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ベージュと草木の模様が入った壁紙に、誰が描いたか分からないけど、目を引かれる油絵。金色の枠で縁取られ、自分の姿が見えるほどきれいな木製の床。
言葉に表せないほどの廊下の美しさにあっけにとられていると、松永が立ち止まり、これまた豪華な扉を開けた。
松:ここが桜様専用のお部屋です。
桜:(オレ専用の…”部屋”?)
鎖もゲージも似合わない、ふかふかのベットに木製の高そうな家具。そして、ステンドガラスから入る西日が優しく部屋を照らしていた。
見たところ見張りもカメラもない。オレへの対応に加えこの部屋。オレの警戒心と恐怖心は緩むどころか、一気に跳ね上がった。
松:…桜様?何かお気に召さないところでもありましたらお申し付けください。できる限り改善させてただきます。
桜:なんで牢屋じゃ…。オ、レは商品だろ?
何とか絞り出したその声で、松永はすべてを察したのだろう。オレから目を離して話し始めた。
松:蘇枋様は、あなたを「商品」として買ったわけではございませんよ。
桜:?
松:では、マフィア紫霧閣(しむうかく)ボス、蘇枋隼飛様についてお話ししましょう。
桜:(マフィア…紫霧閣のボス!?)
「紫霧閣にとって、世界征服なんて簡単だ。下手をすれば宇宙まで。」
そんなことを言っていた闇研究所の院長の言葉を思い出し、オレは全身の毛が逆立った。
松:マフィア紫霧閣は闇世界において最強にして最恐と言われる組織。その中で蘇枋様は83代目のボスであり、歴代最年少の18歳。頭脳も財力も、並外れております。
桜:ってことは…オレを道具として見てるってことか…?
無意識に出ていた疑問に、松永は少し考える素振りをした。
松:…いや、蘇枋様は桜様を道具として買ったわけでもないと私は思います。
桜:じゃあ何のため、っておい!
話している途中にも関わらず、歩き出す松永。
松:それは蘇枋様に直接お聞きしたほうがいいかと。
そう言って、松永は部屋を出ようとした。だが扉を開けると、彼は廊下に向かって深々と最敬礼をした。そしてその先には…
松:お帰りなさいませ、蘇枋様。
蘇:ありがと、桜君は?
松:奥のソファーに。
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?:5億。
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闇オークションでの声との完全一致。そう、蘇枋隼飛だった。
蘇:じゃあ松永は席を外してくれないかな?
松:承知いたしました。また何かあったらお呼びください。
向かいのソファーに上品に座った蘇枋は、眼帯で隠れていない右目でまっすぐとオレを見て微笑んだ。
蘇:やあ、桜君。
ハナズオウが描かれた朱色の羽織を肩掛けして、高そうな深紅の帯で留められた、黄金の竜の刺繍が入った漆黒の漢服。それに勝るほどの美貌を持つ男と対峙して、平常心でいられる訳がない。
桜:…。
蘇:そんな肩苦しい顔しないで。別に取って食いはしないよ。
その胡散臭い笑みからは、何一つ感情が読めなかった。
桜:…なんでオレを買った。松永っていう執事も、この部屋も。一体どういうつもりだ。
蘇:なんで、か。…そうだね。美しかったから、かな?
桜:は?
蘇:なんというか、スポットライトの光に勝るほどの琥珀色の瞳とか、黒髪と白髪にマッチした白い肌とか。…全部が美しかったから。
それを聞くと同時に、全身の熱が一気に上がったような感覚に襲われた。
蘇:あれ、もしかして照れてる?
桜:は、な…なんだよこれ!???/////////
蘇:どうやら美しさだけじゃなくて、可愛いさもあるみたいだね。ますます興味が湧くよ!
蘇枋が黒い手袋をした手を合わせる。初めての「照れ」という感情をごまかすため、とりあえず質問を続けた。
桜:て、てかこれからオレをどうすんだよ…。
蘇:別にどうもしない。…って言いたかったんだけど。
蘇枋の胡散臭い笑みが消える。揺れていた尻尾がビシッと固まった。
そして、人差し指を自身の顔の横で立てて一言。
オレの猫耳に明るい声が届く。その数秒後、屋敷の壁にヒビが入るのではと言わんばかりの、大きな声が響いた。
桜:…はああああああああああああ!!!!?????/////////////
オレは顔を真っ赤にしながら、蘇枋を睨みつけた。
よめ?ヨメ?YOME?
今までこれからを考えても、嫁になるという選択肢はどこにもなかった。存在するわけなかった。
桜:ふざけんな!!い、意味わかんねえよ!?///
蘇:そうだね、言葉よりも、行動のほうが伝わりやすいかな?
ソファアから立ち上がり、オレの方へ歩いてくる。耳が横に倒れてピンと張った。
桜:(行動?何する気だ…!?)
オレの前へ来たとたん、蘇枋は急に手袋を外して、丁寧に机へ置き、オレの頭上に手を上げた。
背もたれの高いソファに閉ざされた窓と扉。逃げることはできない。
蘇枋と”アノ時“の院長の姿が重なる。
桜:(嫌だ、嫌だ嫌ダイヤだイヤダ!!!)
蘇枋の手がオレの頭に触れる。けど、恐れていたことは、いつまでたっても来なかった。
桜:(痛、くねえ…?むしろ、温かい。)
触れられたところから広がる優しい温かさに、思わず目を閉じてしまった。
蘇:耳垂れてる、やっぱり君は可愛いね。
目を開けた先では、蘇枋がフフッと笑って、オレを見つめていた。その目からは、怒りでも嘲弄でもなく、何か温かいものを感じた。
桜:か、可愛くねぇ!////
オレはとっさに蘇枋の手を払った。それでも、頬の熱と尻尾のぴくぴくとした揺れは、収まることはなかった。
蘇:そういうところ、桜君らしいな。
オレは思わず眉をひそめた。
桜:「らしい」とか、知ったような口聞きやがって…。
蘇:知らないよ。でも、知ることはできる。
蘇枋は手袋をまた丁寧にはめ、煮詰められた砂糖のような、甘い笑顔を見せた。
ドクンッ…!!
桜:(なんだ今の!)
無意識に胸元を握る。
蘇:嫁としての仕事、もっとやる?
蘇枋がオレの頬に手を当て、距離を詰める。そのたびに、オレの心音が激しく聞こえるようになった。
コンコン、と言う扉を叩く音と、蘇枋様と言う松永の声で、蘇枋はオレから手を離した。
その時に、蘇枋は軽く舌打ちをしていた気がする。
蘇:入れ。
松:失礼いたします。蘇枋様。まもなく、武器取引の方が到着します。ご準備を。
蘇:今日は…鴎龍鍛房(おうりゅうたんぼう)か。あそこは時間に厳しいからな。分かった、今行く。
すぐに蘇枋は立ち上がり、手を後ろに組んで扉へ向かった。けどすぐに立ち止まって振り返った。
蘇:この部屋にあるものは自由に使っていいよ。何かあったら、向かいの部屋に松永がいるから声かけてね。
桜:…おう。
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今回はここまで。
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