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ナディエル(涙)
うわあ…今回の話、すごく重かったですね。ナディエルの過去、まさか家族全員を疫病で失ってたなんて……。弟や妹の話をさっきまで優しく語ってたから、余計に胸が締め付けられました。 「残ったのは、私ひとりだけ」って淡々と語るのが、逆に彼女の強さと痛みを感じさせて。ランディリックが出自を知った上で受け入れたっていうのも、彼らしいなって思いました。リリアンナの「寂しくなかった?」で終わる余韻が、すごく心に残ります…。続き、気になります🥀
「……そう、だったの」
「はい」
てっきり、ナディエルは平民の出なのだとばかり思っていた。
けれど、そう聞いてみれば納得できることも多い。
ナディエルは読み書きや計算もできるし、立ち居振る舞いも綺麗だ。いつも侍女としてそばにいてくれるから今まで深く考えたことはなかったけれど、言われてみれば、どこかのお嬢様だったとしても不思議ではない気がする。
「では、ナディも昔はお屋敷で暮らしていたのね」
「はい。ですが、それほど裕福な家ではありませんでしたよ」
ナディエルは懐かしむように目を細めた。
「父は領民の暮らしを第一に考える人でしたから、領地のためなら自分たちの暮らしが多少質素になっても構わないという人でした」
「優しいお父様だったのね」
「ええ。私の自慢の父でした」
迷いなく返された言葉に、リリアンナの胸が少しだけ温かくなる。
きっとナディエルは父親のことが大好きだったのだろう。
でも、だからこそ〝でした〟と過去形で語られたことが気になった。
「けれど、私が十代の頃、領内で疫病が流行りまして」
ナディエルの声から、ほんの少しだけ笑顔が消える。
「……疫病?」
「はい。元々、何年か続いた不作で領地の財政もかなり厳しい状態でした。そこへ疫病が重なったことで、多くの領民が亡くなりました」
「そんな……」
「父は私財も投じて領民の救済に当たりましたが、立て直すことはできませんでした」
それどころか――と、ナディエルは静かに続ける。
「父自身も病に倒れました。母も、弟も妹も……次々と」
リリアンナは息を呑んだ。
先ほどまでナディエルが優しい顔で語っていた弟や妹。
夜になると姉を頼って部屋へやって来たという、小さな妹も、そんな彼女を助けてくれていた弟も……。
もう、この世にはいないのだ。
「……みんな?」
「はい」
返ってきた声は穏やかだった。
けれど、それがかえって胸に痛かった。
「残ったのは、私ひとりだけでした」
「ナディ……」
「父の死後、私が家を継ぐことになりました。ですが、疫病で領民の多くを失い、私財を投げうった後の当家には、荒廃した領地を再興するだけの力は残されていませんでした」
「ナディが……?」
「はい。けれど、名ばかりの子爵になったところで、領民を守ることはできません。残った領民たちの暮らしを立て直すためにも、領地を国へお返しすることになったのです」
「それで……」
「子爵位も返上し、家はそこで終わりました」
ナディエルは一度に何もかも失ったのだ。
「それから……どうしたの?」
「父と親交のあった方が、私の身を案じてくださったんです。その方の伝手で、こちらで働かせていただけることになりました」
「それで、ヴァン・エルダール城へ?」
「はい」
#ギャップ
ひより
3,413
ひより
3,504
#三角関係
霞花怜
5
#白い結婚
夕凪ゆな
123
ナディエルが微笑む。
「旦那様も、私の出自を知った上で受け入れてくださいました」
それを聞いて、リリアンナはランディリックらしいと思った。
きっと彼は、没落した子爵家の娘だからといってナディエルを哀れんだり、特別扱いしたりはしなかったのだろう。
「寂しくなかった?」
気付けば、そんなことを尋ねていた。
ナディエルがわずかに目を見開く。