が宮舘に告白していたとは言えない。
💙言えないようなこと?
💛……
💙超ムカつくんだけど
💛翔太、舘さんを信じて
💙だから、何が?
肝心なことになると、岩本は口をつぐんでしまう。
渡辺はさらに腹を立てた。
💙もうわかった!
💛翔太
💙今夜は帰らん
💛え?
💙お前んちに泊めろ
💛え?
渡辺の決意は固い。
腕組みして、それ以上岩本が何を言っても聞かなかった。
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と!ととととと泊めっ…!泊め!