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私は今、とても後悔していた。
理由は一つしかない。
私はなんやらかんやらあって(詳しくは第2話)、美少年に学校に連れて行ってもらうことになった。
そこまではいいの、そこまでは。
でも、この美少年はこの国の王子だったの!!
なので私は今、ものすご~く豪華な馬車に乗っている。
これさ、不敬罪で処刑されない?
ありそう!!
処刑まではいかなくても、流罪とかなら普通にあり得る!
そういえば、物語でも誰か不敬罪で流罪にされていた気が……
そう考えていると私の顔はみるみる青ざめた。
「大丈夫?」
「王子様、捕まる前にお母様とお父様のイチャイ……間違えた。仲睦まじい姿を目に焼き付けさせ てください。」
ああ、せめて、死ぬときは推しカプを眺めながら尊死したい!!!
「いや、捕まえないけど?」
「ほ、本当ですかあ!?」
「う、うん」
ヤバい、嬉しすぎて鼻水出てきた。
それを見て、王子様が何も言わずにハンカチを差し出してくれた。
紳士だ。
この王子様、推せる!!
「俺は、レイフィリアス。君の名前は?」
「私は、フウラです。よろしくお願いします、おうじ......」
いや、待って。名前を言ってもらったのに王子様と呼ぶのはなあ。
「よろしくお願いします。レイス様!」
「……レイス?」
「レイフィリアスなので、レイスです。あ、嫌でした?なら……」
「ううん、嬉しい!!よろしく、フウラ!」
レイス様は笑顔でそう言った。
眩しっ!!
あ、私、浄化されてしまう……
でも、レイス様の攻撃(尊さ)はこれじゃ終わらなかった。
「あ、別に敬語を使わなくていいよ。俺も使わないし」
そう言って、レイスくんは私の方に手を伸ばした。
ここここ、これって、握手ってことだよね。
え、私前世でもずっと推し活してて、男子の免疫0だよ。
勇気を振り絞って、レイスくんの手を握った。
すると、レイスくんは嬉しそうに目を細め、私との距離を縮める。
そして、ニコッと太陽なような笑顔で笑った。
「ひゃっ……」
私の意識はここで途絶えたのだった。
目が覚めると、もう魔法学校に着いていた。
「よかったああ、目が覚めたんだね。急に気絶したから……心配で」
「ありがとう。大丈夫だよ」
「だから、離れていただけませんでしょうか」
今の状態はホントに危ないのだ。
だって、レイスくんが私に抱きついているんだよ!!
心臓の音がヤバい。ホントに尊死しそう。
「あ、ごめん。じゃあ、降りよっか」
レイスくんは馬車を先に降りて、私に手を差し出してくれた。
「あ、ありがとう」
私は、気絶することも視野にいれながら、レイスくんの手を握る。
馬車を降りると、目の前に広がっていたのは物語で見たままの景色だった。
そう、ここがお母様とお父様が通った学校。
「聖地巡礼だああああ!!!!」
私は、聖地巡礼するためにこの学校にきたのだ。
あ、まずはレイスくんにお礼を言わないと。
「レイスくん、本当にありがとうございました!!」
「このご恩は必ず返すから!」
「いつでも、頼りにきてね」
そう言うと、レイスくんは何か言いたげそうに一瞬だけ口を開くが、すぐに閉じた。
私はそのことを、 まあ、レイスくんが言いたいときに言ってくればいっかと深く考えずに、校舎に向かって走った。
あれ、なんか忘れているような……
「あっ、サタンたちどこ行ったの!?」