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 『 なぁ、ツム 。』

 『 なん ? 』

土砂降りの雨の日だった。

雨なので、外で遊ぶこともできず仕方なく家で

借りてきたホラー映画を見、 その映画も終わろうとしている時だった。



ホラー映画を見ようと言い出したのは侑だが、

ずっと怖がっていちいち 騒いでいたのも侑だった。 その証拠に治にピッタリくっついて、ビクビクしている。

そんな侑を撫でながら、 話を続けた。


 『 呪いって 、 信じるか? 』

 『…… 別に 、 』



たまたま手に取ったホラー映画が 〘 呪い 〙というタイトルのものだった。


゙怖そうやから。゙ という理由で借りてきた映画だが、初めは男女のラブラブな様子から始まり、終わりに近づいてきてもそこまで叫ぶような場面は、少なくとも治にはなかった。




(ラブラブな男女のカップルのYouTuberが、心霊

スポットに行き、 面白半分で撮っているような

様子から始まる。今の天気と同じように、土砂降りの雨の日だ。 何事も無かったかのように終わるが、女の方に異変が。 怖くなった男は 別れをつげるが、振られた女の方はそれが悲しく、心霊スポットの近くで自殺した。 何年かたって その男も別の女と結婚し、幸せな日常を送っていた。 そんなある日、心霊スポットの近くで仕事があり、昔動画を撮った場所まで行かなくてはいけなかった。 __懐かしいと思いながらも、さっさと終わらせて帰ろうとした時後ろから声が… 『 やっと来てくれたんだね、 待ってた。』 振り向くと、自殺したはずの彼女が。

『許さない。 許さない!許さない!! 私は愛の呪いをかけられた、お前に! 一生そばに居るって言ったのに、、 約束をやぶった、。だからおまえも呪われろ!! 』 ………………

その後 男を見たものは居なかった。噂では、その男と女は愛という呪いをお互いにかけあい 永久に一緒にいることとなったのではないか、 と言われている。一生一緒にいようね。と。)





大まかに言うとこんなあらすじだ。







 『 別に愛の呪いやったら、ええよな。

愛の呪いって、何か知らんけど…』


 『 せやな 、 』


もう怖くなくなったのか、 映画が終わったらキッチンに行ってしまった。 水を入れに行ったのだろう。 『あ、俺も頂戴。』 『はいはい。』

主語がなくても伝わるあたりから、やはり双子なんだなと改めて思う。




その後、オカンが帰ってきて 夕食とお風呂をすまし、 ”やっぱり1人で寝れへん…” と言う侑を、自分のベッドに入れ、 その日は眠りについた。


家族、 ましてや 双子の兄弟に、もってはいけない感情を持っている。 そして、片割れが同じ気持ちということも分かっている。だが、 お互い口には出さない。 周りからは距離感バグってる双子、 としか思われてないだろう。 それでもいいと思った。世間に認められなくても、お互い好きって 言えなくても、 隣にいてくれるだけで。 こうやって、抱きしめあって寝る事ができるだけで。

”俺は幸せだ” と感じれる。



しかし、そんな幸せが ずっと続くことは無い。






*      *       *





侑 『 あーもう!!うるさいねん!! 』


治 『お前のそう言う態度がムカつくやろがい!』


侑 『 そんなん知るか!阿呆 』


治 『 はぁ? クソボケに言われたないんじゃ!! 』


侑 『 ウザイねん!ホンマ!!!』


治 『 こっちのセリフや!!』



角名 『どうしたの、双子……』


銀島 『分からん、 朝からずっとこんな感じや…… 何言ってもアカンねん… 今は、誰も止められへんやつや。』


侑 『 はぁぁ。 お前と双子なんて最悪やわ!!

