総一朗に招かれた夕食を終えて、帰路に着く。
夜はすっかり更けた。
だから、人通りも少ない。
しん、と張り詰めた空気が、酒で火照った肌に触れる。
相変わらず美味しいご飯だった、なんて余韻に浸りながら、何の気なしに路側帯の白線の上へつま先をトン、と乗せた。
バランスを取るために、拳ひとつ分程度に脇を開いて、内心で「よ、よ」と声をかけながら、命綱なしの綱渡りをする。
もちろん、落ちたところで何もない。
でも、一度始めてしまったら、外れるのが惜しくて、一歩ずつゆっくりと踏み出す。
ふと気になって隣を歩く彼を見やるが、彼は私の遊びに気づいていないのか、どうなのか、特に何も言っては来ない。
それをいいことに、再び視線を足下へと向けた。
街灯と、民家から漏れ出る灯りだけを頼りにしているはずなのに、その “白” は明瞭に浮かび上がる。 ***************************
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