テラーノベル
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第71話
あれから二週間。ソフィーが逝ってしまってから二ヶ月半。
今日は、少し遠くの平原にきていた。
「ロルフのように、強くなりたいな……」
「アニカは十分に強いと思うけど」
「だって、貴方はずっとこの世界の命運を任されていた。それに立ち向う勇気と強さが貴方にはある」
「でも、アニカのように気持ちを受け止める強さは無いよ。それに、全部、怒りにのせてたから、勇気と強さって表すのはどうなのかな?」
「でも、それを信じられてるじゃん。自分の気持ちを全うできるのは素敵だと思う」
自分の気持ち……
顔には出さないけど、行動に出してたのか……そのくらい、いいよね。もう、圧を感じる事を、完全にやめたんだから。
今までは、ちゃんと受け取らないといけないってしてたけど、今は、もう自分の好きなようにやって、怖い物は沢山あるけれど、恥を書かないように、太く生きていきたい。
「ロルフ。私はね、昔から貴方の事が好きだった。貴方は、私に縛られすぎてるのは勿論わかってる。承知の上でなんだけど……これからの人生を一緒に歩みたい」
アニカっ! ……それは叶わないんだよ。
「ごめん。僕も好きなんだ。だけどね、光の血と王の血って混ざっちゃいけないっていう言い伝えがあって……叶わないんだ。僕はアニカの側にずっといたいけどっ……」
そこまで言ったら泣いてしまった。
「ごめんっ……愛してるんだ……でもっ……」
「分かってる。でも、しょうが無いよね……」
諦めたくないけど……やっぱりこんなの嫌だ。
だって、こんな終わり方スッキリしない。だけど、理由まで言った方が……
「封印するのって、光の家と王家が一緒にしないといけないんだ。また、災厄や呪いが来るのなら、一緒になったらマズイんだよね……」
「理由、その他にもあるんでしょ? 顔に書いてある」
嘘っ!
僕が久しぶりに顔を赤らめていると吹き出された。
「久しぶりに見た」
「全部の表情を捨てるなんて、疲れちゃったからね……それで、光の子って長生きなんだ。結ばれたとなっても置いて逝かれる。それを想像するだけで、怖くて、苦しくて……」
「……確かに、長生きなら、駄目って言うかもね……」
僕は無言で頷いた。
領主が長生きとかの問題じゃなくて、もう、逝かれてしまうのが怖い。
「……僕、騎士辞めようかな。ここまで聞いてもらってて、あれなんだけど……」
「ロルフはもう十分に役目を果たしたし、世界を何度も救ってくれた。それに、私はロルフの頑張りを沢山見てきた。だから、騎士を辞めても誰も文句は言わないと思うよ」
そう言ってアニカが作り笑顔をして言った。
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……やっぱり、酷い奴だよね。
勇気を出して、言ってくれたのに、振って、側を離れるって……
「あ、落ち込まないで。ロルフには、ゆっくり休んで欲しい」
「うん。しばらく、家に住もうと思うから、何かあったら呼んで。光って貰えれば分かるから」
「分かった。これから、遊びに行ってもいい?」
「勿論」
……これも、終わっちゃうのか。僕は何歳まで長生きするんだろう? 置いていかれちゃうんだろうか?
その日の夜。
平原の真ん中にある木の下で二人で座っていた。
僕が何気なく鼻歌を歌っているとアニカが不思議そうな顔をしていた。
「ん? どうしたの?」
「聞いた事あるなって……お母様が歌ってくれた子守唄に似ているの」
「ジョルジャ様から聞いた歌だよ。あれから、もう十七年……あっという間だね」
「殆ど寝てたでしょ?」
まぁ、そうだけどな……
「でも、ロルフと一緒にいられるのもあと少しか……」
「いなくなる訳では無いからさ、悲しまないでよ。それに、何も無くても会いたかったら来て。その時は分かるから」
「ふっ。その自信、どこからくるの?」
「ここからだよ」
そう言ってアニカの手を取って僕の胸に当てた。
「僕は、自分の事をあまり信じられないけど、大切な人の事なら分かる」
「そっか。大切な人……」
そう言ってアニカは星屑が振り注ぐ夜空を見上げた。
「ここで、一緒に寝てもいい?」
「うん」
アニカが隣で寝息を静かにたてている。
はぁ〜……自己中だな。
思い出を増やしたくなくて、苦しみから解放されたくて……大切な人を傷つけちゃった……
僕はアニカの隣で横になった。
……ちゃんと生きてる。良かった……
次の日の朝。
前と同じように抱き着かれていた。
……夜も気付いたけど、そのままが良かったからそのままにした。
もうそろそろ起きる気がするから寝てるふりをした。
コメント
1件
やっと読んだよ…もう、切なくて苦しくなっちゃった。ロルフが自分の気持ちを自覚して、それでも離れる覚悟を決めるところ、すごく響いたよ。アニカの告白を断る時の涙が目に浮かぶみたいだった。でも最後に星の下で隣に寝てるシーン、なんか儚くて美しくて、ちゃんと生きてるって確認できて安心した。この静かな温もりが切ないよ…