お前なんか、生まれてこんかったら良かったんに…』


治 『?!………… 、 あっそ。 もうええわ。』



侑 『 あ、… ちょっ、 サム! 、、……』



片割れが教室から出ていく、


いつもの双子乱闘だと思っていたクラスメイト達も 、 シン 、 と静まり返った。

侑がそんなことを言うなんて初めての事だった。

絶対に、 ”死ね” などの言葉は勿論言っているのを見た事ないが、

”お前と双子なんて” と 、言葉が出てきたのも今のが初耳である。 ここに居る全員が驚きを隠せない様子だった。


銀島 『侑、今のは良く無かったな。 後で謝りや。 、 それと、 喧嘩の原因何なん? 侑、普段やったらそんなこと言わんやん。』


 『…別に、いつも通りや……… 』


喧嘩の原因は、ホラー映画を見た3日後の、 夜の話だった。急に治が言ってきたのだ。


——–キリトリ線——–


 『 なぁ、つむ。 』

 『どないしたん? 』

いつも通り何らかの理由をつけて、一緒のベッドで寝たがる侑に言った。

 『俺らさ、モテるやんか。』

 『おん? (笑) 急に何やねん(笑』

 『いや、せやから… 彼女とか、

つくろっかなって思ってな。』

 『…………は? ガチで言っとん? 』

 『…おん。』

勿論侑への好意が無くなったわけではなく、

どちらかというと逆だ。侑のことを忘れようとしている。 侑もなんとなく、理由は分かっていた。ただその治の優しさが侑の胸を苦しめる。


双子 、 もしかしたら1人で生まれていたかもしれない2人。

神様によって分けられた2人。

そんなんやったらいっそ

一人の人として生まれさせてくれたら良かったのに……

神さんは、意地悪やな。



『やから、ツム…』

『いやや!! 俺はっ………』

治が侑の胸ぐらを掴む、

『…ッ 俺らは双子なんやぞっ。 そんなん叶うわけあらへんやろ。 頭湧いとんのか? ッ 』



『…何やねん!!、サムのアホ!! そんなん分からんやん!!!じゃあこれから、自分の気持ちに嘘ついて、好きでもない女と付き合って、結婚せぇって言うんか!? 、そっちの方がおかしいやろがい!!!』


『 おん。女と付き合った方がええんや』


 『はぁ?? もう知らん!!!』


この時お互い傷ついたような顔をしていたように思う。


”なんでお前がそんな顔すんねん…”







____________________







という感じで、今に至る。







( 後で謝りや) 銀の言葉が脳内で再生される。


そやな。 後で謝るわ。そして俺の気持ちを全部話すわ。お前が好きってこと。お前とずっと一緒にいたいってこと。双子としてでもええ。結婚もせんでええ。サムとおれるだけで幸せなんや。




_____________________


部活終わり、 俺は少し自主練をして帰ろうと思い、1人で体育館に残った。


サムは、腹減ったからと先帰った。

俺が話がある。

と言ったからだろうか。



今日も土砂降りの雨の日だからか、

サムに気持ちを伝えるというドキドキからか、

いつもよりも練習に身が入らなかった。

なので自主練を早めに終え、少し早足で家に帰った、



『ただいま~』


オカン 『おー、侑お帰り~。 治は一緒やないの?』


『は? サムは先帰ったはずやで…』


オカン 『え、そぉなん? 帰っとらんよ?というか、侑も治も傘持っていっとらんかったやろ!

朝あれだけ言ったのn…』


『俺行かな…』


オカン 『はぁ? 外行くんやったら傘!!』


オカンの声は聞こえていない。

カバンなどを全部玄関において、無我夢中で走った。 治が先に帰って、家に1回も帰ってない時は、きっとあそこにいる。

今は、強くなるばかりの雨と、

走ってドクドクいっている自分の心臓の音しか聞こえない。


(ここの公園やっ……)


『サム!!!!』


*『…………ツム…』*


『アホサム!!クソサム!!ポンコツ!!何しとんねん、傘もなしでブランコ座って…』


ずっと昔からそうだ。俺が話があると言ったら

間違いなくここのブランコに座る。それが雨の日でも、台風の日でも、雪の日でも変わらない。


『ツム1回家帰るやろから、傘持ってくる思ったんに、何で持ってきてないねん(笑)』


『あ、急がな思て、 忘れてた…』


久しぶりに治と普通に話せた気がして、

ただただ嬉しかった。


『ふはっ、やっぱポンコツやな~。』


『うっさい!!!!』


『はい、はい笑 で、話って?』


何を言いたいのか全部分かってるくせに、何も知らないフリをしてくるんはなんなん。


そう思いながらも話だした。


**『*サム、ごめん。俺、サムと双子で嫌なんて思ったことあらへんで。 サムと双子で良かった。けど、俺サムに恋愛感情抱いとって、 双子やなかったら、付き合えたのにとか思ってしもて、 あんなこと言ってもた。ほんまごめん。*』**


今顔に流れているのは、雨なのかそれとも涙なのか。 分からないがそんな俺を優しく抱きしめてくれる。


『おん、分かっとる。 俺もすまん。俺もツムの事が好きやで。 でもツムは俺と居るより女といた方が幸せになれるんちゃうか、とか、暖かい家庭を持ちたいんちゃうかとか、色々考えてもて、結果ツムを傷つけることになってしもた。 ホンマごめんな。』



