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桜丸
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快晴「……へ?今なんて?」
美虹「だから、ナゴミヤ旅館へ調査に行くの」
世間的に有名な雑誌の記者として働いている雲雪快晴。紫髪キノコヘアーに細身の成人男性。
雑誌を見るのが大好きだった快晴は、念願の雑誌記者になる事ができた。それから一年後、快晴は先輩である雨戸美虹からナゴミヤ旅館と言う旅館の記事になるようなネタを調査しようと誘われた。
快晴「ナゴミヤ旅館ってアレじゃないですか。「女性客が原因不明の行方不明になる」って言う曰く付きの旅館じゃないですか…」
美虹「そうよ?」
快晴「先輩正気ですか?考え直しましょうよ。目の前で女の子が行方不明になったとか記事ネタとしては最高ですけど、心配でそれどころでは…」
美虹「そうね。だけど、記事にするには調査百回よ」
快晴「それ警察の言葉でしょ?僕ら関係ないですって」
美虹「先輩の言う事は絶対よ快晴君」
快晴「うわパワハラ」
美虹「それに、こんな美人と二人っきりで調査出来るんだから嬉しいでしょ?」
快晴「それ本気で言うてます?」
美虹は腰まである艶のある黒い髪を靡かせ、桃色に色ついた唇をほんの少し尖らせ、泣きボクロがある左目をパチリと閉じて快晴に向かってウインクをして見せる。だが、快晴は顔を青くして関西弁風味の敬語で返していた。
美虹は快晴と同じ170cmで女性にしては高身長だ。だが同期や後輩の男性から「美人」と評される程美しい容姿をしている。
そんな美虹に対して、快晴は全く靡かなかった。
何故なら、美虹に対して快晴が靡かない理由があるからだ。
美虹「ほら!さっさと行くわよ!」
快晴「あの、僕生活習慣病なんで帰っていいですか?」
美虹「生活習慣病の人がこんな職場まで来るわけ無いでしょう?」
快晴「チッ」
美虹「舌打ち結構よ」
ガリガリ体型の快晴の右腕を両手で引っ張る美虹。快晴は真顔でされるがままに連れて行かれた。
~~~~~
快晴が就職している雑誌記者の職場は、小ビルの三階にある。カムコと言う団体名で活動している。
快晴は美虹に半ば無理矢理連れて来られるように、エレベーターに乗ってそのまま一階に降りる。
快晴「待ってください先輩。事件現場に危険はおつ付き物なので、フウちゃん呼んで良いですか?」
美虹「何『おつ付き物』って?危険は『付き物』って言いたいの?てかフウちゃんって誰?え?その人口硬い人?」
快晴「はい」
快晴は何もかも諦めたような顔をして、右側の尻ポケットからスマホを取り出して、『フウちゃん』と言う人物を呼ぶ。
快晴が現場に行こうとしている姿勢を現しただけでなく、美虹が会ったことがない人物の助っ人も頼んでくれるようなので、美虹は両手で掴んでいた快晴の右腕を離した。
美虹「(記事ネタの件を黙っててくれるなら助っ人は問題ないわね)」
快晴「フウちゃんちょぉ来てや」
美虹「(え?快晴君関西弁なの?)」
快晴「僕が働いとるビルん所おるから、近く来たら連絡してくれへん?頼んますー」
諦めた顔で気だるげにそう言うが、快晴のスマホから何か騒いでいる男の声がイヤホン越しに小さく聞こえた。
だが快晴はそんな事気にする事なく、そのままスマホを切った。
快晴「先輩、フウちゃん来てくれるんで、そこの喫茶店に入って待ちましょ?急ぎじゃありませんよね?」
美虹「そうね」
快晴「先輩ゴチです」
美虹「奢るってひと言も言ってないから。寧ろ君は男の子なんだからレディに対して奢るのが常識でしょ?」
快晴「レディだったら奢りますよ」
美虹「はァ?こんな美人なんだからレディでしょ?」
快晴「てか先輩が後輩奢るもんじゃないんですか?」
美虹「チッ!抜け目が無い子ね」
快晴「わぁい」
快晴は両手を耳の横で軽く挙げて、抑揚のない声で喜んだ。
~~~
快晴は美虹と一緒にビル近くの喫茶店に入り、空いている席に座る。
美虹「何食べたいの?」
快晴「僕はブラックコーヒー、ホットで」
美虹「あら?それだけ?」
快晴「あと、ホットケーキ三つお持ち帰りで」
美虹「え?」
美虹は驚いた。「快晴は細身なのにもの凄く食べるんだ」と面食らい、キョトンとしてマヌケな声を出した。
美虹「意外。貴方そんなに食べるのね」
快晴「いえ。お持ち帰りの分はフウちゃんのです。なので、先輩は僕の分だけ奢ってくれれば良いですよ?」
美虹「……ケチって思ってごめんなさい」
快晴「良いッスよ別に」
美虹と快晴は、お店についているタッチパネルで操作して、欲しいものを注文をした。
美虹「私は抹茶パフェ食ぁべよ!」
快晴「女子力高…」
美虹「んふふ~!当然!」
ボソッと呟く快晴に、美虹は両目を閉じて鼻を高くして少し顎をあげた。