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はおと/因幡てゐを愛す者
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こな(闇飯) @テラメロ
90
きのぴょん
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小鳥達が朝が来たことを告げ、里を流れる河川のせせらぎが心地よい。窓から差し込む朝日をきらきらと帯びる絹糸を垂らしたような、白髪に空を散りばめた髪が靡く。
「おはよう、妹紅。」
台所に立ち、割烹着を身に纏った慧音が優しく呼びかける。落ち着いた声が耳に響いて安堵する。辺りは味噌と炊き立ての白米に漬物の匂いが立ち込め、朝食が丁度完成したようだ。香ばしい匂いが食欲を刺激する。
「おはよう、いい匂いだな。ご飯、運ぶの手伝うよ。」
そう言うとお盆を受け取った、優しい匂いが辺りを包み込みこの瞬間が生きる糧となっていた。 永遠の命に呪われた妹紅にとってこの空間は一生続いて欲しいものだった。だが、彼女はハクタクで並の人間より長く生きれるが死は平等にやってくる。
「慧音…」
心細さを宿した声音で小さく、ぽつりと呟く。慧音の髪は元々白色であったが僅かに、老いを感じさせる。顔立ちも年季を感じさせ、所々シワがある。歴史を喰う彼女であっても自分の老いた歴史は喰わない、誠実で生真面目。自分が歴史を喰うとどうなるかを理解しているからだ。
いくら願っても彼女と永遠を見送ることはできないのだ。
「妹紅…大丈夫か?」
堰を切ったように涙が溢れてくる、最近は彼女の顔を見るとつい泣いてしまうようになった。慧音の優しい声、生気を帯びた顔、柔らかな髪、日光と月光を閉じ込めた美しい瞳に。触れ、見て、感じることができなくなる。その時は着々と確実に近づいているのだ。
その時、柔らかい手が妹紅の頭を撫でる。髪の毛越しに体温を伝え、彼女が今も存在していることを実感する。
「安心しろ…その時が来るまで、一生側にいるからな。」
優しく微笑む。朝日が横顔を染め長いまつ毛が僅かに揺れた。
「さっ、ご飯が冷める前に一緒に食べよう。」
この幸せを貴方と最後まで_____
コメント
1件
「永遠の命を持つ妹紅が、老いゆく慧音との日常の一瞬一瞬を噛みしめるように生きている…その切なさが朝の匂いや仕草の描写からじんわり伝わってきました。歴史を喰う慧音が自らの老いだけは喰わない、という設定の使い方が本当に効いていて、二人の関係性の深さを感じます。永遠と有限の対比が美しい一話でした。」