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夜の帳が迫る中、鬼舞辻無惨は東京ー新宿に現れた。冷徹な瞳が、五条悟の姿を捉える。
「貴様――五条悟か。」
その声は冷たいが、興奮もあった。無惨は五条を前にしてじっと見つめていた。五条は少しも動じずに立っていた。彼の目は、無惨を睨んで静かに言った。
「大丈夫、僕最強だから。」
その言葉が戦場に響いた。
無惨の目が細められる。すぐにその言葉が、単なる自信の表れではないことを感じ取った。
「……最強だと? 人間が。」
「そう。」五条は微笑みながら答える。
無惨が一瞬怒りを露わにする。
「お前のような存在には興味がない。」
彼は地面を蹴って一気に五条に迫る。触手が闇を切り裂き、五条に向かって鋭く伸びる。
だが、五条はその動きに微動だにせず、ただ一歩後退した。無惨の触手は、五条の前で止まる。
「――無限。」
呪力が放たれると、触手が空気に引き寄せられ動きが止まる。無惨の触手は、五条によって無力化された。
「無限……?」無惨が呆気に取られたように呟く。
その瞬間、五条の瞳が鋭く光る。無惨は見逃さなかった。
「君は、僕を理解していないようだ。」
無惨は一瞬の間に五条に向かって分身体を送り込む。同時に攻撃を仕掛け、五条を包囲する。
しかし、五条の目が冷徹に光ると、彼の周囲に広がる「無限」の世界が再び現れる。分身体は触れようとした瞬間、無限の空間に吸い込まれ、何もかもが停止する。
「この空間で分身体は役立たない。」五条が冷静に告げる。
無惨の顔に焦りが見えた。再生能力があるとはいえ、五条に攻撃を防がれると、無惨でも思うように手が出せない。再生する間もなく、五条は無惨の分身体を次々に処理していく。
「お前の再生力がどうあれ、最終的には無駄だ。」五条は軽く言った。彼の指先から、虚式『茈』が放たれる。
強烈な紫の光が無惨を貫通し、その全てを爆風のように消し去る。
無惨はその瞬間、五条の姿を見つめる。彼の瞳の中に、一抹の興味と驚きが混じっていた。
「なるほど……。面白い。だが、これはまだ序章だ。」
無惨は再びその姿を変え、強大な血鬼術を発動させる。彼の周囲に赤黒い血液が膨れ上がり、地面がひび割れ、大地が反応する。
「お前のような力が、どうしてこんなところで止まる?!」
五条は冷ややかな笑みを浮かべ、手を広げた。
「止まるわけがないだろう。最強だから。」
その言葉とともに、五条の「無限」が一層強化され、無惨の血鬼術がその場で静止する。血が五条の周囲で静止し、無惨は再度戦略を練り直す。
だが、五条はひるむことなく、一歩一歩無惨に近づいていく。
五条悟が無惨を無力化しながら、冷徹に観察している中、無惨は本気を見せる。
「――まだまだ甘い。」無惨の声は、まるで沸騰する鍋の底から発せられるような低い音だった。
その言葉と同時に、無惨は力を込めて血を操り、血鬼術を発動させた。
「血鬼術 黒血枳棘(こっけつききょく)!」
無惨の周囲から黒い血の塊が突如として膨れ上がり、無数の棘が鋭く突き出した。それはまるで巨大な棘の樹のように見え、空気を切り裂きながら五条に迫る。棘の先端は金属のように硬く、目にも止まらぬ速さで五条を貫こうとする。
五条はその瞬間、冷静にその場を飛び退く。だが、棘の動きは瞬時にして五条を包囲し、逃げ場を無くしていく。
「お前、どうしてそんなものを……!」
無惨は不敵に笑った。彼の血から放たれる黒い棘は、五条の無下限呪術さえも破るほどの威力を持っている。
五条は少しだけ顔を歪める。今までの戦いで数々の攻撃を無力化してきたが、この「黒血枳棘」の破壊力は予想外だった。無限による防御だけでは全てを防ぎきれないかもしれないという、わずかな危機感を覚える。
しかし、その危機感をすぐに打破する。
「くっ……、本気を見せてきたな。」五条は冷静に呟くと、再び目が輝いた。彼の手が一瞬に掌印を描き、強力な呪力が渦巻く。
「領域展開――無量空処。」
無惨の「黒血枳棘」は五条の領域展開に引き寄せられるようにして、無限に吸い込まれていく。無数の棘が五条の無限の空間に足を踏み入れた瞬間、それらはすべて停止した。
無惨はその様子を見て、少し驚いたような表情を浮かべた。
「無限か……!だがそれでも、お前の体力を削ることができる。」
五条は冷笑を浮かべると、無惨に向かって歩み寄る。無惨の血が再生を繰り返しても、五条の領域展開がそれを無駄にし、無惨は次第に追い詰められていく。
「血鬼術がいくら強くても、君の本質は変わらない。――無限がすべてを制する。」
五条はその言葉とともに、無惨に向けて虚式『茈』を放った。強力な紫のエネルギーが無惨を襲い、目にも止まらぬ速さで彼の体を貫通する。無惨の血は弾け、空間に広がった。
だが、無惨はすぐに再生を開始した。無惨の肉体が急速に修復され、爆発的なエネルギーが放たれる。
「ふふ……なかなか面白い。」無惨はその笑みを崩さず、再生した体を使って血を再び操る。「でも、私の力を知りもしないで。」
無惨の目が険しくなると、彼は再度、五条に向けて無数の黒い棘を放った。それは五条の周囲に急速に迫り、無限の空間に再生される棘が何度も何度も現れ、五条を追い詰める。
五条は微動だにせず、目を閉じると呪力をさらに強化させ、次の瞬間――
「―いけ!」
無惨の棘が再び五条を包囲する直前に、五条の手のひらが開かれ、すべての黒血棘は再度、五条の無限に飲み込まれていく。しかし、無惨はその間隙を狙い、五条の体に触れるべく血液を送り込む。
「それでも――だ!」
五条は冷静に無惨の行動を観察し、瞬時にその血液を無限の空間で分解する。無惨の攻撃は再び全て無効化され、無惨の血鬼術の意味が薄れていく。
無惨は急速に冷静さを取り戻し、戦局を有利に進めようとするが、五条の力に圧倒されているのは明らかだった。
「次は、君の命を奪う番だ。」五条はその言葉とともに、再度赫を放ち、無惨に圧倒的なダメージを与える。
無惨の再生が追いつかないほどの攻撃力。五条は完全に無惨のペースを掴んでいた。