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「未来で待ってる。いつまでも、ずっと。」


俺は、そうやってこの時代とおさらばした。

未来で会う約束をして。



鐘の音がした。おかしい、何かがおかしい。

「うるさいな」

俺はスマホのアラームで起きた、はずだった。

スマホがない。鐘の音があるのもおかしい。


喉の奥が、 じわりと冷える

「ここ、何処だ」

俺の部屋じゃない。見上げた天井は低く、木目がむき出しだった。

布団も、壁も、俺の知っている“現代”のものじゃなかった。

「現代じゃなくね…?」

やけに大きな声が、この部屋に響いた


―コン、コン、コン。


扉が軽く叩かれる。

「大丈夫でしょうか」

扉越しから聞こえる優しい女の子の声。

声からして俺と歳が近い気がする。

「あ、すみません。大きな声を出してしまって」


「入ってもいいですか?」

女の子は聞いた


「……どうぞ」

俺がそう言うと、ゆっくりと扉が開いた。


立っていたのは、淡い色の着物を着た女の子だった。

髪は肩のあたりで揃えられていて、どこか落ち着いた雰囲気がある。

「突然失礼いたしました。先ほど、大きなお声が聞こえたもので……」

少し心配そうに、俺の顔を覗き込んでくる。


「あ、いや……ちょっと驚いただけで」

自分でも何を言ってるのか分からない返事をすると、

彼女はほっとしたように小さく息をついた。


「それなら、よかったです」

一瞬の間のあと、彼女はぺこりと頭を下げた。


「私、千代と申します。ここでお世話係のようなことをしています」


「俺は……」

名前を名乗りかけて、少し迷ってから続ける。

「俺は翔。……正直、状況がよく分かってなくて」

彼女は驚いた顔をしたあと、くすっと笑った。


「でしたら、少しずつお話ししましょう。

その方が、お互い安心できると思いますし」


「……ありがとう」

そう言った瞬間、

ここで初めて、俺は思った。


——この時代で、最初にできた友達かもしれない、と。


大正十三年、君と出会った

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