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猫塚ルイ

「失礼します……。あ、安住さん! 来ちゃいました……って、わぁ……っ!」
ひょっこり入ってきたのは、穂乃果が今夜どうしてもと招待した、大切な同僚の彩美だった。
「あら? いらっしゃい」
「ようこそいらっしゃいました。ええっと……。穂乃果さんの同僚の彩美さん、ですよね? どうぞ、こちらに」
「ひゃっ、はいっ!」
まだ何も事情を知らないまま店内に足を踏み入れた彩美は、ライトブルーのシャツワンピースを美しく着こなした穂乃果と、カウンターの奥に佇むナオミ、案内役の湊の姿を順番に見つめ、あまりの眩しさに目を細めた。
「来てくれてありがとう。彩美」
「ありがとう。じゃ、ないって! ち、ちょっと! 安住さんっ! これはどういう事? なんで織田さんが!? って言うか、顔面偏差値高すぎっ!!」
矢継早に質問され、思わず苦笑してしまう。確かに、ナオミが男の格好をしていることもあり、イケメンバーテンダーとイケメンな従業員と言うパラダイスのような空間が出来上がってしまっている。
「ええっと……これは――」
さて、何処から説明しよう? 困って口を開きかけた瞬間。いつの間に背後に回ったのか、ナオミが穂乃果をハグするように抱きしめて来る。
「ようこそ。田中さん、だよね? この間、穂乃果が針の筵にされてた時、最後まで信じてくれてたんだって? 穂乃果から聞いてる。 今日はそのお礼も兼ねてるからゆっくりしていってよ」
「……っ」
なにがなんだかわからないが、ナオミ(ケンジ)と、穂乃果がただならぬ関係である事は理解できたのだろう。彩美はコクコクと激しく首を振った。
「~~~っ! や、わわわ私は別に何も……っ!」
ただでさえ店内の顔面偏差値に脳が追いついていないところへ、かつて病院のVIPルームにいたあの超絶イケメン患者の『織田さん』が、完璧な男装正装のイケボで、しかも穂乃果を後ろから甘く抱きしめながら囁いているのだ。
あまりの衝撃とときめきの過剰摂取に、彩美は顔を真っ赤にして両手を激しくバタバタと振った。
抱きしめられた穂乃果も茹でダコのように赤くなりながら、「ナ、ナオミさん、彩美ちゃんがパニックになっちゃうから……っ」と身をよじる。けれど、ナオミはそんな穂乃果を愛おしそうに見つめ、腕の力を緩めない。
本当に何処から、どういう順番で説明していいのか全くわからずに穂乃果が目を白黒させていると――。
――カランカラン。
そんな二人のパニックを他所に、ドアのベルが鳴り、今度は続々とBLACK CATの常連さんたちが姿を現した。
「ごめん、彩美ちゃん! あとでゆっくりと話すから!」
穂乃果は慌てて彩美に謝罪すると、ひとまず彼女を特等席であるカウンターの椅子へと座らせた。
コメント
1件
彩美ちゃんが店内のイケメン密度に脳内処理落ちしてるのがめっちゃ可愛い(笑)。ナオミさんの男装正装×イケボ×後ろからハグのコンボ、そりゃパニックにもなるわ…。穂乃果さんも茹でダコになってて、二人の関係を察した彩美ちゃんの激しい首振りがツボでした。常連さんズラッと登場でこれからどうなるんだろう。温かい空気感がたまらない回でした!