『おんっ!分かっとる』


『ツム、言ったからには覚悟しいや?笑 俺と、 付き合うてくれる?』


 『おん!男に二言はないで!! こんな俺で良ければよろしゅう!』


『ふっ、ホンマ可愛ええな。 一生幸せにしたる。』


そして、人生初めてのファーストキスをした。

治からのキスだった。

優しく触れるだけのキス、


でもとても愛を感じられて、


まるで呪いにかかっていくみたいにとけていく。





『んじゃ、帰ろか』


『おんっ、風邪ひいてまう』笑


*『ん。』*


治が手を出てきた。


躊躇などはせず、(ギュッ)と、手を握る。


小さい頃はよく手を繋いで歩いていた。


しかし今は恋人として。


『俺、今世界で1番の幸せもんやっ!』


『俺もやで』


*2人で微笑みあった*。

この関係を知られたら、気持ち悪がられて

友達も、家族も、何もかも失うだろう。

それでもいい。 2人は本気でそう思っていた。

人を騙して生きていこう。

それが俺たちの選んだ道だ。

























けど、


































人は騙せても


































俺達を作った神さんは、










































騙されへんかったなぁ ……………










































)) キキーーーーーーーーーーッッッッ











『 !? ツム危ない!!!!!』



))))))) ドンっっっ💥💥💥💥💥💥



『わ、急に何や……………』


一瞬で幸せは崩れてしまった。 自分の顔から笑みが消えたのが分かる。 隣に治がいない。

ふと周りを見ると、数メートル先に治が横たわっていた。


みるみる顔色が悪くなる。


ずっと続いていた大雨のせいで車が滑ってしまったのだ。 周りにも何名かの被害者が出ている。

救急車だの、警察だの騒いでいる。


俺は今の状況が理解できずにいた。


すぐに治に駆け寄る。


『さむ?、 おさむ?? なぁ、治!!?』


雨と、涙と、暗さでよく見えないが

頭から大量の出血で、手と足も、曲がってはいけない方向に曲がってしまっている。



『サム!!!!!』

____________________



 『サムっ、大丈夫やで。すぐ救急車来るからなっ、安心せぇ。』



(どうしたん。ツム。ひどい顔やで。)



『ぐずっ、 なんで、なんでサムなん。 グズ

俺お前が居なくなったら、どうやって生きていけばええねんっ、 俺はサム無しじゃ生きられへんっ、なぁ、どこにも行かんといて!!ずっと傍におって???』



(どこにも行かんよ。ずっと傍におる。約束したやん。ついさっき。)



『ホンマ神さん酷いわ グスッ 俺らが結ばれたから、意地悪しに来たんやでっ。なんでや?言葉にせんかったら良かったんか??こんなんするんやったら、初めから双子にせんと、幼なじみとかにして欲しかったわ!!』グスッ



(なんでそんなに泣い とるん? 、、

あ、そか。 俺、車にはねられたんや、

手と、足の感覚ないし、血の匂いする。。

*

*

俺死ぬんか………   )



『……神さんに、、…感…謝.せな』


『何でやねんっ!! 俺らが結ばれた瞬間にこんなことしてきたんやで!? 恨みしかないや゙ろっ。

後、喋ら、でええっ。グスッ』



『いや、 …俺と、つむを……合わせてくれてありがと、、て。』


『なぁ、さっ、む。 もう最後みたいな言い方せんといて??, 将来飯屋やるんやろ。、グスッ

俺は、プロになってっ、グスッ サムの飯いっぱい食って、筋肉にしてグスッ 双子で有名なって!俺が日本代表とかになって海外とかに行っても帰ってくんのはいっつもサムんとこでっ。……… そんで、くたばる時にドヤ俺の方が幸せやったぞ。って言うんやろ?゙


こんなん、勝負にもなってへんぞっ、グスッ』



『すま、んな。……つ、む。 俺もう、 …眠たな…って…きた…。 』



『アカン!!!あかんあかん!!!!寝たら死んでまう。 俺を1人にせんといてっ。 世界で1番愛しとる。 今までも、これからも、サムだけを愛す。 やから、お願い。戻ってきてっっグスッ お願いや、 神さん、俺からなんでも取ってええから、!!!サムを返してやっグスッ 』


