絃葉「…う〜ん……」
僕は頭を悩ませる。明かりや暖をとれるものがないとこの先毎晩怯えることになる。
絃葉「暖は最悪布に包まればとれるけど…夜の間動けないと効率がなぁ…」
一刻も早く動かないと今生きている人も、食料不足などで死んでしまうかも知れない。しかもそれは他人事ではなく自分も食料が足りなくなるかもしれない。
絃葉「う〜ん………やっぱ…明かりがないとなぁ…」
やはり自分で火をつける他ないという結論にいたる。
ただ、火をつけるには木の枝やらなんやらが必要だ。
絃葉「……あれ?…そういえば木を見てないな…、」
そう、僕は木の枝を見た記憶が無いのだ。
それどころか、木造の家の残骸も見た記憶がない。
絃葉「…消えた?……木造類も消えるってこと?」
しかし、その場合少しおかしなことになる。
絃葉「紙とかダンボールとかはあったんだよな…」
僕の記憶では、紙は木なんかからできていたはずだ。それなのにダンボールなんかも消えていない。
絃葉「…う〜ん…僕の知識じゃ足りないな……」
圧倒的に知識不足を感じる。
絃葉「そうだ、図書館とかなら知識つけれるかも!」
そう思い、僕は次の目的地を図書館に決めた。
絃葉「一旦この建物出るか。」
そうして僕は建物の外へ行き駐車場を下っていく。
その時、目の端に映る景色に違和感を覚える。
絃葉「えっ?……あれ…こんな緑だったっけ?…」
外の風景には僕が5時間ほど前に見た風景より植物が異常なまでにはびこっていた。
絃葉「……これ…ちゃんと考えた方がいいやつかも…」
正直、植物の成長速度が早くなったところで関係ないと思っていたが、このままの成長速度で増えていくと3日後には、この景色全体が植物に侵食され、どこを見ても緑みたいな状況になりかねない。
僕はとりあえず今いる建物の一番下に着き、図書館の方に向かおうとする。
絃葉「…あれ?……どこだっけ…?」
周りの景色が変わりすぎていてうまく思い出せない。
絃葉「え〜と……?…う〜ん…あの図書館たしか床とか木造だったし残ってないっぽいんだよな……。」
本は残っていると思うが、建物がないと瓦礫やら残骸が多すぎて気づくのはほぼ不可能だ。
絃葉「…いや、一旦周りを見よう。確かあの建物は…」
高層マンション、大病院、そしてショッピングモール。
周りの残っている大きな建造物から大体の位置を導き出そうと試みる。
絃葉「……そういえば!窓からあのマンション見えてたはず!え〜とっ…だから……」
僕は窓の位置や距離感覚などの記憶を思い出す。
絃葉「……こっちの方角だ!!」
僕は周囲の建物の情報から図書館のおおよその位置を導き出し、その方角へと進んでいくことにする。
絃葉「ふ〜…ちょっとカバン重いな…」
食料なんかが入ったカバンは、想像以上に僕の体力を削ってくる。
絃葉「時間もそろそろ12時くらいかな…」
太陽がちょうど真上あたりにあるため日差しもだいぶ僕の体力を削ってくる。
絃葉「う〜ん…感覚的に言うと図書館はもっと向こうなんだよな…。…先は長いな…」
僕はそう言ってそのまま図書館の方へ進んでいく。
すると道に不思議なものが落ちていた。
絃葉「ん?…これ…自転車だ…」
さっきのショッピングモールでは自転車は見かけなかった。なのに普通に道端に倒れていた。
絃葉「…触ったら溶けるとか?」
僕は恐る恐る自転車に触れてみる。
絃葉「あれ?溶けない…。なんでだろ。」
そして自転車を起き上がらせ、あることに気づいた。
絃葉「あ、チェーンがない。」
その自転車はチェーンが外れており、使えるような物では無かった。
絃葉「まぁ…どちらにせよ瓦礫多すぎて使えなかったからいいんだけど…」
僕は一旦自転車から手を離す。
絃葉「この自転車は…残ってる……う〜ん?」
なぜ残っているのか。実は素材が違ったりするのだろうか。頭の中でいくつも可能性を考える。
絃葉「…使い物にならないから?」
‘’自転車‘’は全て消えたが、これは自転車として役割を果たしていないため残っていた。
そう考えてみると本来の世界ならありえないはずだがこの世界だとしっくりくる。
ショッピングモール前にあった駐輪場に自転車が残っていたのは、まだ‘’使える‘’から。
絃葉「うん、結構しっくりくる。合ってるかわかんないけど、この考え方別のにも使ってみよっかな。」
僕はそんなことを考えながら、また図書館の方へ足を進め始める。
絃葉「…はぁ〜…結構近づいてきたと思うんだけど、わかんないな…」
ショッピングモールへ向かっていた時よりも目的地が見えていないのでどこまで進めばいいのか曖昧で体力的にも精神的にもだいぶ疲れてくる。
絃葉「う〜ん…?こんくらいの距離感だったと思うんだけどな…」
高層マンションとの距離や方角なんかを調節しながら歩き進めていく。すると明らかに大きい瓦礫の山を見つける。
絃葉「っこれ!もしかして!!」
僕はその瓦礫の山に近づき、瓦礫をどけていく。
絃葉「あった!本だ!!」
その瓦礫の下には大量の本があった。
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