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「麗乃は元々虐待児だ。」
「は??」
「あいつの親は本当にやばい。麗乃が入学する時に親御さんに会ったんだけど、なんて言われたか分かるか?」
阿須がブンブンと顔を横に振る。
「麗乃を早く殺してくれ。そう言われた。今までにいなかったよ。あんな親は。昔の麗乃の写真見るか?」
「お、おう…。」
出雲から渡された麗乃の幼少期の写真。阿須はそれを見てドン引きした。ボロボロで太い鎖で繋がれた、手足。髪もバサバサで左右で長さが違う。口と頭などから血が流れた跡があり、悲惨だった。
「こんななのに、あいつはずっとニコニコ笑ってる。二人でいた時に、辛くないのかって聞いたら、別に辛くないと。家族が喜んでくれるならそれでいいんだって言われた。」
「麗乃、やっぱり。」
「阿須も察してはいただろ?最近、あいつの笑った顔が暗く見える。助けてやりたいんだが、あの親…俺も敵わない。」
出雲が何も出来ないって言うほどなら、相当やばい。
「分かった。ありがとう。出雲。ちょっと麗乃の様子見てみる。」
「うん。なにか口出すことはしないでね。麗乃には誰にも言うなって言われてるからな。」
「分かってら。あいつが自分の口で助けてって言ったら助けてやる。」
阿須はそう言いながら自分の寝室に戻って行った。出雲はその時の阿須の顔に不思議に思った。すごく、辛そうで悲しそうな顔をしていた。阿須が寝たぐらいの時に出雲は阿須の部屋に入り、寝ている阿須の横に座った。
「阿須…。」
そう言いながら阿須の頭を撫でる。
「お前だって、辛いんだろ。壊れるなよ。阿須…。」
そういった後、スっと静かに立ち上がり、またリビングに戻って行った。
次の日、麗乃はいつも通り話しかけてきた。
「阿須くん。昨日の薬ありがとね。」
「おう。お前、クマすごいけど寝てないのかよ。」
「え、嘘。寝てるんだけどなぁ。」
「無理すんなよ。」
そういい、阿須は背中を向けようとしたが
麗乃がまた喋りだした。
「阿須くんって、そういう優しいことをなんで蒼ちゃんには言えないの?」
「は?!?!?!///」
「蒼ちゃんに言ってあげればいいのに。」
「あ、あいつは金持ちだし、ちゃんと管理されてっから心配する必要なんてねぇんだよ!!!!」
阿須がどかどかしながら、麗乃から離れていく。
それから、4人それぞれ任務があったりで全く会える時間もなく、阿須も見張る時間がなかった。
(やべぇ、やべぇよ。なんっっっも見れてねぇ。てか、あいつどこにいんだ。今何日。25日…??給料日じゃねぇか!!!)
家にいた阿須が家から飛び出し、外を見渡していると遠くから歩いてくる麗乃の姿が見えた。
(ん??麗乃??)
近くまで行き、見ると麗乃の腕にはアザが見えていた。
「おい!麗乃!!どうしたんだよ、このアザ!」
「っっ、阿須くんっ、」
麗乃は今にも泣きそうな顔で、阿須の胸に頭をコツンと添えてきた。
「麗乃…?」
「助けてっっ、」
「よく言った。」
そう言いながら微笑み、阿須は麗乃の頭をポンポンとし、自分の家へ向かった。
続