『大丈夫……や。 ツムは1人ちゃう。……仲間がおる。心残りは…せやな。ツムの… バレー選手、姿、見たかったわ。……はは、……今から死ぬやつに向かって、愛しとるって。呪いの言葉やな。…… 最後にツムと両思いになれて……嬉しかった……わ。 … 俺も、世界で1番愛しとったで。』



そぉ言い、頬に手を添えてくる治。

今度は俺から、キスをした。



さっきよりも、深くて、長いキス。



これが人生2回目のキスだ。



『サム、聞こえるか?、 救急車の音やで…ッ』



(すまんな。つむ…。なんも聞こえんわ………。

俺の大好きなツムの声と、優しい雨の音しか。)



『なぁ!?返事してっ……… 死なんといてっ…』



(俺も死にたないわ…こんな可愛ええ、泣き虫の片割れを置いて死にたない。 大人になったツムも見たいし、、 でも叶わへんから…お前に愛の呪いはかけたない。 お前は、これからもバレー続けて、俺よりももっとええ人を見つけて、その人と幸せになって欲しい。やから、やから、 最後ぐらい笑ってや……)


俺の心の声は届いたのだろうか…

最後に見た侑の顔は、少し、ほんの少し、

笑ってるように見えた。

もう侑の顔は見えない、

声も聞こえない、

ただ優しい雨にうたれてる感覚だけがある。



” つむ、こんな俺を 好きになってくれてありがとうな。”


_____________________

『 ん、ンン………』



目が覚めると、見慣れない天井。

俺、死んだんか?

そんなことを考えていると、横から馴染みのある声が聞こえた。



『侑!!??、侑!!良かった!!』

オカンと、オトンだった。


2人に抱きしめられた俺は、温もりを感じられて

” あァ、俺生きとるんや” と感じることが出来た。

オカン達によると、 結構大きな事故やったらしくて、 怪我人も、亡くなった方も結構おるらしい、


ここの部屋は、この事故で怪我した人達が治療を受けている部屋らしく、大きな病室だった。


『なぁ、オカン、オトン。ここにおる人達が全員?他の部屋には、おらんの?』

声が震えている。

その緊張が2人に伝わったのか、2人もごくっと唾を飲んだ。

”いない” と言われるのが怖かった。

いないと言われたら、この部屋に居ない俺の片割れは、、、


”ここにおる人が全員や…”

一瞬俺の心臓は動くのを辞めた。

わかりきってる回答ではあった。

けど何より信じられない。

昨日まで、当たり前のように隣にいて。

喧嘩して。

笑いあって。

バレーして。

こんな俺を、甘やかしてくれて。



愛しあって。

『 グスッ 愛しとったなんて グス ずるいわ 。お前だけ呪いから解放されやがってっ…!!(泣)俺は一生、お前以外を好きになることは無いのにっっ…』



この後、同じクラスのやつや、チームメイト、話したこともないような女とかが見舞いに来たけど、内容などは全く入ってこず、ただ病室から外を眺めていた。 今日は、 雲一つない快晴の日だった。





-——-キリトリ線——–



数年後





『 パパ~!!ママ〜! 私、怖い話見たい!!!』

『おぉ~、怖い話かぁ。 ええやん笑 俺がえらんだるわぁ』

『えぇ、怖い話なんか見るの~?、ママ怖いの嫌いやなぁ』

『なんや、ママ怖い話も見れへんの~?笑』

子 『見れへんの~?笑』

『うっ、分かった。、見るから!』

『ふふ、その意気や!、んじゃこれとかど…』

子 『私これがいい!!』

『…え?、』

子 『…?パパどーかしたー?』

『え、あ、嫌。この、”呪い2” って奴がええの?』

子 『うん!!なんか、怖そうやから!笑』

『そか、それならこれにしよか____』



映画が始まった。 俺の嫁と娘は、始まった瞬間から俺にピッタリくっついてビクビクしている。 (なんかこの感じ懐かしいな) なんて思いながら。

2 と書いてあるところから予想はしていたが、あの時の映画の続きだった。しかし内容はほぼ同じで、そこまで怖くもなかった。 ただ最後の部分が違っていたのだ。


前は、彼女の方が男を呪って終わったはずだ。

しかし今回の2には、続きがあった。

彼女の方が、『やっぱり私は貴方を呪うことなんてできない。 貴方には私よりもっといい人と楽しく過ごして欲しい。』といい、男を心霊スポットの敷地からだそうとする。 けど、男の方が、『ごめん。俺どうかしてた。あの時別れようなんて言ってごめん。でも俺は君が死んでから、1度も君を愛さなかった日はないよ。君がいない日々を生きるのは辛くて、それを紛らわすために別の女と結婚して、子供を作った。勿論今の妻も、娘も嫌いじゃない。大好きだ。でも、その人達よりも、自分の命よりも大事なのが君なんだ。 どうか、こんな俺と一生一緒にいてくれないか?』

