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バイトの給料を銀行におろしに行き、一旦アパートへ戻って家賃、光熱費、今週の食費をルームメイトに渡すと、昼前にカフェテリアに着いた。奈津美さんの姿はなく、デジュンがいた。彼はアレシオが学校を辞め、ウエストウッドのライブハウスを手伝い始めたことを知らなかった。
「何で早く教えてくれなかったんだ」デジュンは握り拳を作って、テーブルを軽く叩いた「あいつに二十ドル貸したままだ」
俺だって最近知ったばかりだ、もう電話通じるはずだから直接かけてみるといいと言った。
「そういえば、イングリッシュ・クラブはどうなってるんだ」と彼は聞いた。もうとっくに消えたと答えた。
デジュンはコーヒーのリフィルをもらいに行くと、ついでに紙コップを取ってきて俺に半分分けた。
「そりゃそうと、お前、ナツミのことどう思ってる?」
俺はコーヒーを口に含んだ。
「好きなんだろ?」
顔が赤くなってないか、それだけが心配だ。
「まあ、何というか、うん、そうだな。うん、たぶん、そうかもしんない」
「やっぱりな」デジュンは俺の肩を叩いた「まかしとけ。今日このあと、ナツミをリトル・トーキョーの病院に連れて行くことになってる。そのとき、俺の方から言っといてやる」
平静を保てたのは、ここまでだった。
「待てよ」俺はデジュンの腕を掴んだ「そんなこと言ったら、今度会うときどんな顔したらいいのか分からない。そうことは自分の口からいつか言うから」
「まあ、俺に任せとけ。悪いようにはしない。お前の気持ちが固まってるなら、問題ない」
それから彼は急に話を変えた。ジョーン先生のクラスに戻るよう、今猛勉強中なのだという。どこで聞いたのか、先生の体調が思わしくないことを彼も知っていた。