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絶対辰哉
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junp_Sn-Fk.
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#あべさく
夢花𓂃𓂂ꕤ*.゚
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また、三日前。
目を覚ました瞬間、俺は天井を見つめたまま動かなかった。
もう時計を確認することもない。
カレンダーを見ることもない。
この部屋の匂いも、朝日が床を照らす角度も、窓の外で鳴く蝉の数まで覚えてしまった。
世界は何も変わらない。
変わっているのは、俺だけだった。
何十回。
何百回。
もう思い出せない。
助ける方法を考え続けた時間のほうが、辰哉と普通に笑って過ごした時間より長くなってしまった。
その事実だけが、胸の奥に冷たい石のように沈んでいた。
俺はゆっくりと起き上がる。
鏡の中の自分はひどい顔をしていた。
眠っても疲れは消えない。
目だけが、生きることを拒んでいるみたいだった。
それでも今日も、三日前は始まる。
昼過ぎ。
辰哉から連絡が来る。
💜「暇?」
その二文字を見て、笑ってしまった。
乾いた笑いだった。
何度も読んだ。
何度も返した。
何度も、その三日後に絶望した。
それでも指は自然と動く。
💛「行く」
駅前のベンチ。
風鈴を売る屋台から、澄んだ音が風に乗る。
焼きとうもろこしの匂い。
子どもが走り回る声。
夕方へ向かう光は柔らかく、街全体が夏の色に染まっていた。
💜「最近元気ないな」
💛「そう見える?」
💜「見える」
辰哉は缶ジュースを投げてよこした。
片手で受け取る。
冷たい。
その冷たさだけが現実だった。
💜「悩みあるなら聞くけど」
聞けるわけない。
お前は三日後に死ぬ。
俺は何十回もそれを見てきた。
助けられなかった。
もう助けられない。
そんな話を聞かされたら、お前はどんな顔をする。
怖がるか。
笑うか。
信じないか。
どれでも意味はない。
運命は、俺の言葉なんかよりずっと強かった。
💛「……なんでもない」
💜「そっか」
辰哉は追及しなかった。
昔からそうだ。
俺が言いたくないことは、無理に聞いてこない。
優しいやつだった。
だから好きになった。
いつからだったんだろう。
気づいた頃には、もう遅かった。
親友という場所に立ったまま、それ以上踏み込めなくなっていた。
帰り道。
夕焼けが街を赤く染める。
歩道橋の途中で、辰哉が立ち止まった。
💜「照」
💛「ん?」
💜「もしさ」
風が吹く。
前髪が揺れる。
辰哉は空を見たまま、小さく笑った。
💜「明日が来なくても、後悔しないように生きたいよな」
心臓が止まりそうになった。
知っている。
その”明日”は来ない。
お前には。
俺だけが知っている。
💛「……そんなこと言うな」
💜「なんとなく」
辰哉は笑った。
いつもの笑顔だった。
だけど、その笑顔の奥に、一瞬だけ寂しさが滲んだ気がした。
初めてだった。
今まで気づかなかった表情。
いや。
俺が見ようとしていなかっただけなのかもしれない。
別れ際。
辰哉が俺を呼び止める。
💜「照」
💛「なに」
💜「……いや」
少し迷ってから、肩をすくめる。
💜「また明日」
また明日。
その言葉は、何度聞いても刃物だった。
明日は来ない。
それでも俺は頷く。
💛「また明日」
その約束だけは、何度繰り返しても守られなかった。
事故の日。
俺は行かなかった。
走らなかった。
止めようともしなかった。
ただ、自分の部屋で座っていた。
窓から差し込む昼の光を眺めながら。
時計の針だけを見つめながら。
耳を塞ぎながら。
世界が壊れる音を待っていた。
午後五時十三分。
スマホが鳴る。
画面を見る前から分かっていた。
だから出なかった。
鳴り止む。
また鳴る。
また。
また。
何度目かで、部屋は静かになった。
その静けさは、これまでのどんな世界よりも重かった。
次に目を開けた時。
俺は三日前ではなかった。
時間は進んでいた。
初めて。
ようやく。
未来へ戻ってきた。
けれど、その未来に辰哉はいない。
街は変わらない。
信号も。
駅前の自販機も。
川沿いの風も。
歩道橋も。
全部そのままだ。
変わったのは、俺の隣だけだった。
空白になっていた。
そこへ誰かが立つことはない。
誰とも並びたくなかった。
季節は巡る。
秋が来る。
冬が来る。
雪が降る。
春になって桜が咲く。
夏がまた来る。
世界は、残酷なくらい律儀だった。
俺だけを置いて進んでいく。
それでも俺は生きている。
息をして。
食べて。
眠って。
朝を迎える。
それは前へ進んでいるわけじゃない。
ただ、生き残ってしまっただけだった。
ある夏の日。
駅前の自販機で缶ジュースを買う。
ブラックコーヒー。
無意識だった。
プルタブを開けた瞬間、小さな炭酸の音が耳に蘇る。
あの日。
辰哉が開けた缶ジュースの音だった。
振り向く。
もちろん誰もいない。
風だけが通り過ぎる。
それでも一瞬だけ、笑い声が聞こえた気がした。
俺は目を閉じる。
思い出は、時間が経てば優しくなるなんて嘘だった。
時間は傷口を塞がない。
ただ、その痛みを身体の一部へ変えてしまうだけだ。
忘れられないから苦しいんじゃない。
忘れたくないから苦しい。
もし、あの日。
もし、あの時。
そんな「もし」は、何百回繰り返しても現実にならなかった。
俺は何度でも三日前へ戻れた。
けれど、運命は一度も振り向いてくれなかった。
愛は奇跡じゃない。
願いは世界を書き換えない。
どれだけ手を伸ばいても、どれだけ名前を呼んでも、どれだけ人生を差し出しても。
救えない命は、確かにある。
あの日から何年経っても、俺の時間は三日前に置き去りのままだった。
世界は前へ進む。
俺だけが、あの夏の夕焼けから帰れない。
そして今日もまた、誰にも届かない「また明日」が、胸の奥で静かに繰り返されている。
どれだけ愛しても、救えない人がいる。
それが運命なら。
俺は、この運命を、一生許せない。
コメント
5件
なんか…言葉にできない。心がえぐられたような感じ。 今自分が見ている世界は、現実なのかわからなくなる。 SnowManの存在も、実は嘘なんじゃないかって思えちゃう。 自分の存在も、全てがわからなくなる。 やっぱり、儚い・もどかしい系の書き方が上手いです✨
文才ありすぎでは? 儚い系ほんっと好きなの! めっちゃ読んでてて感動した🥲
なんか、、なんかっていう感じ、(´・ω・`)