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「それじゃあ、どうすればこの夢の世界から起きられるのだろうか」
「あの時の……電車の中のことをよく思い出して。携帯の目覚まし機能が鳴ってから私たちは起きたのよ」
「それでは、携帯の目覚まし機能でこの夢の世界から元の世界へ戻れると?」
私たちの行為が解りかけてきた渡部は疑問を呉林に向けた。けれど、さっきから携帯の目覚まし機能は辺りに鳴りっぱなしだった。
「おかしいのよね」
呉林は携帯の目覚まし機能を試行錯誤して止めり鳴らしたりしていた。頭がどうにかなりそうな場所で、一つの何とも言えない合理性が芽生える。
「そうだ。携帯のアラームじゃなくて、何かの刺激で起きたのでは?」
私は思ったことを素直に告げた。
呉林はハッとして、うんうんと頷いた。
遠くの方からテレビの砂嵐の音が聞こえてきた。
私はまさかと思って振り返った。