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(兄を求めてる……!?)
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「……やめろ」
僕は強く抱きしめた。
「落ち着け」
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でも——
止まらない。
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そのとき。
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「——呼んだか?」
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低い声。
冷たい気配。
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「……っ」
全員が振り向く。
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入口。
そこに立っていたのは——
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蒼真。
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空気が一瞬で変わる。
重い。
息が詰まる。
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「……遅いよ」
凛が少しだけ笑った。
「もう少しで壊れるところだった」
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蒼真は無視した。
ただ、まっすぐ見ている。
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僕の腕の中を。
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「……にぃ……」
赤ちゃんオオカミが震えながら顔を上げた。
その瞬間——
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魔力が、ぴたりと止まる。
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「……っ」
さっきまでの暴走が嘘みたいに静まった。
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(……やっぱり)
この子にとって、
蒼真は絶対。
蒼真はゆっくり歩いてくる。
一歩一歩。
逃げ場を塞ぐみたいに。
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「返せ」
短い一言。
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「……断る」
僕も即答する。
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一瞬、沈黙。
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「……なんでだ」
蒼真の声は低い。
でもさっきより、少しだけ——
感情が混じってる。
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僕は赤ちゃんオオカミを見た。
まだ僕の服を掴んでる。
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「この子が嫌がってる」
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「……」
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「それに」
僕は少しだけ笑った。
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「ここにいたいって言ってる」
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蒼真の目が、わずかに揺れる。
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その瞬間。
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「……あーあ」
凛がため息をついた。
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「面倒な展開だね」