その後、女の人は、男を八つ裂きにして、一生一緒に居ることになった。。。。。

女が男に呪いをかけたのではなく、男が女に呪いをかけていたのだ。


こんな感じで、ホラー映画じゃなくて、恋愛映画みたいになっていた。

『あんま怖くなかった〜』

なんて言ってる子供をよそに、俺は映画の中の男と自分を重ねていた。

俺も、娘と嫁のことは大好きだ。 嫁は俺のことをよく分かってくれてるし、娘にも沢山癒されている。

けど 、、、

俺の命よりも大事な あいつが死んでからずっと苦しくて、それを紛らわすために、こいつと結婚した。 子供も作った。

あいつが言ったように、暖かい家庭も作った。

そのおかげで近所からは羨ましがられるぐらいの良い旦那になり、家族になった。

でも、俺の心はずっとからっぽのままで。

俺はいてもたってもいられなくなった。

*『2人とも、 俺、ちょっと行かなあかんところがあんの忘れてたわ。… ちょっと行ってくる!』*

『どこ行くん? 、大丈夫?』

さすが俺の嫁。察しがいい。

*『 ちょっとな、 ホンマ気が利く嫁さんやわ。…………大好きやったで。』*

『ちょ、侑??、どういうこと…… 』

そんな嫁と娘を無言で抱きしめて家を出た。


そんな心配せんでも、お前はまだまだ若いしすぐええ男ができるよ。

なんて、自分勝手でごめん。

きっとつらい思いするよな。

けどもう、あいつが居ない世界が嫌なんや。

今すぐ会いたい。声が聞きたい。触れたい…。

そして気づけば俺は、稲荷崎高校の屋上にたっていた。

*『サム、怒るかなぁ。 怒るやろな。 というか、家族を置いて死のうとしてるとか、そんなやつ天国行けるんかな?笑 今そっち行くからな。』*

そして俺は、この世を去った。








『…………い、  ………………おい、 ……おい!!!起きろや!!!!!』

*『ん…???』*

あれ、俺飛び降りて、そんで……

『アホ、ポンコツ。なんでや。 なんでこっちに来てしもたんや……っ』

隣を見ると、ずっと会いたかった彼の姿があった。

『…さ、む 、』ポロポロ

*『なんでやねん!!べっぴんさんな、嫁もおって、可愛ええ子供もおったやんっ。 なんでこっちに来てまうねん 』ポロポロ*

さむ、多分言ってることとやってることちゃうで。

*言葉では俺がこっちに来たことを否定しているのに、俺のことを『*もう離さん』と言わんばかりに、強く抱きしめている。


*『それやったら俺も言わせてもらうけど!!なんで、愛しとったとか過去形やねん!!俺は、治の事忘れた時なんか、あらへんかったのに!!』*


『は、ちょ、俺がいつお前の事忘れた言うてん。あれは、お前が女と幸せになって欲しい思て』

『そもそもなんで女とやねん!!』

『…そ、れは、、角名とかやったら、俺が、めっちゃ嫉妬するから。 角名とかのこと呪っちゃいそうで怖かったからや。』

なんて、言ってくる。

とても久しぶりなのに、ずっとそばに居たようなかんじがするのは、俺だけだろうか。

*『何やそれ(笑) 俺の事好きすぎやん(笑)独占欲強すぎやろ(笑)』*

*『俺の為に、死んだ奴に言われた無いわ。笑 メンヘラつむ君。(笑)』*

*『…もう、俺を置いて何処にも行かんといてな??、 ずっと一緒に居ってな?』*

*『勿論や。 絶対離さん。 愛しとるで。侑。』*

*『俺も、愛しとぉ。』*

大好きな人との、3回目のキス。

今度はどちらからとも言えない、お互いを求めてキスをした。



そして声を揃えて、愛の呪いの言葉を呟く。



一生一緒にいてな”













🕊 𝕖𝕟𝕕 𓂃 𓈒𓏸 💗





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