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歪んだ研究

1 - 第1話 愛

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2024年10月13日

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第一研究「愛」―愛の研究簿

日誌 001:愛の定義を問う

愛は、長らく人間の最も深淵な感情とされてきた。しかし、私は「愛」を論理的に証明することが可能であると信じている。この感情が何故生まれ、何故人はそれに支配されるのか――明確に解き明かさなければならない。まずは、愛を捉え、論理と数式を用いて解析していこう。

「愛とは、脳内の化学反応に過ぎない」――これは一つの仮説に過ぎない。私はこれが単なる化学反応ではなく、より高次の存在が生み出した法則である可能性を考え始めた。

日誌 012:愛の構造を分解する

私の、助手の玲奈に対する感情は、明らかに「愛」に近いと感じるが、果たしてそれが本当に愛と呼べるものなのか?

愛は通常、相手に対する好意、共感、保護本能など、感情の複合体として理解されている。しかし、これを論理的に分類し、共通項を見つけ出せば、愛という感情の根底にある「法則」にたどり着けるはずだ。

式を用いたモデルとしては、愛を以下の3要素で表せると考える:

E(Emotional Attachment) :感情的付着

P(Protection Instinct): 保護本能

S(Social Affiliation) :社会的結びつき

それぞれに数値を与え、時間軸に沿って計算することで、愛の進行や崩壊の過程を予測できるかもしれない。だが、どうやらこのモデルにはまだ何か重要な要素が欠けているようだ。

日誌 045:実験開始――愛を数式に還元する

玲奈の協力のもと、感情の変化を測定する実験を開始した。彼女が一人の男性と出会い、日々の関わりを通して発生する感情の動きに注目した。私はこれを「愛のパラメーター」として記録し、彼女が男性に対してどのような感情を抱いているのかを数値化しようとしている。

だが、奇妙なことが起こった。玲奈の感情パターンは、既存理論では説明がつかないほど複雑に絡み合い、数値化が困難だ。それでも、彼女のデータには明らかに「愛」と呼べる何かが現れている――いや、もしかするとそれは「なにか」の兆しなのか?

日誌 073:愛と「なにか」の関係

愛の探究が進むにつれ、次第に私は気づき始めた。愛は単なる感情ではなく、より根源的な何か、世界の背後に存在する「なにか」の一部ではないかと。人が愛を感じるたび、彼らは「なにか」に触れている可能性がある。

この仮説を立証するためには、更なる実験が必要だ。玲奈は日に日に私との関係に疑念を抱いているようだが、彼女の感情の動きを「なにか」の観点から解析することが最も重要だろう。彼女の愛のパターンが、世界の法則にどのように影響しているか、それを突き止めたい。

日誌 100:結論

私は「愛」という概念を追究してきたが、愛そのものが「なにか」への鍵であることがほぼ確実となった。愛は単なる人間の感情ではない。むしろ、それは論理と狂気の交差点にあるものだ。

玲奈はすでに私を離れていった。彼女は私の研究が狂気だと感じたのだろう。しかし、私は確信している。愛という「なにか」を解き明かした瞬間、世界そのものの背後にある真実を見通すことができると。

これが最終結論だ。愛は論理を超越し、現実の構造を変える力を持つ。だが、その先に何が待っているのか――それはまだ未知の領域だ。

愛の数式: A=E+P+S−D+F

定義:

A: 愛の総量

E: 感情的付着(Emotional Attachment) 相手に対する心の結びつき、情熱、共感など

P: 保護本能(Protection Instinct)    相手を守りたい、支えたいという感情

S: 社会的結びつき(Social Affiliation)  共通の社会的・文化的背景、社会的役割に基づく関係性

D: 距離(Distance)           物理的および感情的な距離、これは愛の強さを減少させる要因

F: 時間に依存する愛の変動要素(Temporal Love)時間の経過。愛は時間の中で育まれるが、逆に衰えることもある。

感情的付着は、二人の関係における情熱や共感を指し、愛の強力な要因の一つです。高ければ高いほど、愛の総量は増加します。

保護本能は、相手を守りたい、危険から遠ざけたいという欲望を反映しています。親子や恋人間では、非常に高いとされます。

社会的結びつきは、二人が共有する要素を表します。同じコミュニティや背景を持つことが、愛を強化する役割を果たす場合があります。

距離は、物理的および心理的な隔たりです。距離が広がると愛は減少する傾向にあります。この要素は物理的な距離だけでなく、精神的な疎外感も含むため、関係の冷え込みを示唆します。

時間依存要素は、愛が時間とともに進化し、変化することを示しています。この関数は、愛が時間の経過により強まったり、弱まったりする様子を表現します。初期の情熱は時間とともに落ち着く一方、深い絆が育まれることもあります。

例えば、以下のような状況でこの数式を使うことができます:

長距離恋愛: Dの値が大きくなることで、愛の総量は低下します。しかし、EやPの値が大きければ、長距離の障害を乗り越える可能性があります。時間が経過するに従い、Fが愛を強化するか、逆に衰退させることもあるでしょう。

家族の愛: 親子愛は、Pが高い傾向にあります。距離があっても、社会的結びつきや保護本能が強ければ、愛は維持される。


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