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銀河一美少女ティリスちゃん号を伴ったアード艦隊は衛星軌道に到着。この来訪は地球全土に大きな反響を与えた。まず真っ先に反応したのは、日本政府によって密かに保護されている元某国の工作員達から成るティリスちゃん親衛隊である。 結局国内に潜伏していた全員が確保されてティリスの洗脳……失礼。祝福を受けた彼らは三十人規模となり、主の来訪を耳にして直ぐ様行動を開始。日本政府のバックアップを受けて、東京は渋谷にあるスクランブル交差点に集結。夜であるにも関わらず大勢の人々が集まる中。
「ティリスちゃーーんっ!!!」
「「「フォーーーー!!!」」」
主を迎える宴と称してケミカルライト二刀流によるキレッキレのオタ芸を披露。更に集結した万を超える勇者達(意味深)もまた彼らに合わせてキレッキレのオタ芸を披露し、何故か治安維持のために駆けつけた警官達までオタ芸に参加する運びとなりスクランブル交差点はカオスとなった。
一時間後には解散する運びとなり参加者全員が清掃活動を行い、周囲にお騒がせしたことを詫びて回るなど謎の規律の高さを見せた。
これを見ていた秋葉原在住の日系人ロイス=ニシムラ(発電中)は「訓練された動きだ。彼らはまさにティリス様の親衛隊に相応しい」と恍惚とした表情で勇士達を称え、そして公共猥褻罪で連行された。
『いやいや、銀河一美少女ティリスちゃん号ってwww』
『誰だ、ティナちゃん達を洗脳したのはwww』
『染まっとるwww』
『痛車ならぬ痛艦かぁ、宇宙は広いなぁ』
『これ絶対勘違いしてるぞ!w』
『その発想はなかったw』
『親衛隊やるなぁ』
『いいぞ、もっとやれ!w』
この騒ぎを受けてネットは大盛り上がりみせ、翌日登庁時にメディアから意見を請われた椎崎首相は。
「やり過ぎて怪我をしないようにお願いしますね。ティナちゃんが悲しみますから」
とコメント。同時に。
「我が国は再び来訪された皆様を心から歓迎します。ティナちゃん、もし見ているならまたお茶をしましょうね」
と笑顔でコメント。
「総理!今の発言は一部の国から抗議されるのでは!」
ある記者からの質問に対して。
「私は個人的な友人にご挨拶しただけですよ?何か問題があるのですか? 抗議は受け付けますが、どこに行くかは彼女達が決めることですよ」
と意に介さず反論。記者は気圧されたが、側にいた外交官(朝霧さん)は胃を抑えたと言う。
日本に遅れぬようにと直ぐに合衆国のハリソン大統領も声明を発表した。
「我が国もアードの皆様の来訪を心から歓迎する。より大きな宇宙船を伴ったことで不安を感じている方もいらっしゃるでしょうが、ご安心を。この事は事前に知らされており、先日起きたフロンティア彗星の件を重く見たティナ嬢の好意によるものです。彼女は地球を守るために大型艦を伴っているだけで、侵略の意図はありません。私の政治生命を賭けて断言させていただく。どうか国民の皆様は様々な流言飛語に惑わされること無く、これまでのティナ嬢の活躍を思い出していただきたい。そうすれば、不安は解消されるでしょう」
合衆国では提供された医療シートの一部を敢えて社会的に影響力が強い人物に使用。幸か不幸か数人の俳優や歌手等の著名なスター達が事故等で大怪我を負っていた事もあり、その効果は世論に多大な影響を与えた。
もちろんそれでもクサーイモン=ニフーターを含めた活動家たちは批判を強めたが、ティナが命を懸けて救ってきた命を目の当たりにしている合衆国民の大半は耳を貸さず彼女を支持した。
とは言え、全てが好意的に受け入れたわけではない。プラネット号ですら脅威的であるのに、更に巨大な軍艦(地球基準)を目の当たりにして警戒感を増した国も少なくはない。
特にミサイル事件と工作員による暴露でメンツを潰されたと判断している某国としては、今回の事態は面白くもない。中華による強い圧力で実力行使は禁じられている。そもそも相手はミサイルを破壊して、一撃で発射基地を機能不全に追い込む相手だ。敵う筈がない。
だが、メンツを大事にする独裁者が理屈を無視するのは歴史が証明している。
斯くして某国が試みたのは、密かに打ち上げていた人工衛星の中で古いものを利用。意図的に周回軌道を変更して軌道上に留まっているプラネット号、或いは銀河一美少女ティリスちゃん号へ衝突させることである。
これならば成否は別にして事故として処理されるし、宇宙人に意趣返しが出来る。少なくとも某国の将軍はそう考えた。何より某国は統合宇宙開発局に加わらず独自路線を継続している。横やりを入れられる心配はなかった。
だが、この企みはあっさりと露見することになった。先ずアリアが軌道を修正した人工衛星を探知、直ぐ様所属する国を突き止めた。更に意図的に周回軌道を修正し、艦隊への直撃コースをとっていることを確認するとアリアはティナではなくティリスにのみ連絡する。
丁度ティナ達は銀河一美少女ティリスちゃん号のブリッジに居て、ティナはジョンと通信で談笑している最中であった。アリアの意図を察したティリスは端末を弄りながらティナに言葉を掛ける。
「あれれ?危ないスペースデブリが幾つもあるよ☆ティナちゃん」
「え!?」
「このままだとISSだっけ?あの宇宙ステーションも危ないんじゃないかな☆」
「それはダメだよ!破壊できる?」
「大丈夫だよ☆フェルちゃん、ちょっと手伝って☆」
「分かりました!」
「ジョンさん、ごめんなさい。ちょっと危ないデブリがあるみたいで……破壊しますね?」
『そうか……わざわざ済まないね。頼めるかい?』
「はい!」
ティリスが端末を操作し、それをフェルがサポート。更にアリアが修正を加えて|十《・》|数《・》|ヵ《・》|所《・》の目標をロック。
「目標ロック、ミサイルランチャースタンバイ!」
「いきなり実戦かぁ。整備不良はない筈。たぶん」
「信じてるよ、フィーレ。撃てーーーっっ!!」
「アオムシ退治☆」
ティリスの呟きはティナに届かず、銀河一美少女ティリスちゃん号から数十発の超高速ミサイルが発射され、地球の軌道上に十数ヵ所の爆発光が輝いた。
それは目標の人工衛星以外にも、某国が密かに軌道上へ打ち上げていた全ての衛星を纏めて破壊したことを意味しており。
「室長ぉーーっ!!!」
「はっ、はははは……」
統合宇宙開発局からの観測データでその事を知ったジョンは最早笑うしかなかったのである。