テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
お股ポテト
29
はるにし
72
僕はベッドの上で困っていた。
もうすぐ、シュメリが夜の仕事を終わらせて書斎から戻ってくる。
つまり、寝る時間だ。
(ドキドキが止まらない)
屍狼以降も一緒に寝てるんだけど。
シュメリが怪我したから、心配で隣に寝てた。
だから気にならなかったんだけど。
あれから一週間過ぎて、シュメリの傷が全快した。
もう治療室にも通っていない。
(どうしよう。一緒に寝る名目がなくなっちゃった)
元気になってくれて嬉しいけど。
今までだって、理由なんかなく一緒に寝てたけど。
でも、今は違う気がする。
(だって僕、シュメリが好きだもん。恥ずかしい)
大きな枕を、ぎゅっと抱きしめた。
「おや、リンネ。まだ起きていたのかい?」
寝室の扉を開けて、シュメリが戻ってきた。
「え! う、うん」
「先に寝ていて良かったのに」
シュメリが僕の額にキスをした。
ドキッと心臓が高鳴った。
(キスなんかされたら、ドキドキで死んじゃう)
クラクラする僕を、シュメリがベッドに誘った。
「おいで、リンネ」
腕を引かれて、体が傾く。
僕は、すごすごとシュメリの隣に入った。
「今宵はやけに、よそよそしいね。どうしたの?」
「そ、そんなこと、ないよ。いつも通りだよ」
「いつも通りね」
シュメリが布団の中を覗いた。
「ちょっと、距離があるね」
「そんなことないよ! いつも通り!」
いつもならピッタリくっ付いているけど。
今日は人ひとり分くらい空いている。
「リンネが遠いな」
シュメリが小さく笑みを零した。
手が伸びてきて、僕の髪を梳いた。
「にゅっ!」
思わず僕は後ろに仰け反った。
シュメリが手を止めた。
「私に触れられるのは、嫌?」
「そうじゃない! そうじゃないけど」
既に心臓はバクバクで。
これ以上、近くに行ったら、僕どうにかなっちゃう。
「リンネが落ち着かないなら、今日はこのまま寝ようか」
そう言って、シュメリが僕に背を向けた。
「あ……」
ドキンと、心臓が重くなった。
さっきまでのドキドキとは違う。
(シュメリに呆れられちゃったかな。嫌われちゃったかな)
どうすればいいんだろう。
僕は、とってもとっても迷った。
迷った結果、シュメリの背中にピタリとくっ付いた。
「やっぱり、くっ付いて寝たい」
ドキドキはまだ収まらないけど。
シュメリの背中を見ていると寂しくなる。
「リンネ」
シュメリがこちらを振り返った。
「意地悪して、ごめんね」
シュメリが僕の髪にキスをした。
僕はきゅっとシュメリの腕に抱き付いた。
「どうして急に、離れたくなったの?」
僕はフルフルと首を振った。
「離れたくなってない。くっ付いていたい。だけど……」
「だけど?」
「ドキドキして、心臓がバクバクで、恥ずかしくて……」
僕はシュメリを見上げた。
「シュメリがすごく好きだから、どうにかなっちゃいそうって」
シュメリの喉が、ごくりと上下した。
次の瞬間、手を掴んでベッドに押し付けられた。
「え……シュメ、リ……んん!」
シュメリの唇が、重なって、声が飲み込まれた。
キスが深くて、声が出せない。
息ができないくらい、深い。
「ん……ぁ、んぅ……」
時々離れる隙に声が漏れて、またキスが深まる。
よじれる体を、シュメリの体で抑え込まれた。
(シュメリの体、熱い)
唇だけじゃなくて、体まで熱い。
布が擦れる音が、やけに部屋に響く。
口を割って入り込んだ舌が、僕の舌を絡めとる。
余計に、息が止まった。
「ぁん……ん、はぁ……」
ようやく唇を離してくれたシュメリは、いつもの顔じゃなくて。
獲物を貪る獣みたいなのに。
やけに艶っぽくて、見惚れていた。
「リンネが可愛いことを言うから、我慢できなかったよ」
シュメリの濡れた唇が、僕の火照った頬に触れた。
じわりと、胸が熱くなって。
僕の体も熱を発していた。
(こんなシュメリ、初めて。ドキドキするのに、嫌じゃない)
もっとシュメリに触れてほしいって、全身で感じてる。
シュメリの手が僕の腹を撫でた。
「ダ、ダメ! それより下は」
「どうして、ダメ?」
「だって、だって」
いっぱいシュメリを感じたから、熱くなってる。
シュメリが満足そうに笑んだ。
「大丈夫、この先は、ちゃんと成婚してからにしようね」
シュメリが僕の首を甘く噛んで、ぺろりと舐めた。
まるで、猫の僕の仕草みたいだ。
「さぁ、おいで」
伸ばされた腕に、頭を預けた。
シュメリにピタリとくっ付く。
僕の体が熱くなってるの、バレちゃう。
「リンネは素直で可愛いね」
僕を抱いて、シュメリが髪を撫でてくれる。
やっぱり嬉しくて、安心する。
ウトウトと、眠気が襲って来た。
「シュメリ、好き」
僕はシュメリにくっ付いて、微睡みの中を揺蕩った。
コメント
1件
いやー、もう可愛すぎてやばかったわ!リンネの「好きだからドキドキして離れたくなる」って気持ち、めちゃくちゃわかるし、でも結局くっ付きに行くところがもう愛おしい😭 シュメリの「意地悪してごめんね」からの豹変っぷりも良かった…「ちゃんと成婚してから」って線引きするところに二人の関係性の丁寧さを感じた。この距離感、尊いわ。