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~ 遡ること約7年と数ヶ月前
由宇子が大倉将康との離婚届を出し
新居に移ってから半年程経った頃のこと ~~⑪
そして更に翌日、伯母と伯父に薫とふたりで結婚の報告をした。
大事な薫の嫁入り先が決まり、彼らはとても喜んでくれた。
伯母は、しばし……『なんだかまだ信じられないわ』と言っていた。
自分がまとめたようなものなのにね。
玉砕覚悟だと伯母は母に言ってたらしいけれど
伯母は玉砕せずに済んだ。
生きてこれからも薫の幸せな姿を見られる。
洋子ちゃんおめでとう。
洋子ちゃんや伯父さん、そして薫の生きていく上での
よすがになれるなんて思ってもみなかったことだけれど
そんな風に思ってくれる人がいることは喜ばしいことでは
ないだろうか。
私は離婚して子供を2人も連れて出戻ってきた。
薫の嫁入りで淋しさや悲しみまでもどこかへ雲散霧消して
いったよ。
私は薫との結婚にあまり多くを望んではいなかった。
正確には望まずにおこうと考えていたのだ。
元夫との関係の中であまりに悲しく誰かに相談などもできないような
レスという問題を抱えていた。
元夫からは惚れられて結婚したと自負している。
そんなパートナーでさえ、レスだったのだ。
52-2
まして、薫と私は熱烈に恋愛して結婚するわけでもなく
また伯母の洋子ちゃんから聞かされていた話などを鑑みても
決め手はないにしても、薫の精神性を考えると普通に夫婦生活を
求めるのには無理があるだろうと考えたからだ。
だから薫との夫婦生活においては、多大な……いや少しの期待もせずに
おこうと決めていた。
寂しい話だけれど、これくらいの覚悟を持たずして薫との結婚は
決められなかったと思う。
◇ ◇ ◇ ◇
いつも薫の周りには可愛い女の子たちが寄ってきてはくるけれど
薫と上手く付き合えず上辺だけの付き合いを数ヶ月過ごすと皆
スーっと去っていくの。
どんな女の子が寄って来てもいつもそんな感じで
薫は女性と恋愛できないみたいだと洋子ちゃんは言っていた。
あんなに容姿にめぐまれていても、精神が追いついてないと
恋愛は難しいのよと母親ならではの観察眼で語っていた。
そんなこんなで、何の問題もないわけではなかったけれど
私が最初から夫婦生活に期待せずにおけば、いいだけのこと。
薫が私との結婚を望んでいる、それさえ知っていれば
薫との一緒の暮らしは上手くいくと思っている。
夫が単身赴任してから1年後~8年後 ①
冬と春の境目の季節、弥生 の頃……
とんとん拍子で話がまとまり、私は従姉弟の北嶋薫と子連れで
再婚した。
両家のみ内々でのひっそりとではあるが心温まる儀式で
私たちは一層の絆を深めた。
薫はやっぱり薫だった。
私や子供たちと暮らしていても接し方はほとんど変わらなかった。
子供たちは相変わらず今まで同様薫のことを薫ちゃんと呼び
私は薫とか薫くんとか呼んだ。
子供たちを抱っこしてくれる私とは違う力強くて大きな手は
私や子供たちの拠り所になるには充分だった。
毎日家族が寝食を共にできる生活は幸せだ。
◇ ◇ ◇ ◇
そしてなんと、結婚してから2年目に私は第3子優人をもうけた。
両親はもちろんのこと伯父伯母がどんなに喜んだことか!
そして薫は泣くほど喜んでくれた。
美誠も智宏も無邪気に喜んだ。
私も薫の子を産んで……
産めて……
すごくうれしかった。
結婚前に半ば諦めていた薫との夫婦生活。
ほんとに、ほんとに嘘のように杞憂に終わったのだった。
けれど、先の結婚時も第2子まではもうけていたので
優人を産んだ後のことを考えてしまった。
時は流れ……
結婚して5年目には更に第4子美貴をもうけることができた。
そして更に時は流れ結婚して8年後元夫が単身赴任から
戻って来た頃
4月
美誠は11才
智宏は8才と10ヶ月
優人は4才
美貴は10ヶ月
……に。
◆54.
夫が単身赴任してから1年後~8年後 ②
何とうれしい誤算!
結婚生活が始まってすぐに普通に薫とは夫婦生活があった。
初夜から薫とはスムーズに仲良しは始まった。
薫の穏やかな雰囲気とやさしい息遣いがゆるりゆるりと
私をリードしていく。
私はただそれに付いていくだけ。
ただ心地よく、そして素直に自分をさらけ出し……
私はおそらく初めてその夜、性の喜びというものを知ったのだと思う。
薫の経験値がどんななのか、私には分からなかったけれど
薫の行為はやさしく時に激しく、そしてわたしがすごく感じ入ったのは
行為のはじめ方と終わらせ方がスマートで自然だったことだ。
私は常時SEXに対してストレスを感じずに済んだ。
ただ薫と身体を寄せ合い睦み合い、心のままに自分を
相手にゆだね、時に相手を貪った。
私と薫との初めての夜はお互い感動の夜になった……
少なくとも私は。
私の経験値は元夫だけ。
ほかは知らない。
だけどそれでも……薫とのSEXは心の在り方も身体の相性も
驚くほど良くて私は行為の後、不覚にも泣いてしまった。
そんな私に薫は無言で私の頭を撫でてくれただけ。
必要のない、どうして? などと聞いてはこなかった。
ただそこにあったのは慈しみの心と静寂のみ。
私は薫に我が身をゆだね安らかな眠りについた。
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