TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

 治安維持を担当する作戦本部に次々とエージェントが襲撃されているという情報が集まってきていた。

 副司令が司令に報告する。


「司令! 四人目が襲われました。二子玉川から始まって今月のお台場、立川に続いて品川です!」

「チッ! 全エージェントモードSで警戒態勢! 公安局にも情報を渡して襲撃犯の正体を突き止めろ! 最優先だ!」


 その連絡は鮮花にも届いていた。アレクシアから通話で詳細な情報が届けられる。


「え? エージェントが?」

『四人とも単独行動中に襲われたらしいです』

な~んで特定されてんだ?』

「わかりません……例のコンピューターハッキングと関係あるのかも。あと、単独行動は控えなさいよ。それと今月の検診昨日よ、と山岸先生が」

「あ~……そうだった」

『行かなかったんですね』

「だって~」


 鮮花の視線の先にはお菓子とアニメの山がある。


「早速今日からペアで行動しようと思います」

「ん? いやペアって毎日お店で一緒じゃ…ん?」


 ぴんぽーん、ガチャ。

 ドアを開けるとそこには大きなバッグを持ったたきなが立っていた。


「夜は交代で睡眠をとりましょう!」

「え?」

「安全が確保されるまで24時間一緒にいます!」

「うちに泊まんの!?」


 ズカズカと入り込むと、ガランとした何もない部屋があった。


「プロの部屋だ」

「ああそっちじゃないよ。こっちー」


 壁が回転して、階段が現れる。それを降りるとふわふわとした生活感溢れる部屋があった。

 そこには緑髪の男がジャンクフード食っていた。


「よぉ。なんか忙しいみてぇだな。なんだぁ? そいつ。お前の相棒か? イレギュラー」

「そ、そ、そ。頼りになる相棒だよん」

「鮮花、誰ですか?」

「うーん、バランステロリスト」

「おいおい、雑すぎるだろ。名前で言え名前で」

「なんだっけ? アンタの名前。平等院? つーか私もアンタからイレギュラーって呼ばれて名前で呼ばれてないんですけど?」

「あー、わりぃわりぃ。そんで? なんで相棒ちゃんがうちに来てるの?」

「アンタの家じゃねぇ」

「細かいこと気にすんなよ、イレギュラー」


 はぁ、とため息を吐くと鮮花が説明をする。


「エージェントが謎の組織から襲撃を受けて、安全対策のためにコンビで過す事になった……んだよね? たきな」

「はい、その通りです。その、平等院も恐らく狙われているかと」

「はっ」


 その言葉に、平等院はつまらなそうに笑う。そして近くにあった漫画に手を伸ばす。


「狙われてるのに慣れてる。問題はバランスだ。今は世界のバランスが悪い。あまりにも治安が悪すぎる。もっと平和な国が増えなきゃバランスが悪い」

「まーたバランスか」

「財団……ピースブレイカー……テロリスト……どいつもこいつもぶっ潰してやる」

「一人で?」

「お前もやるんだよ!」

「なんで!?」

「パノプティコン機関から命令あっただろ。使命を果たせってよ」

「えぇ? 来てないよ?」

「端末見ろ端末」


 鮮花は端末を見ると匿名でメールが届いていた。


『平等院公平と協力し、日本を襲うテロリストを壊滅させ、また世界に存在するテロリストを壊滅せよ』

「あー、ホントだ」

「つーか客人を立たせたままにすんなよ。座れ座れ」

「いや、アンタが言うなよ。私の家だぞ。たきな座って良いよー」

「あ、ハイ」

「アイスココアで良い? ココアしかないからそれででいいでしょ? うん、おっけー」

「酷過ぎるだろ、お前。鬼か。相手の意見ガン無視か。悪魔か」

「言い過ぎだろ、ふざけんな」


 アレクシアはソファーに座ると、鮮花に問いかける。


「何なんですか……これ?」

「長く仕事してると色々あるのよ。ここはセーフハウス1号。他に3つあるんだ」

「セーフハウスって……お前。正義の味方じゃねぇーのかよ」

「その正義の味方にも色々あるんだよ」

「仲間割れかよ、つまんねー」

「仲間割れじゃなくてテロリストだよ」

「居場所バレてるのかよ、もうそれセーフハウスじゃねぇーぞ」

「まぁこの地下施設はバレてないから」

「酸素に食料に水に自家発電施設か。もう対核シェルターだな」


 アレクシアはテキパキと作業を進める。そしてホワイトボードに指す。


「注目」

「あ?」

「なになに〜?」

