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年末年始は、それぞれの実家へとご挨拶に行き、 ご馳走になった。
匠のお父様が、3日ならいらっしゃると言うことなので、元旦に私の方の実家へ行った。
久しぶりに父は、庭で匠とキャッチボールをして、楽しそうだった。念願だったのだろうな。
嬉しそう。私も投げてみたが、思っていたより飛ばなくて自分でビックリした。
そして、夜は、皆んなでたくさん呑んだので、お泊まり。
そして、3日に匠のご実家へ
私は、初めて匠のご実家を訪れた。
ウチの実家とは違い洋風の素敵なお家だ。
お父様は、顔合わせの時に、うちの父に、
『そろそろ飛行機は、降りようかと思っているんですよ』と、おっしゃっていた。
そのことについて気になっていたので、聞いてみると、やはり、今までずっと健康だったのに、視力が気になりだしたのだと。
もちろん、毎日チェックはあるので、引っかかると操縦は出来ない。
まだ、正常値範囲内ではあるようなのだが、ご本人はほんの少しの変化でも感じておられるようだ。
56歳、そろそろ不調が出て来る頃なのかな。まだ、若々しいのに。
長年、国際線、国内線あちこちの空港へと飛び回って来られた。
そろそろ、地上勤務でも良いのかと私も勝手に思った。
すると、匠が
「なら、降りる前に乗せてよ」と言った。
「え?」と私は驚いた。
あれだけ、お父様がパイロットであることを嫌がっていた匠が……と、でも嬉しかった。
私も乗りたいと思った。
「与那国に行く便は?」と匠が言った。
お父様が操縦される便のチケットを取って、わざわざ乗りに行くのなら可能だとは思うが、匠は、恐らく新婚旅行の時に!
と言っているのだと思った。
しかし、そんなに上手くその日の操縦士になれるわけではない。
会社で発表された勤務表により、この日は何処と場所を決められるので、国際線かも国内線かも分からない。
3月の挙式まで後2ヶ月、ということは、
新婚旅行まで2ヶ月半ほどだ。
「難しいが来月スケジュールが出たら言うよ」と。
「ありがとうございます」と私が言った。
もし、無理そうなら違う日に日帰りでも良いから乗りに行きたいと思った。
それより、私は、
元CAである、お母様との馴れ初めを聞きたかった。
聞いてみると、やはりお父様は、照れ臭いのか口をつぐんでしまい、お母様が、
「同じ職場だったの」と……
──あ〜やっぱそうよね〜パイロットとCAって、絵に描いたような素敵なお2人よね〜
「そうなんですね」とニコニコした。更に、
「やっぱり、最初からビビっと来たんですか?」と私は聞いていた。
すると、
「いいえ、とんでもない」とおっしゃるお母様。
「え?」と驚くと、
「私、この人、1番苦手な人だったのよ」と、笑っていらっしゃる。
「え〜!」と驚いてしまった。
見た目は、やはりイケメンで、背も高くてカッコイイ。頭も良いし、優しそう。何が不満だったのだろう、と思っていると、
「たぶんね、女性との関わり方が分からなかったんじゃないのかしらね」と、お父様を見られた。
「え〜そうなんですか?」と聞くと、
「ハハ」と、お父様は、照れながら笑っておられる。
え〜! と驚くことばかりだ。
「だからね、あ〜この人、私のことが嫌いなんだわと思ったの」
「そう思ってしまいますよね」
「そうよ! でね、ある日『この後、ちょっと良いですか?』って言われたから、きっと文句を言われるんだ! 呼び出しだ! と思って」
「そうなんですね」と言うと、
「突然、『結婚前提でお付き合いしてください!』って言うものだから、私驚いてしまって、『え? 私のこと嫌いなんじゃないんですか?』って思わず聞いちゃったわよ」と、可愛く笑っておられる。
お父様のお茶が進む。
──可愛い
「と言うことは、最初からお父様は、お母様のことが……」と言うと、
「最初からではないですよ!」と言う。
「ふふっ」と笑っておられるお母様。
「最初は、本当に言い合いばかりしてたので、どちらかと言うと生意気な人だなと思ってて……」
「そうなんですね。それがいつしか恋だと気づいたんですね」と言うと、恥ずかしそうに、
「もう私たちのことは、良いですから」とおっしゃった。
「ふふふふ、まさか結婚するなんてね〜」と、おっしゃるお母様と匠と顔を見合わせて、笑ってしまった。
キリッとされてて、とても紳士なお父様の可愛い一面が見れた。嬉しかった。