「話を!聞いて!くださーーーい!」
葛葉が必死に叫ぶ。
その姿を見て真希とパンダは困惑する
「なんだ。あいつら。」
困惑しながらも真希は闘いの構えをやめない。
「うーん…ぱっと見はすげぇ呪力だけど、よく見るとなんか違うくないか?」
パンダが目を凝らしながら葛葉を見る。
「しゃけ。」
狗巻もパンダの意見に同意する。
「油断させようとしているだけかも知れないだろ。」
敵意を二人に向けつづける真希。
「どうしよう~葛葉ぁ。僕たち呪霊?呪詛師?認定されちゃうのかなぁぁ。」
葛葉に抱えられながら叶が嘆く。
そんな叶に対して葛葉は真希から目を離せない。
真希の攻撃はとても速い。
日頃からゲームばかりしている葛葉にとって、叶を抱えながらの真希との戦闘は重労働だ。
「とりあえず、話を聞くのは捕まえてからだ!」
真希が葛葉に向かって走った。
一気に距離が縮まる。
葛葉は距離を取るために低空飛行で逃げた。
しかし、前からパンダが立ちはだかる。
それを避けだが、真希が横から出てきた。
挟み打ちになってしまった葛葉と叶。
葛葉の目の前に真希の呪具が見えた。
真希も顔面に当てたと確信した。
しかし、葛葉の顔に当たる寸前、葛葉は真希の呪具を避けてものすごいスピードで上昇した。
上へ逃げた葛葉を見て、その場にいた三人は目を見開いた。
先ほどまで白色の短髪だった髪の毛は襟足が長く伸びていた。
服装も黒のジャージから貴族のような服装に変わった。
相変わらず叶を抱えているが、先ほどよりも羽が大きくなっている。
まるで本物の吸血鬼のような見た目だった。
顔立ちも凛としていた。
三人は息をのんだ。
「あっぶねぇぇぇぇ!死ぬかと思ったぁぁ!」
葛葉は涙目で叫んだ。
「…………え。」
見た目とのギャップに戸惑う三人。
「……なぁ、やっぱり呪詛師ではないだろ。呪力を使う様子ないし。」
パンダが葛葉を指差してから言う。
「はぁ!?じゃあ、なんだっていうんだよ。」
真希は混乱して眉をひそめている。
その様子を見て葛葉は地上に降りた。
それと同時に再びジャージ姿に戻った
「俺達の話聞いてくれないすか…?」
葛葉が話し合いを提案した次の瞬間、ある男の声がした。
「うん!話を聞こうじゃないか!」
白銀の髪の毛に黒色の目隠しをしている五条悟だ。
五条は高見の見物をするようにグラウンドにいる五人を見下ろした。
五条の後ろには一年生の三人組がいる。
とにかく話し合いが出来るようになったことに葛葉と叶は安心した。
葛葉は抱えていた叶を下ろし、その場に倒れた。
「葛葉!?」
倒れた葛葉を心配する叶。
真希やパンダも倒れた葛葉に驚いた。
「つ、つがれた………。」
息切れが凄い葛葉を今度は叶がおんぶする。
「日頃から運動しないから~。」
叶がそんなこと言いながら歩く。
「どこで話をしますか?」
叶は、真希とパンダの近くまで歩く。
二人に天使のような笑顔を向ける叶に対して五条が答える。
「とりあえず学長のところかな~。」
人差指を立てている五条に対してにこりと笑う叶。
「わかりました。でもその前に…。」
叶の目つきが変わる。
それに真希達は身構えた。
しかし、叶の体がプルプルと震え始めた。
「誰か…葛葉を持ってくれませんか?僕…もう…限界が…。」
倒れ込みそうになる叶にその場にいる全員が呆れる。
真希が叶に近づき葛葉を自分の肩に乗せる。
そのまま歩きした。
「あ…。ありがとうございます。」
微笑む叶。
全員が校舎の中に向かって歩いていく。
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