クロウリー
「やはり、ない。世界どころか、有史
以来どこにも貴方がた出身地の名前は
見当たりません
貴方、本当にそちらから来たん
ですか?嘘をついてるんじゃない
でしょうね?
こうなってくると、貴方がたが
何らかのトラブルで別の惑星、
あるいは異世界から招集された
可能性が出てきましたね」
『異世界…別、世界』
なら、私は死んでいないのかしら?
『ここは、生きた世界なのかしら?』
クロウリー
「生きた世界?何を当たり前の事を」
なら、私の怪我は何故ないの?いいえ
今考えても無駄ね。後でゆっくり考えた
方がいいわ
クロウリー
「貴方、ここへ来るときに持っていた
ものなどは?身分証明になるような
魔導車免許証とか靴の片方とか」
『耳飾りに髪飾り。羽織と日輪刀。
隊服ならこの服の中に着ているの
だけれど、身分証明書になりそうな
物は何もないわ』
クロウリー
「困りましたねぇ、!貴方
刀を持ってるんっすか?!」
そうでした!普通は刀を持って
いてはいけないのでした。でも…
『これは、大切な物なの』
私は日輪刀を撫でながら
そう呟いた
クロウリー
「…そうですか。分かりました
護身用として許可しましょう
ですが、全寮に当てはまるとはいえ
女性で魔法を使えない者をこの
学園に置いておくわけにはいかない」
『少しよろしいかしら?
何故女性はダメなのでしょう』
クロウリー
「ここは男子校なのです」
『まあ、そうでしたの』
クロウリー
「しかし、保護者に連絡もつかない
無一文の若者を放り出すのは教育者と
して非常に胸が痛みます。私優しい
ので
う〜ん…そうだ!学園内で今は使わ
れていない建物があります。昔寮と
して使われていた建物なので、掃除
すれば寝泊まりぐらいはできるはず
です
そこであれば、しばらく宿として
貸し出して差し上げましょう!」
『まあ、よろしいの?優しいのね!』
クロウリー
「ええ、そうです。あ〜なんて優しいん
でしょう、私!教育者の鏡ですね
では善は急げです。寮へ向かい
ましょう。少し古いですが、
おもむきのある建物です」
〜〜〜
『これは、確かにおもむきがあるわね』
ついた先は、なんとも言えない
ボロ屋敷だった
クロウリー
「そうでしょう。そうでしょう
さあ中へどうぞ。ここであれば、
とりあえず雨風は防げるはずです」
そう。雨風が防げるだけ
全然ありがたいわ
クロウリー
「私は調べ物に戻りますので適当に
過していてください。学園内は
ウロウロしないように!では!」
クロウリーさんが寮から出た後、
私は寮の中を見渡していた
『真っ白なホコリが雪景色みたいで
綺麗ね〜。よし!まずは座れるように
少し掃除してしまいましょう!』
そう意気込んだ時、外から音がした
『あら?やっぱり雨が降ってきたわ
体質も変わっていないのね』
グリム
「ぎえー!急にひでえ雨だゾ!」
『まあ、グリム様!』
私はグリムねほうへしゃがんだ
グリム
「げっ!お前はさっきの!へへへ
オレ様の手にかかれば、もう1度
学校に忍び込むくらいチョロい
チョロい
ちょっと外に放り出したくらいで、
オレ様が入学を諦めると思ったら
大間違いなんだゾ!」
『グリム様は、どうしてそんなに
この学校?に、入りたいのかしら?』
グリム
「単純な話なんだゾ!オレ様が、
大魔導士になるべくして生を受けた
天才だからなんだゾ!
いつか、黒い馬車が迎えに来るのを
オレ様はずっとずっと待ってた
なのに、なのに」
グリムは少しずつ涙目になっていった
私は思わず抱きしめてしまった
泣かないで、泣かないで
私は誰かが悲しむのが、泣く姿が
大嫌いなのだ
グリム
「ふ、ふん!闇の鏡も見る目が
ねーんだゾ。だからオレ様の方から
きてやったってわけだ
は、はな、離せ!
オレ様を入学させないなんこの
世界の損失だってのに、人間共は
わかってねーんだゾ!
人間!お前ならオレ様の子分にして
やってもいいんだゾ。様もつけなくて
いい!そ、その変わりまた抱き
しめろ!」
伊之助みたい
『じゃあお願いしようかしら?親分!』
私はまたグリムを抱きしめた
そんな時、何箇所か雨漏りしてる
みたいで、グリムの頭に雨が当たった
とりあえずバケツを探そうと
寮内を移動していると
『!』
?「ひひひ いっひひヒヒヒ」
「久しぶりのお客様だあ〜」
「腕が鳴るぜぇ〜」
『えっ、と?どちら様かしら』
グリム
「どうしたんt ギャーーーーー!!!
