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長い道のりを歩きやっと家が見えてきた。周りにいるあの者たちを追い払う。グッ…

軽く開けることができた扉が重く感じる。充電の残りが少ないのだろう。もう人踏ん張りの力を使い開ける。

ガチャ…

やばい…まぶたが落ちてくる。扉を…完全に…閉めないと…あの者たちが入ってくる。

ガチャ…

閉めたら…家まで…行かないと…ここ…で眠っ…てしまう…

「は…かせ」

バタリ…

ピーピー…ピーピー…ピーピー…

充電が切れてしまったので庭で倒れてしまった。

博士は私がここにいることを気づいてくれるだろうか。

周りが真っ暗で何も見えない。

『ロボットだ!!』

誰かがはしゃいでいる。

『すごいわ』

誰かが褒めている。

『そうだな』

誰かが見守っている

二人が一人の頭を撫でている。

この人達は誰だろう。なぜ、喜んでいるのだろう。知っているようで知らない人達。私の目の前にいる貴方はだあれ?

『マリー』

どこからか聞こえる。知っている声…この声は…

ピピッ!!

『起動します』

周りは白い空間…

どこからか、明るい日差しが見える。

「ここは…」

ぼんやりしていた空間がはっきりと見えた。ここは、私の部屋だ。そして、今自分が布団の上にいることも分かった。布団の周りには、機械や道具などで散らかっている。これらは博士の私物だ。

「は…博士」

博士は無事なのだろうか。私はどのくらい眠っていたのだろうか。

起き上がり布団から出ようとした瞬間…

ドンッ…

「マリー!!起きたの!!」

博士が足で扉を開けて入ってきた。

「博士…すいま」

ギュッ…

「は…博士」

博士はそのまま勢いよく飛びついた。抱きしめてくる手が少し震えていた。

「博士…すいません」

「マリー…」

「博士…」

心配をかけてしまった。一人で大丈夫だと言ったのにこのざまとは恥ずかしい。

博士は抱き着いたまま離れない。こういう時はどうすれば…

よしよし…

博士の頭を撫でた。これが正しいのかはわからない。でも、このやり方しかわからない。古い|記録《思い出》で見たときこのやり方をやっていた人達がいた。

「マリー…おかえり」

「博士…ただいま」

そのまま一時、博士はマリーを抱きしめ。マリーは博士の頭を撫で続けた。

その後…

「博士…私はどのくらい眠っていましたか?」

「…三日」

博士は拗ねながら言った。

「三日…ですか」

確かに、そんな長い間眠っていたら心配かけてしまうだろう。尚更、拗ねてもおかしくない。

「心配おかけしました」

「もう!!ほんとうに!!心配した!!」

「はい」

「ムッ…」

拗ねた博士から私が充電切れになった後の事を聞いた。どうやら、博士は私に充電切れを知らせるアプリを付けていたらしい。そこで、充電切れを知りどこで切れたのかを確認しに研究室に向かっている途中。

にゃー

まぁー

猫達が博士の白衣に噛みつき呼び止めたらしい。

「あの時は構ってほしいのかと思ったよ」

確かに、一見見たら構って欲しくて寄ったように見えるだろう。

「でも何となくついて行ったら…ね」

門の所で倒れている私を見つけたらしい。

「よく運べましたね」

私は博士には隠したパワーがあるのかと感心していたら…

「他の運び道具を使った~」

「…そうですか」

「私には重いものを運ぶ力はないからね!」

ペシッ…

とりあえず、ムッとしたので頭を叩いた。

どうやら、博士は今まで作ったガラクタなどを使って運んだようだ。まさか、あのガラクタ達がここで役に立つとは…

「部屋までは引っ張ってね。もう疲れたよ」

「そこら辺に置いておけばよかったのでは?」

「私はそんな事しませーん」

「そうですか??」

なぜ、無理とわかっていながら運んだのだろう。私は人間でもないのでそこら辺に置いて修理すればいいのに。わざわざ、部屋まで運びそこで修理するわけがわからない。

私が疑問に思っていることを感じたのか…

「マリーだって私の大切な家族だよ…人間とかそういう概念が大事なんじゃないよ」

家族…博士は当たり前に言っているがロボットである私にはそういう概念があるのだろうか。

「それに、マリーがいない間いろいろ頑張ったよ!」

「な…何をですか」

嫌な予感がする。

「か・じ」

「そ…そうですか」

私は気になったので急いでキッチンの方に向かった。もしかしたら、もしかするとが起こっているのかもしれない。どうか…どうかそのもしもは、なしで…

「あぁ~」

「頑張ったよ!」

嫌な予感が見事に的中した。まず博士の家事を頑張ったは…ダメだ。

キッチンはカオス状態だった。食器は泡まみれや汚れまくり、いくつかの皿は割れている。フライパンだけでなく、コンロの部分焦げている。白かった壁は何か爆発でもしたのか、飛び散り汚れている。赤い部分は、殺人現場のようになっていた。リビングの方は…

「あぁ…」

テーブルには料理するのを途中でめんどくさくなったのだろうと分かるカップ麺の塵が置いてあった。床には漫画やゲームが置きっぱなしになっており、猫達も端のほうで座っている。

まだ、見たのはキッチンとリビングがだけだが他の部屋も絶対にカオス状態になっている。

「博士…これからは一人にはしません」

「当たり前でしょ!」

博士は…どんな意図でそう言っているのか分かっていないようだが、私はもう絶対に博士を一日足りとも一人にはしない、させないと誓った。

「猫のご飯はどうしましたか」

「とりあえず、袋を開けて食べさせたよ!」

「あけた…ですか」

指差した場所には、開けたというより袋を上手く開ける事ができず中身が散乱した状態だった。

「はぁ…」

ぶっ倒れて…眠り…起きてすぐに、家の清浄とは…ブラックな仕事現場だ。

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