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「出ていけ!」
…また始まってしまった。
もう慣れてしまったようなものだ。
昔からこんな親だった。正確に言うとするならば、年中くらいからこんな親だった。
何か溢せば叩かれ、何か壊せば蹴られ、何かしようと飛び跳ねるものであれば、雨でも雪でも、夜でも構わず外にほっぽり出される。
まだ十数年しか生きていないのに、こんな壮絶な体験をした事を褒めてほしい。
「ごめんなさい。」
謝れば正解だと思うか。いいえ、それは違う。ただ口に出すだけだ。じゃあ何で言うのか。「なんでごめんなさいも言えないんだ。」と聞かれるからである。馬鹿馬鹿しい。 今のうちに、学校に行ってしまおう。
私は靴を履いて、颯爽と学校に向かった。
「おはよう!百合。」
「おはよう、瀬菜。」
瀬菜、友人の1人だ。
「今日数学の小テストだってよ!?最悪だ…助けてよ百合〜!」
「私だって数学苦手だよ〜。」
瀬菜はいつだって明るい。きっと底知れぬ明るさを持っているのだろう。
瀬菜に限らず、学校に来れば、親の事なんて忘れられる。…ような気になる。
誰にも親の事は相談した事がない。
きっと信じて貰えないから。いや、信じて貰えない、と言うよりかは、自分の普段の姿から想像がつかない。と言った方が正しいのだろうか。こんなこと自分で言うのもキザかもしれないが、自分はきっと明るい人間なのだろう、と思っている。困らない程度の人脈はある。一緒に遊ぼうと言えばいいよと着いてきてくれる友人がいる。うん、それで充分だ。
気付けばとっくに放課後になっていた。数学の小テストも、大して美味しくもない給食も、すぐ寝てしまった地理の授業も、今となっては、家に帰る憂鬱さだけが気持ちの断片と化していた。
帰りたくない。
…あれ、今自分はなんと言ったのだろう。
帰りたくない?何を言っているんだ。
自分でも鼻で笑ってしまった。
歩く足は止まらないと言うのに。
家に帰ったら何が始まるか分かっている。
あぁ、もう家に着いてしまった。
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