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目玉おやじside(続き)
「しかし、せいちゃんの世界の“呪術界”はそんな千代を利用し、わしらや妖怪たちは千代や曾孫であるせいちゃんを恨んでおった。」
千代は泣きながら謝ってきたが、人間に対する不信感が募った妖怪たちと妖魔界から、目の敵にされるようになった。
「せいちゃんは、わかっておったからわしらと妖怪の世界、つまり、“妖魔界”の妖怪たちに頭を下げ続け、わしらはせいちゃんを認め、愛するようになったんじゃが、それまで5年もかかってしまったんじゃ。」
当時のせいちゃんを今でも思い出す。
子供らしからぬ表情でわしら、妖怪に頭を下げ続け、わしらの暴言や時には暴力もあっても、泣き言も言い訳も言わず、無表情で、「その通りです。」といった。泣きもしない、笑いもしない、ロボットのような子だった。
「そんな、」
まなちゃんは、口を両手で覆う。
その反応は当たり前じゃろうて。
猫娘がせいちゃんの向かった方へ目線を外さずに言った。
「せいは、優しすぎるのよ。
私たちが困った時はすぐに駆けつけて来てくれるのにせい自身になった途端、音沙汰が無くなるの。」
猫娘は何度も何度もせいちゃんの修行の合間に連れ出して、お出かけをしていた。猫娘が選んでいるのを後ろで見ているだけでまるでガードマンのようだったと、悲しそうに言っていたのを思い出す。
「誤ったりしたの?」
まなちゃんの声にわしらは、笑うしかできなかった。
「謝ったことがあったんじゃが、せいちゃんは理解しておらんのじゃ。」
「……え」
まなちゃんの表情が、驚いた顔で固まった。
「なんで謝るのか、私が悪いから気にしないで欲しい、せいちゃんはこれを顔色を変えることなく言ったんじゃ。」
せいちゃんは、もう、諦めてしまった。
許されることも、守らせてくれることも。
「鬼太郎も何度も、これは修行だといい、外へ出た時もある。そうでもしないと、せいちゃんは首を縦にふらんからの。その時もせいちゃんの表情は変わることがなかったそうじゃ。」
帰宅した鬼太郎は、悲しそうじゃった。
そう思っていると……
「……ただいま戻りました、父さん。」
帰宅した鬼太郎は、いつものところに座って遠くを見つめた。
「せいちゃんは……」
せいちゃん、と聞いた時、鬼太郎は冷静を装って答える。
「話をしようとしたら、せいは、もう来ないと言っていました。」
鬼太郎は、縮こまるように膝を抱えて膝に顔を埋めた。せいちゃんは、もう来ないと。
「せいは、僕のことを嫌いになったのでしょうか。
それとも、諦めさせてしまったのでしょうか。」
「鬼太郎……」
「僕も、父さんみたいにせいちゃんって呼びたかった。せいって呼び捨てにして、突き放してるみたいだなって、僕は、せいちゃんと修行じゃなくてデェトしたかった。」
鬼太郎もせいちゃんを認められず、何度も何度もきつい言葉でせいちゃんを傷つけていた。
だが、せいちゃんの努力や優しさ、暖かさをまた人間から感じ、せいちゃんを受け入れ始めた。
最初の頃はゲゲゲの森来る度、せいちゃんを罵倒していた鬼太郎が、せいちゃんに歩み寄り、修行の休憩だと言って外へ出たり、ゲゲゲハウスで話をしたり、ご飯を食べたりしていた。
せいちゃんは、それをただの<罪滅ぼし>と思っていたのだ。
鬼太郎は少なからず、せいちゃんを<友>だと思っていたのに、せいちゃんは亡くなった曾祖母である千代の代わりだと思っていたのだ。
「……そんなのって、」
まなちゃんは泣いていた。ここまですれ違いを起こし続けている。
「まなちゃん。」
わしがまなちゃんに声をかけると、まなちゃんは頬に伝う涙を袖で拭きながら、向き直った。
「はい。」
「わしらは、せいちゃんと仲良くなれるだろうか。」
そう聞くと、まなちゃんは涙を拭いて大きく頷いた。
ネコの退屈
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