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「……ふわぁ、飲んだぁ。美佐子さん、あんなに面白い人だったんですね」
隣を歩く徹さんの腕に、自分でも驚くほど自然に身体を預ける。
ワインの酔いが心地よく回り、足元がふわふわと浮いているような感覚だ。
徹さんは「そうだね」と短く返しながら、私の腰に手を回して支えてくれる。
その手のひらの熱が、服越しにじりじりと伝わってきた。
「さん……」
「ん?」
「徹さん……っ」
何度も名前を呼んで、もっと近くに行きたくて、彼のコートの袖をぎゅっと握りしめる。
見上げた徹さんの顔が、街灯の光に照らされて
いつもよりずっと甘く、蕩けるような表情をしていた。
「……徹さん…まだ一緒にいたいです……っ。帰りたく、ない……」
自分でも信じられないほど、甘ったるい声が出た。
上目遣いで彼を見つめると、徹さんの喉仏が大きく上下に動くのが分かった。
彼の瞳の奥で、静かに、けれど激しく理性が燃え尽きていくような音が聞こえた気がした。
「……仕方ないね」
徹さんは低く、少し掠れた声でそう呟くと、迷いのない足取りで私を近くのホテルへと導いた。
煌びやかで、どこか非日常的な香りのするホテルのスイートルーム。
分厚いカーペットに足を踏み入れた瞬間、密閉された静寂が部屋を支配した。
バタン、とドアが閉まる音が、私たちの世界がここだけに限定されたことを告げた。
「…あ、あれ……」
ベッドの端に腰を下ろした瞬間、急激に意識がはっきりとし始めた。
窓から見える夜景の輝きと、目の前に立つ
ジャケットを脱ぎ捨ててネクタイを緩める徹さんの姿。
「…ここ、ラブホ……っ?わ、私、どうして徹さんとラブホにいるんですか……?」
私の口から漏れたのは、あまりにも間抜けな質問だった。
酔いが冷め始め、一気に顔が熱くなる。
そんな私を見て、徹さんは低く笑った。
彼はゆっくりと近づいてくると、私の両肩を掴み、抗う隙も与えずに優しく、けれど拒めない力でベッドへと押し倒した。
「…え、徹さ……」
私の両隣に腕をつき、覆いかぶさるようにして私を見下ろす徹さん。
整った顔がすぐ目の前にあり、彼の熱い呼気が肌を掠める。
「結衣から誘ってきたんだけど……」
徹さんの指先が、私の頬を、それから耳たぶをゆっくりとなぞる。
彼の瞳は、獲物を前にした狩人のような鋭さと
壊れ物を扱うような優しさが混じり合った、見たこともない色を湛えていた。
「俺とするの……やだ?」
耳元で、甘く、酷く情熱的な声で囁かれる。
「やだ」なんて、言えるはずがない。
あまりの恥ずかしさと、彼への愛おしさが混ざり合って、私の顔は林檎のように真っ赤に染まった。
「…やだ、じゃな……いです……っ」
消え入るような声で答えるのが精一杯だった。
そんな私の反応を楽しむように、徹さんはふっと口角を上げると
逃げ場を塞ぐようにして、深く、熱いキスを落としてきた。
#ワンナイトラブ
おまる