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喧騒が止み、流星と天馬だけが残されると、フロア内はひっそりと静まり返った。
「くっそ…いってぇな…」
流星がアルコールを口にして、切れてしみたらしい唇の端をぐいっと拳で拭った。
「切れるほど殴るとか…信じられねぇ」
「……悪いのは、流星の方でしょ……」
三日月に反省を促されたのにも関わらず、そんな素振りもあまり見られない流星に、さすがに銀河の肩を持つと、
「ふぅ~ん?」
と、語尾がわざとらしく上げられた。
「おまえ、やっぱりあいつのことが好きなんだろ? そんな風に気にするなんてな…」
「そういうことを言ってるんじゃなくて、あなたが先にふっかけたんでしょという話をしてるの…」
こちらをからかうような顔つきで横目に見やる流星とは、なるべく目を合わせないようにして喋った。
「あんなことでマジになる奴が悪いんだろ。酒の席での軽口だろうが?」
まるで悪びれた風もない流星に、これ以上は何を言っても仕方がないようにも思えていると、
それまで黙って聞いていた天馬が、
「だけど、あの言い方って、銀河の傷口えぐるのわかってて言ったようなもんでしょ」
そう横から口をはさんだ。
「傷口って……?」
確かに、銀河のあの急な怒り方には、何かしらの理由があるとしか思えなかった。
それに、『言っていいことと悪いことがあるくらい、わからないわけじゃないでしょう?』と、苦言を吐いていた三日月も、初めから理由がわかっているような口ぶりだった。
銀河があそこまで我を忘れて怒るようなわけって、一体何なのだろうと感じていると、
「……銀ちゃんは、過去に触れられるのが嫌いなんだよ……」
と、天馬が口を開いた。