テラーノベル
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夜の森に、緊張が張り詰める。
玲央は木の陰に身を隠しながら、どう動くかを一瞬で判断する。
(銃の相手に真正面から行くのは無謀だねぇ……でも、こっちは動きで翻弄できる。)
スタンリーは慎重に銃口を向けながら、玲央の動きを追っている。
「逃げ足は速いが、そろそろ終わりにしようか。」
低く冷静な声が響く。
(……さすが、百戦錬磨のスナイパーって感じだねぇ。)
玲央は一瞬、目を閉じて息を整えた。
そして——
「ノってきたねぇ!」
突如、大きく横へ飛び出し、リズムを刻むように左右に素早く動きながら距離を詰める。
パァン!
鋭い銃声。玲央のすぐ横の木が弾け飛ぶ。
(ギリギリ……! でも、次はこっちの番だよ!)
玲央は地面を蹴り、さらに高速で動く。
「チッ……!」
スタンリーの射撃が玲央の動きに追いつかない。
(銃のリロードの隙を突く……!)
一気に距離を詰めた玲央は、素早く地面の小石を蹴り上げ、スタンリーの目の前に飛ばした。
スタンリーが一瞬、視界を塞がれたその瞬間——
「もらった!」
玲央は勢いよくスタンリーの腕を掴み、そのまま地面に叩きつける!
ドンッ!
「ぐっ……!」
スタンリーが反射的に銃を落とす。
玲央はすぐに銃を蹴り飛ばし、スタンリーの腕を押さえつける。
「いやぁ〜、やっぱりおっかないねぇ。こんなの持ってる奴と正面からやり合うのはさ。」
ニヤリと笑いながらも、玲央の目は鋭いまま。
スタンリーは冷静に玲央を見上げる。
「……意外とやるな。」
「そりゃどうも。でも、ここで捕まる気はないんでねぇ。」
玲央は素早く身を翻し、その場から離れる。
スタンリーもすぐに立ち上がるが、銃はすでに玲央の手が届かない場所にあった。
「ふう……少しは時間を稼げたねぇ。」
玲央は軽く肩を回しながら、再び森の奥へと走り出した。
***
その頃、千空たちの拠点
クロムが千空の肩を揺さぶりながら叫ぶ。
「お、おい千空! なんかヤバいことになってねえか!?」
千空は顕微鏡から目を上げ、冷静に答える。
「……ああ。どうやら、”向こう”も動き出したようだな。」
ゲンが苦笑しながら呟く。
「いやぁ〜な予感がするねぇ……」
そして、風が吹き抜ける夜の中——
千空たちの戦いが、また新たな局面を迎えようとしていた。
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