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いつもと同じ朝
いつもと同じ道
車を駐車場に停めて警察署へと歩き出す
警察署の前の横断歩道
そこへ一台の車が停まった
「‥‥‥‥はぁ」
俺はため息を吐きながら横断歩道へ歩みを進める
紫に黒のパールコーティングしたイグナス
俺が近づくとその扉は鳥の羽の様に上に開いていく
「こやー!おはよう。今日も美人だね」
「‥‥不破さん。おはようございます。仕事帰りですか?」
「そうなんだよ。朝方に顔をちょっと出しにね」
不破湊
この街のギャングのボス
自身でホストを経営しており、他にも喫茶店やタバコ店など数店舗所持している
「こやにエネルギー貰ってから眠りにつこうかと思って」
「俺でチャージするのやめて下さいよ」
「え〜?俺こやが居ないと死んじゃうんだもん」
そう言いながら俺に抱きついて来た
不破さんの整った顔が間近に迫る
そして俺の頬にキスをした
「不破さん!!」
「なぁに?あ、顔赤くない?可愛いんだから」
不破さんからはアルコールの匂いがした
それは不破さんがここで俺を待っている時、いつも香っている
「あまり飲み過ぎないで下さい。部下達もきっと心配してますから」
「やっぱりこやは優しいなぁ。あ、そうだ!こやにプレゼントがあるんだ」
車に戻り紙袋を取り出す
いかにも高級そうな紙袋が差し出される
「‥‥不破さん、俺‥‥警官なんで貰えないっス」
「えぇ?せっかくこやに似合うと思って買ったのに?」
「‥‥‥‥‥‥」
「どうしてもダメ?この前あげた物嫌いだった?」
「いや、そうじゃなくて‥‥」
「もしかしてローレンに怒られた?俺が言ってやろうか?」
「いや!本当にそうじゃなくて‥‥‥‥」
酔っ払いなのか、そうじゃないのか分からずに対応に困る
いや、アルコールの匂いがしてる時点で酔っ払いか?
「ボスから物を頂戴するなんて‥‥俺警官クビになっちゃうかもです」
「俺は警察のこやにあげてるんじゃないから。俺の好きなこやに渡してるの!」
「あ‥‥はははっ‥‥」
不破さんは俺を可愛がってくれる
もちろんギャングのボスって言うのも大前提にはあるが、それ以上に憎めない
「でも不破さん、もうプレゼントはもらいましたから、これからは気持ちだけで大丈夫です。俺は不破さんにあげれる物もないですし」
「そんなのこやが来てくれれば良いから。いつでも待ってるよ」
「え?ギャングにですか?それともホスト?」
「こやがやりたいなら良いけど、どちらかと言うと俺の所に来て欲しいかな?」
「‥‥俺の所‥‥とは?」
「やだなぁ、こんなに好きって言ってるのに」
また俺は顔が赤くなっている
朝から全開で口説くのはやめて欲しい
「不破さん、俺仕事間に合わなくなりますからこれで‥‥」
「え?これは?受け取ってくれないの?」
「いや、だから‥‥」
俺はまた遅刻確定なのかもしれない
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コメント
2件
ふわこや待ってました!パチパチ また警官のこやさんが振り回されそうで嬉しいです(*´˘`*)