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二月二十日
図書館の窓外は刺すような冷たい風が吹き抜けていた
食堂の片隅で志賀直哉は一輪の赤いカーネーションを眺めていた
今日は彼にとって─────いや、この図書館に転生した文豪達の多くにとって忘れられない「痛み」の日だ
「………直哉サン、そんなところで何してるんですか?」
明るい声と共に現れたのは小林多喜二本人だった
かつての凄惨な最期を感じさせない真っ直ぐな瞳
彼は志賀の手元にある花を見て少し照れくさそうに笑った
「今日は俺の命日…でしたね」
「でもここでこうしてアンタと話ができる、それだけで俺はもう十分報われているんですよ」
志賀は黙って多喜二の肩をたたいた
生前では叶わなかった生きての再開
かつて多喜二が心酔し手紙を送り続けた「小説の神様」は今目の前の青年が背負った過酷な運命を誰よりも深く理解している
「多喜二、お前が命を賭けて書いた言葉は今も誰かの心に火を灯し続けてるぞ」
志賀の言葉に多喜二は窓の外、遠く広がる空を見つめた
「…だといいですね」
「地獄のような場所でも手を取り合えば夜は明けると俺は信じてましたから」
二人が見つめる先では他の文豪達もそれぞれのやり方でこの日を想っていた
ある者は彼の著作を手に取り、ある者は静かに祈りを捧げる
特務司書が活けたカーネーションの花はまるで多喜二の不屈の魂が凍てつく冬を溶かす灯火のように見えた
昨日から今日のテスト中ずっと心の中で「あ”ぁ~~~…」って叫んでました
辛い
その想いを乗せて書きました
司書視点も書こうかな
赤いカーネーション…