「共同生活を送るうえで公平な家事分担です!」

「面倒くせぇ、パス」

「つまんない〜」

「つ、つまらない……? えぇ? なら、ジャンケンとか?」

「おっけー、おっけー、やろうか」

「頑張れー」

「お前もやるんじゃい!」


 鮮花は平等院を叩く。


「いてぇ!? テメェ」

「はい! 最初はグー!」


 じゃんけんの結果家事は全部、アレクシアになった。


「な、何故?」

「エゲツねぇな、お前」

「アンタに言われたくない」


 夜。

 平等院が起きる。そして鮮花を蹴り飛ばす。


「オイ、イレギュラー。変なの来たぞ」

「ん〜? あー、またか」

「なんだぁ? コイツら」

「暗殺者。どこかの国のテロリスト」

「はー、まぁ頑張れや」

「ええ!? 手伝ってよ!」

「嫌に決まってんだろ面倒くせぇ」

「アンタねぇ……はー、はいはい。わかりました。わかりました。一人でやってきます」


 鮮花は武器庫から、致死毒の注射器とドミネーターを取り出すとテロリストのいる偽装部屋に向かう。そして陰からスタンモードに設定したドミネーターで狙いを定めて、撃つ。複数の光が瞬き、襲撃者が倒れる。そして鮮花は致死毒の入った注射器を襲撃者に突き刺し、生命活動を停止させる。

 鮮花は端末から後始末をしてくれる後始末部隊を呼び出し、後を任せた。

 地下室に戻ると、真島が拍手をして出迎えた。


「流石はミス・イレギュラー。見事なお手前だ」

「はいはい」

「いつもこんな感じなのか?」

「まぁね」

「大変だな、同情するぜ」

「そりゃあどうも」


 鮮花は再びベットに倒れ込み、そのまま睡眠を再開した。

 翌日、喫茶店には元相棒のルイが情報を届けに来ていた。


「最近のエージェント連続殺人犯は死神部隊だとわかりました。世界の国々も、クレスト、シリウス、アクアビットの三つに別れて、国家という概念は日本を入れて四つしかありません」

「うわぁ、なにそれ。やっば」

「それに死神部隊を率いていると思われる財団は様々な勢力に変な自律駆動兵器を売りつけ、戦争を煽っています。日本も近いうちに四大勢力による総力戦である世界大戦に巻き込まれるでしょう」

「日本は専守防衛ですが、様々な勢力から狙われるのは間違いないっす。なので皆さんにもご協力お願いしますっていうのが、司令官の言葉っす」

「わかった。非常時には手伝うと伝えてくれ」

「わかりました。では私達はここで」


 と、そこでルイと鮮花が目が合う。


「お前も戦うことになる。気をつけろよ」

「ルイこそ、気をつけて」

「当然だ。赤服を舐めるな」


 ルイ達が出ていった後で、先生ことフロックが不思議そうに首を傾げる。


「しかし何故、エージェントだとバレているんだ?」

「んなの一つだろ。制服がバレてんだ」


 当然のようにココアを飲んでいた平等院が答える。


「なるほど。よし、鮮花。お使いを頼むが、これを着ていけ」

「んー、なにこれ。黄色いポンチョ?」

「ああ、それがあれば誤魔化せるだろ」

「ありがとう、先生。では鮮花、行ってまいりまーす!」


 鮮花が店を出ていった後、平等院が呟いた。


「大丈夫か? アレで」

「大丈夫だろう。アイツは強い」


 お店から出た鮮花は暗い夜道を歩いている。そこにヘリが向かっていき、近づくと当時にヘリに固定されていた荷物がパージされ、鮮花の前に落下する。

 落下したのは機械だった。

 それから声が響く。


『統制された安寧。統制された闘争。統制された世界。多くにとってそれは与り知らぬまま。

人々は管理されている。

人々は守護されている。

人々は育成されている。

人々は期待されている。

戦いと発展による研鑽の果てに答えを見出だし、いつか庇護を不要として巣立ちを迎えるまで。

我々は人類の可能性を信じている。

だからこそ我々は例外を許さない。

唐突に現れては差し伸べられた庇護の手を自分は不要だと払い除け、それを必要とする多数を顧みない、歩調を乱す利己的な存在を容認しない。

例外は排除されるべきだ。

ドミナントの鮮花、お前は邪魔だ。

消えろ、イレギュラー!!』


 機械の塊は銃を構えて突撃してきた。

世界を守る殺戮の救世主

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

38

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