おおお、お化けえええええ!!」
ゴースト
「ここに住んでた奴らは俺達を
怖がってみーんな出ていっちまった」
「俺達ずっと新しいゴースト仲間を
探してたんだ。お前さん、どうだい?」
ゴースト?グリムが言ってたお化けなら
分かるのだけど、仲間。私は、元の世界
では死んでるけど、この世界ではどう
なるのかしら
グリム
「うううっ、ううーーっ!(涙目)
大魔導士グリム様はお化けなんか
怖くないんだゾ!!!
ふんな”〜〜〜〜っ!!」
グリムは炎をゴーストに当てようと
した。だがグリムは炎を出すときに目を
つぶっていて当たらない。私が協力する
ことにした。そしてゴーストが逃げ
出した時に
クロウリー
「こんばんは。優しい私が夕食を
お持ちしましたよーって、それは
先程入学式で暴れたモンスター!
追い出したはずなのに、何故
ここに?!」
グリム
「フン!オレ様がお化け退治して
やったんだゾ。感謝しろ!」
クロウリー
「ん?どういうことですか?
そういえば、この寮には悪戯好きの
ゴーストが住み着き、生徒達が寄り
つかなくなって無人寮になっていた
のを忘れていました
しかし、ふぅむ。貴方達2人で協力
してゴーストたちを追い出してしまう
とは」
グリム
「コイツと協力…ま、まあそれは
認めてやってもいいんだゾ!」
クロウリー
「お二人さん。ゴースト退治、
もう一度見せてもらえますか?」
グリム
「でもゴーストは全部追い払っち
まったんだゾ。それにやるなら
ツナ缶が欲しいんだゾ!」
クロウリー
「ゴースト役は私がやります。私に
勝てたらツナ缶を差し上げましょう
私、優しいので。では変身薬を
ごっくん!!」
『!』
姿が先程のお化けさんと同じだわ!
この世界は本当に不思議ね
グリム
「えぇ〜嫌なんだゾ。めんどくせーし」
入学できるかも。なんてわかりもしない
無責任な事は嫌いだから言わないけれど
『またグリムのカッコいい
ところが見たいな〜!』
グリム
「ぐぬ これで最後なんだゾ
絶対絶対ツナ缶よこすんだゾ!?」
そしてゴースト退治が始まった
グリム
「ぜぇ、はあ どうだあ!」
クロウリー
「なんと、まさかモンスターを
従わせることが出来る人がいるなんて」
従わせる?なんだか
嫌な言い方かもしれないわ
クロウリー
「ふぅむ 実は入学式騒動から私の
教育者の感が言ってるんですよねぇ
レイさんには、調教師や猛獣使い的な
素質があるのではないか、と
しかし…ブツブツ」
どうしたのかしら?あ、そうだったわ
『あの、クロウリーさん。グリムも
一緒にこの寮に置いてもらうことは
できませんか?』
クロウリー
「なんですって?モンスターを?」
グリム
「お前…」
『無理は承知ですが、
どうかお願いします!』
クロウリー
「ふぅ 仕方ありませんね
いいでしょう」
グリム
「ふな”っ!?本当か!?」
クロウリー
「しかし、闇の鏡に選ばれなかった
しかもモンスターの入学を許可する
わけにはいきません
レイさんについても、元の世界へ
戻るまで、ただの居候をさせるわけ
にはいかない」
グリム
「なんだぁ。ぬか喜びだゾ…」
『ええ、タダでこの寮を貸して
貰おうだなんて思っていませんもの』
クロウリーさんが言うには、学内
整備などの雑用をこなして欲しい
とりあえず、グリムとの2人一組での
雑用係
やることが終わってからであれば、
元の世界に帰る為の情報集めや学習の
為に図書館の利用も許可するとのこと
『承諾しました。図書室の利用
許可まで申し訳ありませんわ』
クロウリー
「よろしい。では2人とも、明日から
ナイトレイブンカレッジの雑用係、
生徒として励むように!」
夜、グリムが寝静まった頃
私は傷の手当をしていた
何もわからないわ。この世界に私が
来た理由も、あれだけの傷がなくなって
いるのもでも、失くなった傷は最終
決戦でおった大きな傷だけ
腹を裂かれ、内蔵にまで届いた傷
消失した右目。肩から完璧に失くなった
左腕。骨が粉々になった右足。右側の
潰された頭蓋骨。骨は潰されたけど脳に
まで届いてなくてよかったわ
それ以外の傷と古傷は残ってる
今もこうして傷から血が流れているわ
隊服も羽織同じ。最終決戦で裂かれたり
汚れたりした傷だけは綺麗さっぱり
ないわ
ああ、皆はどうしているのかしら
1日以上会わなかったことなんてザラに
あったはずなのに、今日はもう寂しく
感じるわ
私はベットから降り、壁に
かけられている鏡を覗いた
『それなのに、私は笑うだけ
もう、泣けないのね』
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